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【環境法令解説シリーズ】EUDR(欧州森林破壊防止規則)ざっくり解説(3)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

環境法令解説シリーズ、今回はEUの新しい規制である欧州森林破壊防止規則(EUDR)についてざっくりと解説をします。EUDRは森林破壊などを防ぐことで、地球温暖化の防止や生物多様性を守っていこうという趣旨の、欧州の「法律」です。今日はこのEUDRの対象者の義務について説明します。

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【環境法令解説シリーズ】EUDR(欧州森林破壊防止規則)ざっくり解説(1)

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【環境法令解説シリーズ】EUDR(欧州森林破壊防止規則)ざっくり解説(2)

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関連リンク

■■■EUDRに関するEU公式ページ(英語)■■■

■■■EU官報に掲載されたRegulation本文(英語)■■■

※規制対象原材料・製品リスト(Annex1)も上記URLから参照可能

■■■JETRO記事(日本語)■■■

EUDRにおけるオペレーターの義務

オペレーターの義務をもう少し詳しく説明しましょう。重要なのは「デューデリジェンス」の実施ですね。簡単にいうと、デューデリジェンスとは、取り扱おうと思っている対象製品が、森林破壊の影響を受けた土地で生産されたものかどうかをチェックすることですね。

デューデリジェンスは、情報の収集、リスクアセスメント、リスク軽減措置の3ステップで実施することになっています。まず「情報の収集」では、取り扱う製品の名称や数量、生産国などの情報はもちろんですが、2020年12月31日以降に森林の状態を悪化させることなく作られたものだという証拠などを集める必要があります。具体的には生産国の合法性適合証明書のようなものが考えられますが、国によってルールは色々なので、一概にどのような書類ならばOKかというのは難しいですね。納入先などからいろいろ収集するのがセオリーなんでしょうね。

こうした情報をもとに、森林破壊の影響を受けたものであるかどうかのリスクを評価するのがリスクアセスメントです。リスクアセスメントでは、収集した情報の信頼性や、生産国のレベルなどを考慮して、リスクを評価します。生産国のレベルというのは、EUが将来的に決めてくれるそうです。EUが世界中の国を、「高リスク国」「低リスク国」「標準リスク国」の3つのランクに分けるそうです。分ける基準は、その国における森林破壊の進行度合いや法律の充実度なんだそうです。生産国が低リスク国の場合は、デューデリジェンスの手続きが簡単になるそうです。

なお、リスクアセスメントは、最低でも年1回見直しが必要だそうです。結構大変だと思いますね。そして「この製品は森林破壊のリスクが高そうだな」と判断したら、リスクの軽減措置を取ります。これは例えば、さらなる情報収集をしたり、調査や監査の実施をしたりすることなどが該当するそうです。またリスク管理のための手順を定めるとか、監査の実施なども要求されています。こうしてデューデリジェンスを実施して、リスクがないか、または無視できるほど小さいリスクであると判断できれば、ようやく製品を市場に出せるというわけです。

EUDRにおけるトレーダーの義務

続いてトレーダーの義務ですが、これはさらっと紹介できそうです。トレーダーは、規制対象製品を提供したオペレーターやトレーダーの名称や、住所、メールアドレス、ウェブアドレス、そしておよびそれらの製品に関連するデューデリジェンス声明の参照番号などの情報を収集し、記録を5年間保管することが求められています。

こうした義務に違反した場合には罰則もあります。罰金がまずまず重くて、EU域内での売上の最低4%です。売上の4%というと利益がかるく吹っ飛ぶくらいの罰金額なので、決して軽くはありませんね。

最終回の次回は、EUDRの罰則と日本企業への影響について解説をします。

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