おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
9月2日事業再構築補助金事務局は2次公募の採択結果を公表しました。これに伴い「事業再構築補助金第2回公募の結果について」が公開されました。この資料を基に、当社が業種別・都道府県別・認定支援機関別採択率を割り出し、1次の結果と比較をしました。
公式資料「事業再構築補助金第2回公募の結果について」はこちら
事業再構築補助金2次公募 採択結果の全体像
まずは2次公募の採択結果の全体像を見ていきましょうか。この表は、応募類型別に応募件数、うち申請要件を満たした件数、採択件数、そして採択率を示したものです。この表は、公式資料の1ページ目に掲載されている表と同じものです。
まず全体として20,800件の応募がありました(これが応募件数)。うち、申請要件を満たした件数が18,333件ですね(これが申請件数)。つまり要件を満たさないまま申請をしたものが2,467件もあったということです。申請全体の11.9%が要件を満たしていないということです。1次公募の際の要件を満たさなかった申請者の割合は13.5%でしたので、若干減ったようです。
そして全体では採択件数が9,336件です。よって採択率は、応募件数に対しては44.9%、申請件数に対しては51.0%となりました。これは1次公募と比べると、応募件数ベースでは8.8ポイントの上昇、申請件数ベースでは9.3ポイントの上昇です。
採択内訳を見ていくと中小企業特別枠の採択率は、応募件数ベースで66.7%だったのに対し、中小企業通常枠は応募件数ベースで36.3%でした。30ポイントちかい開きあります。1次公募のときは採択率の開きは25ポイント程度でしたから、2次ではさらにその差が開いています。なお中小企業通常枠における応募件数ベースの採択率は36.3%ですが、特別枠で不採択だったけれども、再審査されて通常枠で復活採択されたという申請者も少なからずいるでしょうから、純粋に通常枠で申請をして採択をされたという企業の採択率はもっと低いと思われます。また動きとして顕著なのは中堅企業通常枠です。1次と比べると採択率が倍程度に跳ね上がっています。
これらの傾向から、特別枠の極端な優遇や規模の大きな企業への優遇といった、政策的な意図の可能性を感じます。
事業再構築補助金2次公募 業種別採択率
続いて、業種別の採択率を推定してみたいと思います。「事業再構築補助金第1回公募の結果について」の2ページ目に、「業種別の応募と採択割合について」としてこのようにスライドがあります。このスライドでは、応募件数に対する業種別の構成比と、採択件数に対する業種別の構成比が明示されています。応募件数と採択件数は、先程お見せした表でわかりますので、ここにある構成比をかけ合わせると、業種別の応募件数と採択件数が算出できます。この方法で、業種別の採択率を割り出してみます。
結果はこのようになりました。しかしながら構成比を全て足しても100%になりません。1次公募の際は「その他の分類」という項がありましたが、2次のこのグラフでは欠落していますので、それが原因ではないかと思います。またおそらく小数点の繰り上げ、繰り下がりの問題でしょうけど、この方法で割り出された推定の応募件数と推定の採択件数が、公表された数値と微妙に合いません。しかし全体的な傾向を掴む上では誤差の範囲ですので、このまま分析することをご容赦ください。
これを見ると製造業が最も高い56.3でした。1次公募でも製造業が最大でした。ついで宿泊業・飲食サービス業、教育・学習支援業という順で採択率が高いのは1次と同様です。製造業の応募件数は1次とくらべると相当減っています(5,158件が3,848件に減少)。製造業は応募件数が激減していますし、ものづくり補助金の製造業構成比(約5割)と比べると半分以下の割合ですから、製造業はこの補助金の要件にそもそもあわなくて、申請自体を見送りしている可能性が感じ取れます。しかしそんな中でも要件を満たした場合は審査項目との相性がいい(設備投資と規模拡大・生産性向上を結びつけやすい)ので、採択率が高く見えるのだと当社では推測しています。
事業再構築補助金2次公募 都道府県別採択率
次に、都道府県別の採択率を推定してみたいと思います。都道府県別の応募件数、申請件数、採択件数は「事業再構築補助金第1回公募の結果について」の4ページ目に明記されています。
これを基に、採択率を割り出してみます。採択率だけではなく、不備率も求めてみました。不備率とは、「(応募件数ー申請件数)÷応募件数」で算出したもので、応募件数のうちどれだけが要件を満たさないものだったのかを示しています。
いろんな感想が浮かんでくるんですが、1次公募と比べた際のばらつきが相変わらず大きいです。申請件数に対する採択率の標準偏差は1次が0.057に対して2次が0.063でした。2次のほうがばらつきが大きくなっています(誤差の範囲ともいえますが)。こうした都道府県差が出る理由はよくわかりません。1次では高採択率だった秋田県が2次では低採択率であることなどを考えると、地域差とか申請者の属性という問題ではないように思います。審査の質の問題か、県ごとの補正のやり方の問題か、もしくはたまたまなのか、わかりません。
事業再構築補助金2次公募 認定支援機関別採択率
最後に、認定支援機関別の採択率を推定してみたいと思います。「事業再構築補助金第1回公募の結果について」の7ページ目に、「認定支援機関別応募・申請・採択状況」としてこのようにスライドがあります。
このスライドでは、認定支援機関別に応募件数、申請件数、採択件数が表示されていますので、この数値をもとに認定支援機関別の採択率と不備率を割り出してみます。
認定支援機関別は採択数(緑色のグラフの数字)を全部足しても9336になりません(9,292になる)。どうも役所の慌てたのか、このたび公開された資料は精度が低くてあまり信頼できません。
なお、1次と比べると税理士、商工会、行政書士の採択率の伸びが顕著です。伸びしろがあったためかとも思いますが、1次と2次で急にそんなに変わるとも思えません。商工会がとても伸びていますが、この3ヶ月程度で全国の商工会が一丸となって一斉にレベルアップをして、そしてこれだけの採択率が上がったということも考えにくいと思います。都道府県別の採択率もそうですけど、たった3ヶ月しか間のない1次と2次で、そんなに支援機関別の採択率がコロコロ変わるものか?という気が拭えません。どの機関も、1次であろうが2次であろうが、ベストを尽くしているはずですからね。
当社としては、数字から見えること以上にあまり深く立ち入った分析はしません。「どうしてこうした数字なのか」ということについては、皆さんでそれぞれ思いを巡らせてみて下さい。