おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
2月4日、経産省は緊急事態宣言の再発令に伴う経産省の支援措置のひとつとして、事業再構築補助金「特別枠」の創設を発表しました。特別枠の特徴は、①事業規模に応じた補助上限額の設定、②補助率アップ、③通常枠より迅速な審査・採択にあります。詳しく解説します。
事業再構築補助金「特別枠」の経産省発表資料はこちら
経産省が発表した事業再構築補助金「特別枠」の資料は下記のとおりです。
事業再構築補助金「特別枠」の要件について
特別枠では、通常枠の要件に加え、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や、不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、2021年1~3月のいずれかの月の売上高が、対前年または対前々年比で30%以上減少していることが要件です。
事業規模に応じて補助上限額が設定されているのが特徴です。これは、飲食店などの時短協力金が事業者の規模によらずに一律支給(6万円/日)であり、企業の規模に応じた支給でないことに対する批判を受けて、このような制度になったものと思われます。1月29日のNHK報道によると、加藤官房長官は同日の会見で次のように述べています。
「事業規模が考慮されないことについては『大規模店舗では固定費を賄えない』とか『小規模店舗では売り上げを超える支給となっているのではないか』など、さまざまなご意見があることは承知している」と述べました。そのうえで「協力金の支給の迅速さや公平感などの観点から、どのような在り方が考えられるかは、感染状況や事業者への要請内容なども総合的に勘案しながら検討を深めていくべき課題だ」と述べました。
また、通常枠よりも審査・採択が早くなるというメリットがあるようです。特別枠で不採択の場合でも、通常枠で再審査を受けることは可能のようです。
事業再構築補助金「特別枠」は、緊急事態宣言発令の都府県の事業者や特定の業種しか申請できないのか?
要件の中で一つ気がかりなことがあります。経産省の資料には「緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や、不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより……」とありますが、これは緊急事態宣言発令の都府県(2月5日時点では1都2府7県)の事業者や、特定の業種(例えば飲食店や観光業)しか申請ができないということでしょうか?
経産省の資料からではそのあたりは読み取れません。ここからは当社の推測ですが、おそらく地域が業種の指定はないのではないかと思います。というのも、緊急事態宣言の発令にともない影響を受けた事業者に対し、法人最大60万円、個人最大30万円の一時金を支給する制度がありますが、この制度は地域や業種の制限がありません。
ところがこの一時金も、規模によらず一律で法人最大60万円、個人最大30万円であることから、比較的規模の大きな企業からは「焼け石に水だ」という批判があります。上記の官房長官の会見内容でも見られますが、こうした批判に対して規模別の支給要件を設けたものだと推察がされます。要は、事業再構築補助金「特別枠」とは、一時金を補完する施策という位置づけもあるので、対象者の要件としても一時金と同じく、地域・業種の制限はないと見るほうが自然です。
しかしながら、緊急事態宣言の影響を受けていることを証明する記録等(顧客台帳や領収書の控えなど)の提出、保管が求められるものと思われます。
事業再構築補助金「特別枠」の売上減少要件について
特別枠では、通常枠の要件に加え、特別枠限定の売上減少要件も満たす必要があります。特別枠限定の売上減少要件は、「通常枠の売上減少要件に加えて、2021年1~3月のいずれかの月の売上が前年・前々年同月比30%以上減」というものです。わかりやすいように具体例をしめして解説しましょう。
この例だと、2021年1~3月の売上と、前年2020年の1~3月の売上を比べると、2月の売上が30%以上減っています。このような月が一月でもあれば、特別枠の対象になります。比較の対象は、前年2020年でも前々年の2019年でもよいようです。
事業再構築補助金「特別枠」は3月公募開始予定
経産省の資料には「通常枠、特別枠ともにjGrants(電子申請システム)での申請受付を予定。※3月公募開始予定」とあります。おそらく通常枠と特別枠は同時に申請受付が行われるのではないかと推察します。(ただし採択発表は特別枠の方が早くなるのではないかと思われます)