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2022年度ものづくり補助金「グリーン枠」徹底解説(第4回)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

2022年度ものづくり補助金から新たに設けられた「グリーン枠」の徹底解説、今回で最終回です。今回はグリーン枠固有の審査項目と、様式2「炭素生産性向上の取組及び温室効果ガス排出削減等の取組状況」について解説をします。

グリーン枠固有の審査項目

ものづくり補助金公募要領P27には、グリーン枠固有の審査項目が記載されています。下記に引用します。

(5)炭素生産性向上の取組等の妥当性(グリーン枠のみ。【様式2】を元に審査します。)

① 炭素生産性を向上させるための課題が明確になっており、温室効果ガスの排出削減等に対して有効な投資となっているか。

② 設備投資の効果が定量的に示されており、その算出根拠が妥当なものとなっているか。また、本事業の目標に対する達成度の考え方、見込みが明確に設定されているか。

③ 温室効果ガスの排出削減、エネルギー消費削減等に資する継続的な取組が実施されているか。

「【様式2】を元に審査します」と書いていることから、ここに書かれている審査項目の3点は様式2の中に漏れなく記述する必要があるでしょう。

グリーン枠審査項目①炭素生産性を向上させるための課題、有効な投資

審査項目①は「① 炭素生産性を向上させるための課題が明確になっており、温室効果ガスの排出削減等に対して有効な投資となっているか。」となっています。

「課題」という言葉は、いろんな意味に取ることができますので、これだけでは具体的に何を問おうとしているのかが明確ではありませんね。デジタル大辞泉を引くと、課題とは「解決しなければならない問題。果たすべき仕事。」とあります。ここから推察すると、「炭素生産性を向上させるために、何を解決するか、どういう仕事を果たすべきか」ということを明確にする必要があるようです。

例えばですが、エアで駆動している設備を、電動の設備に変えるなどが該当するでしょうか。エアで駆動するためにはコンプレッサーが必要です。しかしコンプレッサーは消費電力が高く、環境負荷が高い設備の代表選手のようなものです。この例だと、「炭素生産性を高めるためにエアで駆動する工程を減らす」というのが「課題」になるでしょう。(エアから電動にすることで生産性が落ちてはいけませんので、生産性も同時に高まるような設備の導入をしないといけないでしょうが……そんな設備はあるんでしょうかね)

また「温室効果ガスの排出削減等に対して有効な投資となっているか」という部分については、新しい設備がどういう点で温室効果ガスの排出削減に寄与するかを説明しなければならないでしょう。

グリーン枠審査項目②設備投資の効果

そしてグリーン枠審査項目②は「設備投資の効果が定量的に示されており、その算出根拠が妥当なものとなっているか。また、本事業の目標に対する達成度の考え方、見込みが明確に設定されているか。」というものです。

ここではまず、設備導入前の炭素生産性と、設備導入後の炭素生産性を比較するなどして立証することが必要でしょう。そしてその計算根拠(特に二酸化炭素排出量)については明確に記述する必要がありそうです。(これは様式2「炭素生産性向上の取組及び温室効果ガス排出削減等の取組状況」の2ページめに記述するのでしょう)

「本事業の目標に対する達成度の考え方」というのは、どこまでやれば本事業(低炭素化に資する革新的な取り組み)が成功と言えるかという基準を明確にすることです。指標としては炭素生産性でもいいでしょうし、当該工程の電力消費量でもいいかもしれません。もっというと、この補助金は単に二酸化炭素排出量を低減するためだけのものではないので(生産性向上に伴う付加価値額の増加を目指すものなので)、新しい設備を導入してどのくらい生産性が上がれば成功といえるのかという基準も定める必要があるでしょう。具体的には、様式2の3ページめ「3.事業計画期間における炭素生産性向上の見込み」に書くのだと思います。

環境負荷低減と生産性向上の両立を目指さないといけませんので、結構難しいと思います。

グリーン審査項目③継続的な取り組み

グリーン枠審査項目③は「温室効果ガスの排出削減、エネルギー消費削減等に資する継続的な取組が実施されているか。」です。これは様式2の4ページめ「4.温室効果ガス排出削減等の対策・取組状況」に書くのだと思います。

これまでに自社で取り組まれてきた温室効果ガス排出削減等に資する対策や取組の内容について、可能な限り具体的に記載すればよいでしょう。様式2の4ページ目には例の記載もあります。

・高効率の照明・空調・熱源機器の活用によるエネルギー消費削減及び定量的効果、

・電気自動車の利用、暖房・給湯のヒートポンプ利用による削減及び定量的効果、

・節電・節水、クールビズなどの省エネ対策及び定量的効果、

・太陽光・風力等のクリーンエネルギーの導入とCO2排出削減及び定量的効果 等

ところで「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)又は地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づく温室効果ガスの排出量の報告(定期報告)を行っている事業者である場合は、提出した報告書の写し(原則3年分)の提出により、本項目の記載は不要です」とあります。ただ、中小企業で、省エネ法や温対法の報告義務のある企業は少ないでしょうね。

  • B!

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