おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
環境法令解説シリーズ「土壌汚染対策法」を解説をします。今回は、土壌調査の結果、法が定める基準を超えていたらどうなるかを中心に解説します。
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「【環境法令解説シリーズ】土壌汚染対策法 知らないと危ない!基礎知識を解説(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 環境法令解説シリーズ「土壌汚染対策法」を解説をします。土壌汚染対策法の目的とその背景、そしてどういうケースで土壌調査が必要になるかの2 ...
法で定められた基準を超えて汚れていた場合はどうなるか
前回解説した4つの調査の結果、もし土壌が法で定められた基準を超えて汚れていた場合、そのリスクの大きさによって2つの区域に指定されます。
1つ目は「要措置区域」です。汚染がひどく、近くに飲用井戸がある場合や、人が立ち入りやすい場所に指定されます。この区域では、汚染を除去したり土壌を浄化する工事が必要です。
2つ目は「形質変更時要届出区域」です。この区域では、リスクが比較的小さいため、すぐに浄化を行う必要はありませんが、土地を掘り返す工事などを行う際には、自治体に届出をする必要があります。
このように、土壌汚染対策法は、土壌の汚れを調査し、そのリスクに応じて適切な対策を求める法律です。また、この法律を守らない場合には、懲役や罰金刑が課されることがあります。特に注意すべきなのは、この法律には両罰規定があるため、企業と従業員の両方が処罰の対象となる点です。
これらの調査や対策について、「有害物質使用特定施設の廃止時」と「一定規模以上の土地形質変更時」は特に重要なポイントになります。次に、それぞれを詳しく見ていきましょう。
有害物質使用特定施設とはなにか
「有害物質使用特定施設」とはどのような施設を指すのでしょうか。一見すると難しい名前に感じますが、簡単に言えば、有害な物質を取り扱っている設備を持つ施設のことです。具体的には、水質汚濁防止法で定められている特定施設に該当します。たとえば、六価クロムを使用するメッキ工場の設備などがこれにあたります。このような施設を廃止する際には、その土地が汚染されていないかを確認する調査が必要です。
調査の対象となる施設が「特定施設」に該当するかどうかは、基本的には過去に水質汚濁防止法に基づく届出をしているはずなので、記録が残っている可能性があります。ただし、長い年月が経過すると記録が散逸したり、関係者が忘れてしまっている場合もあるため、そうした場合は、管轄の自治体(例えば環境課や土壌汚染を担当する部署)に問い合わせて確認する必要があります。
一定規模以上の土地形質変更時とはなにか
次に、「一定規模以上の土地形質変更時」の「一定規模」とはどれくらいの規模を指すのでしょうか。これは、土地を整地する工事で、3000平方メートル以上の大規模な工事を行う場合に該当します。整地とは、傾斜のある土地を平らにする作業、例えば切土や盛り土のことを指します。また、有害物質使用特定施設が存在する工場では、900平方メートル以上の土地を整地する場合も「一定規模」に該当します。
このような整地を始める際には、着手の30日前までに自治体に届出を行うことが義務付けられています。そして、届出を受けた自治体がその土地に「汚染の恐れがある」と判断した場合には、土地所有者が調査を実施しなければなりません。
一方で、自治体が「汚染の恐れがない」と判断した場合は調査の必要はありませんが、いずれにしても、届出をしてから30日間は工事に着手することはできません。このルールは、土地の安全性をしっかり確認するために設けられています
土壌汚染対策法のポイントまとめ
「土壌汚染対策法」について2回にわけて解説をしました。
ポイントは以下の2点ですね
- 土壌汚染対策法は、健康を守るために、土地が汚染されていないかを調査し、必要に応じて対策を行う法律
- 調査のきっかけとして4つのケースがあって、特に「有害物質使用特定施設の廃止時」と「一定規模以上の土地形質変更時」は詳しく理解する必要がある
調査や汚染除去をするとなると、お金も自己負担になるので大変なんですが、日本政策金融公庫の融資制度があったり、日本環境協会の助成金制度があったりします。そうしたものも使いながら、やっていきたいですね。