おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
政府の総合経済対策は毎年11月に公表されますが、今年の原案についての報道が散見されるようになりました。中小企業関連について、今報じられている内容をまとめます。
中小企業政策の内容はほとんど聞こえてこない
まず結論じみたことですが、この記事の執筆時点(11/14)では、報道で中小企業政策の内容はほとんど聞こえてきません。
中小企業政策は報道の優先順位が低いのは毎度のことなので、これをもって「政府は中小企業のことを考えていない」と判断するのは早計です。ただ、後述するように政府としての優先順位も見えつつあるので、今年の総合経済対策における中小企業政策がどのようなものになるかは、あまり想像がつかないというのが、今の時点で言えることです。
中小企業の生産性向上など
これは公明党のホームページの記述ですが、経済対策原案巡る議論の中で、中小企業の生産性向上などの重要性が話し合われています。
会議では政府原案について、公明党が衆院選で掲げた重点政策や、総合経済対策に向けた提言の内容が、おおむね反映されていることを確認した。また、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現するため、中小企業の生産性向上などによって賃金・所得の増加につながる対策を示す重要性を改めて共有した。
「重要性を改めて共有した」という表現からの推察になりますが、総合経済対策の政府原案には中小企業生産性向上のための施策が含まれている可能性がありますね。
中小企業生産性向上のための施策は、従来のものだと、中小企業生産性革命推進事業(ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金、事業承継・引継ぎ補助金の総称)や、中小企業省力化補助金などが浮かびます。これらの施策は継続される可能性があります。(あくまでも現時点では可能性です)
最低賃金引き上げにともなう中小企業向けの相談窓口拡充
以下は日刊工業新聞の記事ですが、最低賃金引き上げにともなう中小企業向けの相談窓口拡充が原案に含まれていることがわかります。
2020年代に最低賃金を全国平均1500円とする目標に向け、早急に政労使の意見交換を開催するほか、中小企業向けの相談窓口を拡充するとした。
具体的には、よろず支援拠点や下請けかけこみ寺、働き方改革推進支援センターあたりの業務のことではないかと思います。「拡充」が何を意味するかはわかりませんが、これらの窓口運用予算が増えるのかもしれません。
総合経済対策の目玉は「AI」と「半導体」
今年の総合経済対策の目玉は「AI」と「半導体」のようです。以下は日刊工業新聞の報道です。
政府は月内にまとめる総合経済対策に、半導体・人工知能(AI)分野への支援策を盛り込む。2030年度までに10兆円以上の公的支援を行う新たな「枠組み」を設け、「計画的」に両分野を後押しする。
半導体に関しては、令和5年度補正予算では基金形式で約2兆円の予算が確保されました(経済安保基金、先端半導体基金、ポスト5G基金等)。2030年までに10兆円という規模感が記事で示されていますが、今後5~6年間で10兆円ということですから、年間2兆円前後の規模ですね。つまり、令和5年度補正予算と同等の予算が、今後5~6年にわたって続く見通しなのでしょう。
基金形式で予算確保したものは補助金として交付されますが、交付先は大企業(例えばルネサスやローム、部素材メーカーのイビデン、原料メーカーの大陽日酸など)なので、半導体製造装置部品を加工している中小企業などが設備投資に活用できるような補助金では(これまでのところ)なさそうです。
ここに総合経済対策の重点があるようですので、その他の中小企業政策がどうなるかは、内容・規模感ともに不透明と言えるでしょう。中小企業生産性向上のための施策は継続しそうですが、予算規模も縮小となってもおかしくないですね。(そもそも中小企業向け補助金は有識者会議でもやり玉に上がっていますので……)
なお、2024年の総合経済対策は11月中には公表されるようです。