ものづくり経営革新等支援機関

2021年実施ものづくり補助金(一般型)4次締切採択結果分析

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

2月18日に、2020年実施ものづくり補助金(一般型)4次締切の採択結果が発表となりました。全体的な採択率は31.2%であり、過去9年間行われてきたものづくり補助金の歴史の中で最低レベルとなりました。

当社の結果は18件支援中5件採択でした

まず、いつも偉そうなことを書いているあなたの結果がどうだっかを公表しなさいよね。
はい……4次締切では18件支援中5件採択でした……。不採択となったお客様を落胆させてしまい、申し訳ございません💦 これが当社の偽らざる実力です。
全体的な採択率よりも低いってお粗末ね。
もう当社のやり方が完全に通用しなくなっているにもかかわらず、以前のやり方に固執しているんでしょう。この結果を受けて、当社ホームページの「サービス案内」から、ものづくり補助金に関する案内を消すことにしました。ホームページ経由での新規コンサル支援の受付は今後は行いません。ブログ等での情報提供も減らす予定です。
結果はコレですが、総括することは大切なので、分析は怠らずにやっておこうと思います。

過去9年間行われてきたものづくり補助金の歴史の中で最低レベルの採択率

まずは過去9年間との比較で見てみましょうか。

まず全体的な採択率から見てみよう。応募総数10,041件に対して採択数が3,132件だから、採択率が31.2%ですね。ご覧の通り、ものづくり補助金創設以来、9年間で20回の公募が行われているけど、最低レベルと言っていいですね。
平成27年度補正の2次公募が8.4%で最低なのでは?
平成27年度補正の2次公募は例外だと考えていいと思うよ。もともと平成27年度は、1次公募しかしないと公募要領の中で宣言されていたんだ。ところが予算が余ったからか、急きょゲリラ的に2次公募が行われたんだよ。しかも「100件程度しか採択しません」という告知のほか、事業実施期間が採択発表日から72日しかないという異例の短さだったんだ。だからそれを除くと、今回が「史上最低」といってもいいかもね。
「公募期間1日あたりの応募数」も過去最低クラスですね。これはどういう指標なの?
応募総数を、公募期間日数で割った数ですね。今回の4次締切の場合、8/4公募開始・12/18に締切で、その間の日数は136日でした。応募総数10,041を136で割ると約74件/日の申請数であった、という意味だね。
公募期間が4ヶ月もあったというのも異例ですね。
途中で締切が延長にもなったからね。ものづくり補助金では、過去の統計データを見ると、公募期間日数が延びるほど応募数が増えるというかなり強い正の相関関係にあるんですよ。ところが今回は公募期間日数が長い割に、応募数がそれほど増えなかったと言えるかもね。
その理由はなんで?
そこまではデータからは見通せないので推測だけど、コロナによる大型投資(特に機械装置)の手控えだろうね。あとは給与支給総額年率平均1.5%以上向上が、この時勢下では大きなリスクになって、申請を見送る事業者が増えたんだろうね。当社の主観的な印象では、特に申請者層の過半数である製造業(データポータルに基づく)の申請が大きく減っている気がします。
なるほどね。特別枠と通常枠別の採択状況の分析はどんな感じなの?
これを見てもらいましょうかね。

「採択者(採択時類型ベース)」と「採択者(提出時類型ベース)」ってどう違うの?
「採択者(採択時類型ベース)」とは、特別枠申請したけど不採択になって通常枠で採択されたケースを考慮に入れているパターンですね。一方で、「採択者(提出時類型ベース)」は、それを考慮に入れず、事業者が申請した際の類型のままでカウントしたパターンです。
どっちを重点的に見たほうがいいの?
「どっちの類型で申請するほうが採択の可能性が高いか」という観点で見るならば、後者の「採択者(提出時類型ベース)」かなあ。
なるほど。「採択者(提出時類型ベース)」でみると、特別枠申請者の採択率は36.7%で、通常枠申請者の採択率は24.6%だね。
2次締切、3次締切でも同じ傾向で、特別枠のほうが採択率が高いんですよね。まあ、特別枠では加点されるので、当然の結果なんですが、2次から3次にかけて大幅に下落した特別枠の採択率が、今回は更に下落をしています。
提出時類型ベースでは、2次での特別枠採択率が68.1%だったのに対し、今回は36.7%だもんね。採択率もほぼ半分になっている感じですね。

採択率が大幅に下落した理由はなにか?

