おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
昨日に続き、ものづくり補助金の様式2に「会社全体の事業計画」という表の留意点をまとめてみたいと思います。
前回の記事はこちらです
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ものづくり補助金様式2「会社全体の事業計画」を作るうえでの留意点
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 ものづくり補助金の様式2に「会社全体の事業計画」という表があります。今後5か年の予測PLを作成することが求められているのですが、これを ...
「付加価値額年率3%・経常利益年率1%の向上」の捉え方
この事業計画では、付加価値額年率3%・経常利益年率1%が向上する計画であることが要件になっています。この「年率」というのは曲者ですね。計画終了時に年率を達成していればいいのか(例えば5年計画の場合、付加価値額が5年目に15%になっていれば途中経過は問わないのか)、それとも毎年3%ずつ増加していることが必要なのかは、公募要領には明示をされていません。
現実的には、毎年右肩上がりに3%ずつ上昇するというのはあり得ないとまでは言いませんが、そんな順調に物事が進むというのはまれなことです。現実には、ある年度に特需があったり、震災やリーマンショックのようなこともあり、上振れも下振れもどちらも起こりえます。
しかし万難を排して補助金の採択を狙うには、毎年3%ないしは1%ずつ向上するという計画を立てていたほうが、審査上のリスクは低いのではないか、というのが僕の解釈です。ただし、ここで設定した数値については、補助事業終了後に、事業化状況等報告において伸び率の達成状況の確認を行うことになっているので、その点を留意してください(公募要領P23)。つまり、ここで立てた計画と、実績があまりにもかけ離れた場合、その理由についての説明を求められるかもしれないということですね。
審査項目と関連した留意点
公募要領の審査項目(P29~P30)にある政策面では、次のような記述があります。
① 厳しい内外環境の中にあって新たな活路を見出す企業として、他の企業のモデルとなるとともに、国の方針(「経済の好循環実現に向けた政労使の取組について」において示された賃金上昇に資する取組みであるか等)と整合性を持ち、地域経済と雇用の支援につながることが期待できる計画であるか。
② 金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。
ということですので、人件費は増加する方向(雇用を増やすため)で事業計画を算出するのが望ましいでしょう。また、今回の補助金のための資金調達を金融機関からの融資でと考えているのであれば、その条件(新たに借り入れる額、利率、返済期間)を考慮した営業外費用の計算をしましょう。
「算出根拠を具体的に明記」はどこまで記入すべきか
公募要領のP22~P23にかけて、この事業全体の事業計画においては「算出根拠を具体的に明記」と要求されています。
どこまで記入する必要があるでしょうか。これまで内容も踏まえて、最低限この程度は根拠として書いておきたいという点をまとめておきます。
- 減価償却費の根拠として、投資する税務上の設備の種類と償却期間、初年度使用月数、償却率等
- 融資による資金調達をする場合の根拠として、借入金額、利率、返済期間
- 雇用が増えるという前提で、5年間の新規雇用者数(もしくは全社従業員数)と想定する一人当たり人件費
- 賃上げの加点項目を申請する場合は、人件費の増加率
- 売上向上が見込める場合は、その根拠(なぜ売上が伸びるのか、売上がどの程度伸びると見積もったのか)
- 生産性向上により原価低減が図られる場合は、その根拠(製造原価のどの部分がどの程度、なぜ低減すると見積もったのか)
これで十分かどうかはわかりませんが、少なくとも僕の場合はこれらを全てシミュレーションしたうえで、5か年の事業計画を作成しています。それでこれまで9割近い採択率を残していますので、それほど的は外してはいないと思います。
1円単位までの計算ミスに注意
会社全体の事業計画では、経常利益と付加価値額は、それぞれ足し算が求められます。この足し算が正しくできているか、1円単位まで確認をしてください。足し算の計算ミスにより、再提出になった事例があります。
いかがでしたか?この表を一つ作るのも結構大変でしょう??
しかし、数字はできる限り説得力のあるものに仕上げ、じゅうぶんに訴求したいものです。参考にしてください!