おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO 9001や14001では、2015年版になったときから「リスクベース思考」が強調されています。「リスクベース思考」とはどういうもので、どのように企業の日々の仕事に組み込まれて、どういう利点があるのかを解説します。
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今回の記事の参考文献(ISO公式資料)
Risk Based Thinking in ISO 9001:2015
リスクベース思考は普段我々が当たり前にやっているようなこと
「リスクベース思考」をよく知るために、ちょっとした事例をご覧いただきましょう。
ある人が海外旅行に行く際、時間通りに空港行きのバスに乗る必要がありました。でも、寝坊をしたのでバスに間に合わないかもしれず、焦ってます。バス停は道の反対側にありますが、横断歩道は200メートル先にあります。横断歩道を渡るようだと、確実にバスには乗り遅れます。バスの到着が迫っていたため、直接道を渡る選択肢を検討しました。
まずこの選択肢のリスクを特定しますが、横断中に車にはねられるというのがリスクですね。一方、バスよりも早くバス停に到着するというのが「機会」になります。
続いて、リスクの評価をします。車にはねられるリスクを、天候や交通量などの要因を基に評価しました。今この瞬間は車が少なくて、しかも天気がいいので見通しもよいという状況でしたので、道路をここで渡るリスクは許容範囲内と判断しました。
そしてリスクに対する取組方法を決めます。具体的には、安全に渡るために車が来ていないことを確認して、走って渡るという計画です。この計画通りに注意しながら実行をして、無事にバスに間に合いました。
しかしこうしたリスクある行動にハラハラしたので、次回はもっと早起きするとか、前日に空港近くに泊まるようにしようと決意しました。
これがリスクベース思考のわかりやすい一つの例ですが、ご覧のように、リスクベース思考とは、新しいものでも難しいものでもなく、普段我々が当たり前にやっているようなことだということがおわかりいただけると思います。
リスク管理の一般的なプロセス
今の例をもう少し専門的に説明してみます。
まず「リスク特定」という段階では、道を渡ったら事故にあうかも?というリスクを見つけましたね。次に「リスク評価」の段階では、車の量や天候なども含めて考えて「リスクは小さそうだ」と見積もりました。続いて「リスク対策の計画」では、注意して急いで渡ろうということを決めました。そして「リスク対策の実施」では、計画に従って実行をしました。最後に「リスク対策の監視と見直し」という段階で、次は早起きしようという改善策を導き出す、という具合に進んでいきました。
こうしたことを踏まえると、リスクベース思考とは、「こうなったら困るな」と心配する出来事に対して、その時々の具体的な状況や情報をよく考えて、事前に計画を立て実行するという考え方のこと、と言えるでしょう。
次回は、ISOマネジメントシステムで、リスクベース思考をどのように扱うのか、具体例を説明します。