ものづくり経営革新等支援機関

ISO9001:2015 7.4「コミュニケーション」も 洗い出しを通じて改善のきっかけに

https://imamura-net.com

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

ISO9001各箇条解説シリーズ、今日は7.4コミュニケーションについて解説をします。実務でのやり方を中心に解説をしたいと思います。

動画でも解説しています(無料・登録不要)

ISO9001:2015 7.4「コミュニケーション」の位置づけ

まずは箇条7.4の位置づけです。

社内外の課題や利害関係者のニーズ、期待をもとにして、品質マネジメントシステムを作りましたよね。品質目標も品質マネジメントシステムの一部ですし、こうした品質マネジメントシステムを活きたものとして組織で機能させるためには、トップマネジメントのリーダーシップも大切だ、という話がこれまでの4章~6章で説明してきたことです。

その上で、品質マネジメントシステムを機能させるには、そこで働く人が重要なので、人についてもちゃんと管理しましょうというのが、今説明している7章です。

そして今日のテーマである箇条7.4は、顧客が求める製品・サービスを実現するには、社内外でどんなコミュニケーション、情報の伝達をするべきなのかという点について定めています。いくらよい道具をそろえたり、力量ある人を雇ったからといって、情報のやりとりがうまくできなければいいモノは作れません。必要な情報……お客さんが何を望んでいるのかというニーズをうまく拾い上げることができなければ、不適合の発生はもちろんですが、様々な問題を起こしかねませんからね。

ISO9001:2015 7.4の規格要求事項

箇条7.4の規格要求事項を見てみたいと思いますが、これもとてもシンプルなんですよね。ご覧のように、この箇条では、何を、いつ、誰が、誰に対して、どのようにコミュニケーションするのかを決めなさいと言っているだけです。

箇条7.4に適合するためには何をするべきか

じゃあ具体的にどうするの?というのが重要なんですが、下記の順番でやるのがよいでしょう。

最初にやるべきことは、社内及び社外に対して行うコミュニケーションとしては、今どんなことをやっているの?というのを洗い出すことから始めるのがよいでしょう。

そう言われても、どんなコミュニケーションがあったっけ?と悩むかもしれません。そのときにはISO9001の規格を頼ればいいのですが、このISO9001の規格要求事項のうち、「コミュニケーション」が要求されている箇条が6つあります。まずはこの6つに着目をしましょう。

例えば一番はじめの5.1.1 f)は、組織のトップが従業員に対して、品質を管理すること、ISOの要求事項を守ることが大切だということを伝達・コミュニケーションしなさい、というトップに対する要求事項でしたね。ですので、トップが品質の重要さを従業員に伝える、というのが「どんなコミュニケーションがあるか」の一つの答えになるわけです。

8.2.1は顧客とのコミュニケーションですが、これは一般的には、営業担当者が顧客からの引き合いや要望事項を聞いてくるというのも該当するでしょうし、こちらからの情報提供、情報発信、顧客との交渉なども該当するでしょう。こうした観点で「どんなコミュニケーションをやっているのか」を洗い出しするのがよいでしょう。

この6つは最低でも押さえておかないといけないでしょうが、この6つ以外にもコミュニケーションはあるかもしれません。例えばですが行政機関とのコミュニケーションなどもあるでしょうね。例えば当社は、中小企業庁に認定をされた経営革新等支援機関でもあるんですが、認定機関として行政機関に質問をしたり、書類を作ったり提出したりすることがありますので、そうしたこともコミュニケーションの一部になるでしょうね。

「どんなコミュニケーションがあるか」という洗い出しをした後は、その実施時期を明確にします。例えば年に1度とか、毎月第1水曜日とか、もしくは納品の都度とか、コミュニケーションの内容によって、どういう頻度をそのコミュニケーションを行っているのかを明確にします。
次はコミュニケーションの対象者です。これは誰に対してコミュニケーションをしているかということなので、これはまあかんたんに洗い出せると思います。そしてコミュニケーションの方法は、どうやって伝達するか、ということですね。文書なのか、仕様書なのか、レポートなのか、口頭なのか電話なのかメールなのか等、コミュニケーションによっていろんな方法があると思いますが、今やっている方法を洗い出せばよいです。そして最後、コミュニケーションを行う人ですが、これは社内の誰が情報の発信をしたり、情報を受け取ったりするかということですね。これも基本的には、現状を明確にすればいいと思います。

最後に、こうして洗い出しをしたコミュニケーションを、どのようにまとめるかということです。この箇条7.4には文書化要求はありませんが、一般的にはマニュアルに表形式で、こういうコミュニケーションがあるよと示しているか、もしくはフローチャートのようなものにそれを記述しているというケースがよくあると思いますね。

どんなコミュニケーションをしているかという洗い出しをする中で、「もっとこうしたほうがいいんじゃないか?」というアイデアが出てくる可能性はあるでしょうね。例えば外部提供者に対するコミュニケーションは、今までは購買部長がやっていたけど、この内容ならば購買担当者のAくんでもじゅうぶんできるんじゃない?とか、お客さんの部長とは営業のBさんがウマが合うようだから、Bさんを窓口にしたほうがいいんじゃない?みたいな感じで、コミュニケーションの内容も改善するきっかけになればいいな、と思います。

  • B!

最近の人気記事

1

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 国際標準化機構(ISO)は、現行のISO9001:2015(品質マネジメントシステム規格I)を改訂する準備を進めているようです。現在の ...

2

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 2024年2月、ISO(国際標準化機構)は、マネジメントシステム規格に「気候変動への配慮」を盛り込む形で規格の一部を改定しました。今回 ...

3

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 5Sの考え方がISO9001や14001の運用に役立つことがあります。その逆もあって、ISOの仕組みが5S活動に役立つこともあるんです ...