おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
EUのAI規制法案である"EU AI Act"に関して、11/28時点での最新情報を、かいつまんでお伝えします。(情報源は、The EU AI Act Newsletter #41です。何回か解説をサボってました💦すみません)
G7広島サミットで決まったAIの行動規範(ヒロシマプロセス)を巡る議論
Euractive(EU問題に特化した報道機関連合)のルカ・ベルトゥッツィ氏によると、AI法案の交渉を行っている欧州議会議員たちは、OpenAIのGPT-4のような強力なAI基盤モデルに対して、厳格に規制することを検討しているようです。一方でフランス、ドイツ、イタリアはこうした厳しい義務について反対をしているようです。どうも最近、ヨーロッパの政策立案者の間では、GPT-4のような強力な基盤モデルの管理について意見が合っていないようです。フランス、ドイツ、イタリアは、G7広島サミットで決まったAIの行動規範(ヒロシマプロセス)以外の既成には反対しているようですね。
しかし欧州議会は、GPT-4のような強力な基盤モデルの開発者に対する義務を課すべきだと主張しており、いくつかの拘束力のある特別なルールを含むワーキングペーパーを作成しました。具体的には、内部評価とテスト、サイバーセキュリティ対策、技術文書、エネルギー効率基準などが含まれているようです。こうした義務は、OpenAIのような、システム上のリスクを持つ基盤モデルの開発者に適用され、モデルを利用するだけの下流の開発者には適用されないようです。
AIオフィス(筆者注:よくわからない組織だが、おそらくEU内のAI関連の問題について検討したり、チェックする組織)はコンプライアンスの監視を行い、違反に対して制裁を科すことになりそうです。
ところで、G7広島サミットで決まった行動規範(ヒロシマプロセス)に基づいて、EU独自の行動規範を作ろうとしています。欧州議会議員たちは、こうしたEU独自の行動規範に理解を示してはいますが、行動規範は、厳しい規制要件を補完するものという位置づけで考えているようです。システム上のリスクを持つモデルを指定する基準には、その基盤モデルの能力、ユーザー数、投資規模、モダリティ(画像・音・テキストといった扱う情報の種類)、リリース戦略が含まれているようです。なお、委員会が提案したシンプルな基準は拒否されました。
AI Pact(AI協定)の導入
欧州委員会はAI Pactを導入しました。これは、AI開発企業がEU AI Actで決められた期限までに、法で求められている対策を実施することを自主的に取り組むことを奨励するものです。
AI法の規定の中には、法の採択後すぐに発効するものもあれば、特にリスクの高いAIシステムについてなど、移行期間を経て適用されるものもあります。AI Pactは、開発企業がAI法の要件をあらかじめ理解し、早く実施することを求めるものです。このAI Pactは、生成AIが急速に普及することに対して、少しでも早く手を打つために行われるようです。
開発企業は、AI Pactに従うことで、計画中またはすでに導入しているシステムやサービスが、法を順守していることをコミットできます。欧州委員会はこうした企業のコミット誓約を収集・公表し、透明性と信頼性を高めようとしているようです。
AI Pactはまた、EU内外の重要な産業関係者のコミュニティを作り、将来のAI法案の原則についての認識を高めることを目的としているようです。このAI Pactに関心のある企業は、現在、AI Pactへの関心を表明することができるようです。