おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
8月17日にものづくり補助金8次公募が開始となりましたが、新たに「パートナーシップ構築宣言」をしている企業は加点になりました。「パートナーシップ構築宣言」とはいったいどういうものでしょうか?概略を解説します。
「パートナーシップ構築宣言」とはなにか
2020年12月の成長戦略会議で、菅首相が「中小企業の足腰を強くするための支援を強化します。さらに大企業と中小企業のパートナーシップを強化します。」と明言したことを端に発するようです。なぜいまさら?という感じもしますが、これは政府が昔から力を入れている中小企業の生産性向上と関連があります。中小企業の生産性は2000年以降向上しているものの、生産性の伸びを販売価格に転嫁できていないので、利益につながっていないというデータがあります。具体的には、中国企業の価格を引き合いに出し半額近い値下げを口頭で要求されたり、毎年一律数%の原価低減要請が来る、といったことが現場で起きているんですね。
これでは中小企業の健全な成長が促せないので、政府としては、大企業や発注先に対して、下記のような点をコミットさせたいと思い、この制度を作ったのだと当社では想像しています。
- 不合理な価格低減要請を行わない
- 下請代金の支払い条件の改善
- 知的財産の無償譲渡を求めない
- その他いろいろ(低炭素化、デジタル化等の取り組み)
中小企業庁の資料にもありますが、宣言の主は親会社・発注者です。宣言文は企業の代表者の名前で署名し、それをパートナーシップ構築宣言のポータルサイト上で公開することになっています。ですので、ものすごく簡単に言うと「下請法などを遵守すると親会社・発注者にコミットさせて、それを公開するための仕組み」とでもいえばいいでしょうかね。(コミットさせる内容は下請法だけではないですが)
なお、当然のことですが、「パートナーシップ構築宣言」をしていようがいまいが、対象となる親会社・発注者は下請法を遵守する義務があります。
「パートナーシップ構築宣言」をすることのメリット
「パートナーシップ構築宣言」をすることのメリットにはどういうものがあるでしょうか。パートナーシップ構築宣言のポータルサイトや中小企業庁等の資料を見ると下記の3点に集約されるようです。
- 「取引先を大切にする企業である」という企業イメージの向上
- ロゴマークの使用(ホームページや名刺等で使用可)
- 一部の補助金で加点措置を受けられる
セキュリティアクション自己宣言もそうでしたが、こういう役所の新制度が補助金の加点措置に使われ、普及の足がかりとされるのは「お約束」と言ってもいいですね。なお、この記事の実施時点(8/20)では、「令和2年度補正予算 産業・業務部門における高効率ヒートポンプ導入促進事業」「令和3年度 先進的省エネルギー投資促進支援事業」「令和3年度 ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金」「令和元年度・2年度 ものづくり・商業・サービス生産性促進補助金」が加点の対象補助金になっています。
「パートナーシップ構築宣言」の手続きの流れ
パートナーシップ構築宣言のポータルサイトによると、手続きの流れは下記のとおりです。
「パートナーシップ構築宣言」の宣言文記載見本はこちら
公式のポータルサイトに「パートナーシップ構築宣言の宣言文記載見本」があります。こちらを参考にして、自社にあったパートナーシップ構築宣言をするのがよいでしょう。