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2022年度ものづくり補助金「グリーン枠」徹底解説(第3回)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

2022年度ものづくり補助金から新たに設けられた「グリーン枠」について、要件のひとつでもある「炭素生産性」の計算方法と、事業計画書の中での示し方について解説をします。

炭素生産性とは何か?

ものづくり補助金の様式2「炭素生産性向上の取組及び温室効果ガス排出削減等の取組状況」によると、下記の計算式で炭素生産性を求めます。

付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)

CO2排出量:t/CO2 ※(温室効果ガスの発生量(重量t)のこと)※1t/CO2ならば、1トンのCO2を排出しているという意味です。

炭素生産性は、付加価値額をt/CO2で割って求めます。

例えば、ある年度の付加価値額が40,000,000円の企業があったとして、その企業のCO2排出量が40t/CO2ならば、炭素生産性は1,000,000となります。(40,000,000÷40=1,000,000円/t-CO2)

CO2排出量はどうやって求めるか

CO2排出量(t/CO2)を求めろと言われても、温対法や省エネ法の報告義務のない企業では、そのような計算のやり方がわからないでしょう。簡単に言うと、電気や都市ガス、その他燃料(灯油や経由等)の使用量に「排出係数」というものをかけ合わせて、二酸化炭素排出量に換算をするというやり方です。

例えば、温対法の報告のために、経産省は「エネルギー起源二酸化炭素排出量等計算ツール」というツールを用意しています。

 

上記の記入例では、電気使用量しか入力していませんが、黄色の網掛け部分(基礎排出係数と調整後排出係数、そして年間の電気使用量)を入力すると、自動的に排出量(基礎排出量と調整後排出量)を計算してくれます。上記の例では基礎排出量が43t/CO2です。

基礎排出係数と調整後排出係数の違いは?どうやって求めるのか?

基礎排出係数と調整後排出係数とはどういう違いがあるのでしょうか。

実排出係数は、電気事業者が小売りした電気の発電に伴い排出した二酸化炭素排出量(実排出量)を販売した電力量で除した数値で、調整後排出係数は、実排出量から京都メカニズムクレジット・国内認証排出削減量等を差し引いた調整後排出量を販売した電力量で除した数値です。

(J-Net21 省エネQ&A「実排出係数と調整後排出係数って何?」より引用)

誤解を恐れずにわかりやすく言うと、基礎排出係数は電気事業者が小売りした電気の二酸化炭素実排出量のことで、調整後排出係数とは、その実排出量からクレジット分(たとえば温室効果ガスの削減活動に寄付や投資することで、実排出量の埋め合わせをした分)を差し引いたものです。

どちらの係数を使うのがいいのかは、ものづくり補助金の公募要領では書かれていませんが、どちらを使うかを統一すれば、当社の見解としてはどちらでもよいのではないかと思います。ものづくり補助金のグリーン枠では、排出量自体が問われるのではなく、炭素生産性が1%以上向上していることを立証すればよいからです。どちらを使うかを統一していれば、どちらを使おうが炭素生産性の向上度合いを計算することは可能です。

また、基礎排出係数と調整後排出係数はどうやって調べればいいのでしょうか?これは電力会社のメニューごとに係数が決まっており、電力会社はもちろんのこと、環境省も公表をしています。例えば上記の「エネルギー起源二酸化炭素排出量等計算ツール」の例では、関西電力の基礎排出係数を使っていますが、これは環境省の「算定方法・排出係数一覧」のページにおける、「電気事業者別排出係数一覧(令和4年提出用)」に載っている係数です。(左側の係数が基礎排出係数で、右側の黄色にマークした係数が調整後排出係数です)

メニューAとかBとかCとかD(残差)とあるのは何かというと、排出係数がゼロなのは再生可能エネルギーで発電されたメニューのことです(ぼくもAとBとCの違いはよくわかりません)。例えば関西電力では「再エネECOプラン」といって、再生可能エネルギーの電気を使うというプランがあります。こうしたプランのことだと思われます。特別に再生可能エネルギーのプランを使っているわけでなければ、係数が設定されているもの(残差と書かれているもの)を選べばよいでしょうが、詳しくは契約している電気事業者に確認するのが最も正確です。

ちなみに係数に関する情報は、環境省だけではなく、電力事業者のホームページなどでも公開されています。こちらは関西電力の告知ですが、環境省の係数と関電の係数が一致していることがわかりますね。

https://www.kepco.co.jp/corporate/notice/notice_pdf/20220208_1.pdf

以上、電気使用量からCO2排出量を求める方法について説明をしましたが、CO2の排出は電気の使用からだけではありません。同様にガスやその他燃料についても計算が必要です。これは「エネルギー起源二酸化炭素排出量等計算ツール」の「シート02」で計算ができるようになっています。(燃料の種類に応じた係数があらかじめ書かれています)

炭素生産性はものづくり補助金の事業計画書の中でどのように示せばよいか

では、こうして計算した炭素生産性はものづくり補助金の事業計画書の中でどのように示せばよいでしょうか。これについては様式2「炭素生産性向上の取組及び温室効果ガス排出削減等の取組状況」で記載例があります。このように示すことが必要でしょう。

 

  • B!

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