おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
6月18日、日刊工業新聞は、事業再構築補助金1次公募分の申請件数が22,231件に対して、採択件数が8,016件であることを報じました。この報道に従うと総合採択率は36.1%となります。なお採択結果発表は本日夕刻と思われます。
事業再構築補助金1次公募 総合採択率は36.1%
申請件数22,231件のうち8,016件を採択したというのは下記の記事に書かれています。これが全ての類型を含んだ総申請件数、総採択件数と思われます。この総件数をもとにした総合採択率は36.1%であることがわかります。
経済産業省・中小企業庁はポストコロナを見据え中小企業に業態転換などを促すために創設した「事業再構築補助金」の第1回公募分について、申請件数2万2231件のうち8016件を採択した。採択金額は予算総額の約5分の1に当たる約2200億円。同補助金は1件当たりの最大補助額が1億円と規模が大きい。年度内は残り4回公募する予定でコロナ後に向け従来事業から脱却し、成長を目指す中小を強力に後押しする。
(日刊工業新聞6月18日記事より)
事業再構築補助金通常枠の採択件数は5,092件 通常枠の採択率は30.2%程度
同記事によると、「通常枠」の採択者が5,092件と最多だったようです。その他の採択件数としては、卒業枠が45件、中堅企業通常枠12件、グローバルV字回復枠1件と報じられています。
6月16日に公開された特別枠の採択結果を含めると、1次公募採択結果の全体像は下記のようになります。(スマートフォンからの閲覧だと下記の表が表示されない場合があります。その場合はココをクリックして下さい)
通常枠、卒業枠、中堅通常枠、グローバルV字回復枠の総申請件数はあわせて17,050件であることがわかります。その内訳はわかりませんが、ほとんどが「通常枠」だと思われます。仮に採択者数の割合で按分したならば「通常枠」の総申請件数は約16,860件程度になると想定されます。この16,860件を分母として通常枠の採択率を求めると、30.2%程度だと思われます。
ただし通常枠の採択者には、特別枠で不採択になった申請者が通常枠で再審査され採択された分も含まれているはずです。それを差し引くと、純粋に通常枠で申請をした事業者の採択率は3割を切るのではないかと思われます。
事業再構築補助金採択者の業種別割合は製造業が31.7%。ついで宿泊・飲食業21.8%
同記事では、採択件数ベースでの業種別割合も報じられています。該当部分の記事を引用します。
採択に占める業種別の割合は製造業が最多の31・7%で、宿泊・飲食業が21・8%、卸売り・小売業が12・4%、建設業が6・7%と続いた。
企業庁が中小の設備投資などを支援する「ものづくり補助金」と比較し新型コロナで打撃が大きかった飲食業をはじめ、製造業以外の業種からの申請や採択が目立った。
(日刊工業新聞6月18日記事より)
先輩格の施策である「ものづくり補助金」では、製造業の割合が50%を超えています。事業再構築補助金ではそれが31.7%であったことを踏まえると、事業再構築補助金は製造業にとっては要件を満たすことが難しい施策であったことが伺えます。ものづくり補助金では、宿泊・飲食業の割合は正確にはわかりませんが、一桁パーセント台であることは確実です。それが事業再構築補助金では21.8%の割合を占めた事実からみると、宿泊・飲食業に対して使いやすいような制度設計になっていると言ってもよいのではないかと思われます。
採択金額は予算総額の約5分の1に当たる約2,200億円。今後のこの規模の採択件数が続くか
同記事では「採択金額は予算総額の約5分の1に当たる約2200億円」とも報じています。5回にわたって公募が行われる予定ですので、今後の公募は今回程度の採択件数が最大数となると見てよいでしょう。
ただしあくまでも今回程度とは「最大数」です。5月31日に実施された「行政事業レビュー公開プロセス」では、外部有識者からも「予算ありきの採択はしないように」と釘を差されたことに対して、中小企業庁も同様の考え(予算ありきの採択はしない)を示しています。したがって、申請内容の質によっては、2次公募以降の採択数は減る可能性もじゅうぶんにあるでしょう。