おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
10月28日、政府は、物価高や円安に対応するための新たな総合経済対策を閣議決定しました。この新しい「総合経済対策」で述べられている取り組みのうち、2023年に実施されると思われる中小企業向け補助金・助成金について、2回にわたり解説します。
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【速報】新たな「総合経済対策」に見る 2023年中小企業向け補助金・助成金(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 10月28日、政府は、物価高や円安に対応するための新たな総合経済対策を閣議決定しました。この新しい「総合経済対策」で述べられている取り ...
Ⅱ-1.コロナ禍からの需要回復、地域活性化
コンテンツ海外展開促進・基盤強化事業
これは昔からやっている施策で、J-LODとも呼ばれています。従来の事業の延長をするといことでしょう。経済対策の本文中では「Web3.0やメタバース等の新たな技術等を活用したライブエンターテイメントに対する支援やロケ誘致を含めたコンテンツ産業の基盤強化」と書かれています。
Ⅱ-2.円安を活かした経済構造の強靱化
円安メリットを活かしたサプライチェーン強靱化支援
これは新しい補助金施策ではないかと見られます。bloombergの記事によると「特に半導体や蓄電池の工場立地、企業の国内回帰や農林水産物の輸出拡大などに取り組む」とありますので、この事業では、半導体や蓄電池の工場を国内に立てるとか、農産物の輸出をするとか、そうした分野における取組に国が補助をするというものではないかと思われます。
サプライチェーン確保のための国内投資促進対策
いわゆる「サプライチェーン補助金」と呼ばれるものです。コロナの第一波のころ、国内でマスク不足になったのは記憶にも新しいところですが、マスクのように、そのほとんどを海外で作っているという製品があると、何かあった時に国内でモノが不足するというリスクがあります。
そこで、海外での生産の集中度が高い製品・部素材などを国内で作るために補助金を出そうというものです。コロナの第1波のころからの施策ですが、それが継続される見込みです。ただ採択者の顔ぶれを見ると大企業がほとんどで、中小企業としてはかなりハードルが高い補助金だと個人的には思っています。
重要鉱物サプライチェーン強靱化事業
これは新しい補助金施策ではないかと見られます。ここでいう「重要鉱物」とは、いわゆるレアアースのことでしょう。現在日本は、レアアースの輸入の5割近くを中国に依存していますが、中国では、サプライチェーン全体でレアアース産業への統制を強めつつあります。中国では2020年に輸出管理法という法律が施行されたのですが、輸出管理対象が今後、レアアースにも及ぶ可能性があると言われています。そのようなリスクを回避するため、レアアースに関して、中国以外の国とのサプライチェーン構築を進めることを、国が補助するのだと思われます。
海外市場開拓・有志国サプライチェーン構築等促進事業
これも新しい補助金施策ではないかと見られます。これは、日米を中心とした同盟国・有志国から物資を調達するための取り組み支援策だと思われます。例えばですが、半導体製造用ガスであるネオンやクリプトン、キセノンの生産量は、ロシア・ウクライナで世界シェアの6割程度を占めていました。ところがロシアによるウクライナ侵攻の影響で、ロシア・ウクライナからの供給が途絶えるというリスクが大きくなりました。だから新たな供給国を日本の友好国から探さないといけないのですが、そうした新たな供給先を探すにあたっての費用を国が補助するというものではないかと思われます。
同じように、日本からロシアのような非友好国に輸出していたようなものも売れなくなります(例えば自動車部品)。こうした輸出品の新たな販売先を、やはり友好国のなかで開拓するような費用も、国が補助するというものではないかと思われます。
スタートアップの起業加速
経済対策の本文によると「優れたIT人材を発掘・育成する取組の拡大、海外における起業家育成拠点の創設、国内外の投資を呼び込むためのベンチャーキャピタルへの出資機能強化、研究開発型スタートアップや創薬ベンチャーの支援強化、大学等の技術シーズ事業化支援等」と書いています。こうした取組に対して補助をしたり、伴走支援などを行うのだろうと思われます。
特定生活関連サービスインバウンド需要創出促進・基盤強化事業
経済対策には詳しく書かれていませんが、特定生活関連サービスとは、例えばブライダルやヘルスケア(医療)などを指しているのではないかと思われます。というのも、自民党の「新たな総合経済対策に向けた提言」によると「ブライダル産業振興等によるインバウンドの収益力強化」みたいなことが書いています。また今回の経済対策とは関係はないのですが「令和5年度経済産業政策の重点」という経産省の資料には、「日本への医療インバウンドの促進を行う」という言葉も見られます。したがって、こうした分野でのインバウンドの促進に対して補助をするという内容なのかもしれません。
Ⅲ-2.成長分野における大胆な投資の促進
SBIRの抜本拡充
SBIR制度というのは、中小企業者や、これから事業を立ち上げようとする人たちの、技術革新を支援する国のプログラムです。7省庁が参加しており、これらの研究開発に関する補助金・委託費等の中から、中小企業に交付できそうなもの(しかも技術革新につながるようなもの)を「特定補助金等」と指定する制度です。代表的なものに「ものづくり補助金」や「サポイン補助金」があります。「骨太の方針2022」でもSBIRの拡充が述べられていたので、その路線の継続なのだと思われます。
クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進
令和3年度補正予算でも実施された「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」の継続と思われます。電気自動車・プラグインハイブリッド車・燃料電池自動車等の導入に対する補助でしょう。
グリーン社会に不可欠な蓄電池の製造サプライチェーン強靱化支援
これも新しい補助金施策ではないかと見られます。経済対策を読むと「蓄電池の国内製造基盤強化」と書いていますので、蓄電池製造関連の投資に対して補助をするというものではないかと思われます。
電力性能向上によりGXを実現する半導体サプライチェーンの強靱化支援
これも新しい補助金施策ではないかと見られます。経済対策には「デジタル社会と脱炭素化の両立に不可欠なパワー半導体や光電融合技術等の製造基盤強化や技術開発等、自動車分野をはじめとするGXに向けた支援を行う。」と書いていますので、そこにあるように、パワー半導体や光電融合技術等の製造基盤強化に対する投資への補助だと思われます。
省エネルギー設備への更新を促進するための補助金の強化
これまで行われてきた「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」が継続すると思われます。経済対策には「強化」と書いていますが、これは既に新聞等で報じられているように、企業の複数年にわたる省エネ投資を、今後3年間での集中支援するというものに変わることを指していると思われます。それ以上のことは具体的には今はわかりませんが、中小企業生産性革命推進事業のように基金形式で3年間の事業として行われるのではないかと思われます。