おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
環境法令解説シリーズ、今回はEUの新しい規制である欧州森林破壊防止規則(EUDR)についてざっくりと解説をします。EUDRは森林破壊などを防ぐことで、地球温暖化の防止や生物多様性を守っていこうという趣旨の、欧州の「法律」です。今日はこのEUDRの罰則と日本企業への影響について説明します。
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これまでの記事
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【環境法令解説シリーズ】EUDR(欧州森林破壊防止規則)ざっくり解説(1)
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【環境法令解説シリーズ】EUDR(欧州森林破壊防止規則)ざっくり解説(2)
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【環境法令解説シリーズ】EUDR(欧州森林破壊防止規則)ざっくり解説(3)
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関連リンク
■■■EUDRに関するEU公式ページ(英語)■■■
■■■EU官報に掲載されたRegulation本文(英語)■■■
※規制対象原材料・製品リスト(Annex1)も上記URLから参照可能
■■■JETRO記事(日本語)■■■
EUDRの罰則について
昨日説明をした義務を果たさなかった場合は、罰則もあります。罰金がまずまず重くて、EU域内での売上の最低4%です。売上の4%というと利益がかるく吹っ飛ぶくらいの罰金額なので、決して軽くはありませんね。
EUDRの日本企業への影響について
最後に、EUDRが日本企業にどのような影響を及ぼすかを考えてみましょう。結論としては、影響を受ける日本企業はそれほど多くないだろうと思いますが、該当する場合にはそれなりの義務やリスクを覚悟する必要もありそうです。
まず、EU地域内に子会社を持ち、その子会社が「オペレーター」に該当する場合は、EUDRのオペレーターとしての義務を負います。また、EU地域内に子会社があり、その子会社が「トレーダー」に該当する場合は、EUDRのトレーダーとしての義務を負います。
それ以外の場合でも影響は考えられます。EU域外で該当原材料や製品を生産し、EU内のオペレーターに輸出している場合、EU内のオペレーターからデューデリジェンスに必要な情報提供が求められます。場合によっては、監査を受けることもあるでしょう。これらの情報提供や監査は一度きりではなく、定期的かつ継続的に対応する必要があると考えられます。また高リスク国で生産される原材料や製品を取り扱っている場合、オペレーターはリスクを避けるために、高リスク国の原材料や製品の輸入を中止し、代わりに低リスク国や標準リスク国から代わりのものを仕入れる可能性があります。
最後に、EU内のオペレーターから該当の原材料や製品を日本などに輸入している場合、オペレーターが高リスク国の原材料や製品を扱うリスクを避けるために、製品の取扱を止めるとか、リスクの低い製品に切り替える可能性があります。また、デューデリジェンスの実施は輸出業者にとっては負担になるので、製品の入荷が滞るとか、価格が上がる可能性もあるでしょう。
EUDRに関して我々が受けるかもしれない最も大きな影響は、EUDRによく似た法律が、将来的に日本でも施行されるかもしれないということです。持続可能な社会づくりというのは世界的な潮流になっていますので、これは「対岸であるEUでの火事」ではなく、いずれ日本でもこうしたことが全面的に求められるようになるかもしれません。