どうして3次締切以降、採択率がこうも下がっちゃんたんだろうね。
予算の関係じゃないかな。
特別枠の予算がなくなってしまいそうなので、採択者数が絞られたっていうこと?
その可能性はあるね。下記は11月に行われた経済財政諮問会議での資料だけど、11月の時点でどの程度3補助金に予算を執行したかというものを示したものです。細かい分析は過去記事を見てもらえたらいいけど、特別枠の予算配分に関しては、ものづくり補助金よりも持続化補助金のほうが執行額の割合が高いんだ。1者あたりの交付額では、ものづくり補助金のほうが8倍程度高いのにね。だから、持続化補助金に優先的に予算が配分されている可能性もあるね。

つまり、持続化補助金に優先配分していて、しかも年度も終わりかけて予算が尽きかけていたので、採択率が下がったということですかね。
まあ根拠のない推測だけどね。ただ、上記で分析したように「公募期間1日あたりの応募数」も最低レベルだったことを考えると、持続化補助金に優先配分されるのもむべなるかな、という気はするね。
コロナのせいで、ものづくり補助金の需要そのものが変わっちゃったのかもね。
あと、これも根拠ない邪推だけど、「ものづくり補助金の厳格化」の可能性もあるよ。
ああ、昔報道されていたこれのことね。
「ものづくり補助金」見直し?成果目標不明確のため厳格化の意向 財務省

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【速報】『ものづくり補助金、身内から効果に疑念』5次締切から要件厳格化か

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そうだね。中小企業庁の人がこんなことを言ってるくらいだからね。

同補助金は19~20年度の補正の分がまだ残り、21年度以降も支給は続く。中企庁はRIETIの指摘を踏まえ「これまで申請を幅広く受けすぎた面がある。年内に始める次の公募から要件を厳しくしたい」(担当者)。導入から8年たって制度のあり方が問われている。

(11月13日日本経済新聞より)

都道府県別の採択率はどうか

いつも分析している都道府県別の採択率データを見せてよ。
はいどうぞ。都道府県別の採択率データは公表されているものではなく、当社の推測です。推測方法は過去記事を参照してくださいね。

ここから何が読み取れるの?
最近は毎回言っていることだけど、都道府県ごとの評価の甘辛傾向があることがわかる、ということくらいかな。
邪推かもだけど、緊急事態宣言発令都府県は、全体的に高いような気がしなくもないね。
栃木、兵庫、京都は低いけどね。まあ東京都での採択率が42%なのはインパクトがあるかな。東京都は企業数も多いからね。
東京都の採択者数が545者でしょ?全体の採択者数が3,132件だから、全体の17%……約1/6が東京都か。
まあ緊急事態宣言発令都府県の採択率が高いかどうかは偶然かもしれないし、偽相関かもしれないね。統計的な検定もちゃんとやってないので、憶測で語っちゃいけませんね。お前が言うなと言われそうですけど。
でも熊本地震の時に、九州7県の採択率が高かったこともあったようだし、政策的な意図が反映される可能性もゼロではないですよね。
ゼロじゃないだろうね。補助金に関しては、法で公正性が担保されているようなものではなく、行政側の裁量が大きいから仕方がない面はあるよね。

6次締切に向けての教訓はあるか

6次締切に向けての教訓はどうでしょうか?
うーん、事業再構築補助金が始まるので、申請者はそっちのほうにある程度は流れるだろうね。
当社でも、もの補助の問い合わせはパタッと止まったもんね。「低感染リスク型特別枠」も始まったけど、これも旧特別枠のように持続化補助金に優先的に配分される可能性もあるよね。
そうなるんじゃないかなあ。持続化補助金は事務局の事務処理がパンクするほどの申請があるみたいだから、やっぱりそっち優先になっちゃうよね。
愚痴ばかりで、全然教訓になってないんですけど……。
特別枠で申請をする、できる限り加点は拾う、事業計画の精度を高める、という王道以外はやっぱりないよね。データポータルで4次締切の状況を反映した分析が近々出ると思うので、それによってはもう少し何かがわかるかもしれないけどね。ていうか、そもそも採択率激低のヘッポココンサルのいう教訓なんて、聞く必要ないですからね(自虐)
  • B!

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