おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
平成30年度第2次補正予算案に関する報道がよく聞こえてくる時期になりましたが、大きなニュースがありました。経済産業省・中小企業庁は平成30年度第2次補正予算案で「生産性特別補助金」を創設するそうです。これはものづくり補助金、IT導入補助金、小規模補助金を統合したものだそうです。日刊工業新聞の報道を分析します。
日刊工業新聞「企業庁、『生産性特別補助金』創設 1000億円規模」
日刊工業新聞は12月13日、「企業庁、『生産性特別補助金』創設 1000億円規模」という記事を出しました。内容は結構衝撃的で、これまで想像もしなかったことが書かれています。まずは冒頭部分を引用します。
経済産業省・中小企業庁が2018年度第2次補正予算案で、中小企業・小規模事業者を対象にした「生産性特別補助金」を創設し1000億円規模を盛り込むことが明らかになった。中小企業の設備投資を促す「ものづくり補助金」を中心に「IT導入補助金」「持続化補助金」の3本柱を統合して大規模予算を投じる。
ものづくり・IT導入・小規模の3補助金を統合とはどういうことか
記事だけではなかなか理解が難しいのですが、ものづくり・IT導入・小規模の3補助金を統合するということはどういうことでしょうか。手がかりとなりそうな部分を引用します。
生産性特別補助金は、中小企業の設備投資を促す「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「持続化補助金」が柱。このうち大半を中小企業の設備投資を支援する「ものづくり補助金」に充てる。
この一文を読むと、「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「持続化補助金」という区分は残るのではないかと推察されます。これは僕の推測にすぎませんが、おそらく「生産性特別補助金」とはこの3補助金の総称のようなものかもしれません。つまり、次のようなイメージになるのかもしれません。
予算はこの3補助金トータルで(生産性特別補助金として)1,000億円だそうです。この1,000億円を、3補助金で分配する形になるのでしょう。ものづくり補助金をx億円、IT導入補助金をy億円、小規模補助金をz億円とすると、x+y+zの合計が1,000億円になるということでしょうか。また、この3補助金のうち、大半をものづくり補助金に充てると書かれていることから、xの額が最も大きくなる、ということだと記事からは読み取れます。
3補助金のうち「ものづくり補助金」の内容にも前年からの変化が
記事によると、「生産性特別補助金」が創設されるのに加え、ものづくり補助金の運用にも前年からの変化があるようです。記事を引用します。
18年度第2次補正予算案では利用の中心である「一般型」と、設備投資の総額が小さい「小規模型」の二つの分類型が支援の中心になる。ものづくり補助金は、19年度予算概算要求でも100億円分を盛り込んだ。19年度政府予算案では「企業間データ活用型」が支援の中心となる
前年度のものづくり補助金では、「一般型」「小規模型」「企業間データ連携」の3つの区分があり、それらが全て同時に公募されました。平成30年度第2次補正予算で運用されるものづくり補助金は「一般型」「小規模型」中心であり、平成31年当初予算(100億円を計上予定)で運用されるものは「企業間データ連携」中心と、予算と事業類型を分けて運用する形のようです。
15カ月予算化して、事業実施期間を長くとるのでは……という僕の予測は見事に外れました。
しかしこれは事実上の予算減額ではないか
「生産性特別補助金を創設」というと聞こえはいいですが、これは事実上の予算減額ではないかという気もします。というのも、前年度はものづくり補助金に1,000億円、IT導入補助金に500億円、小規模持続化補助金に120億円という予算がついていました。合計で1,620億円でしたが、それが今回は1,000億円になるということです。確かにIT導入補助金は予算が大幅に余るなどの結果に終わったという噂も聞こえてくるので、予算配分の見直しもやむなしの部分はあるでしょうが、1,620億円が1,000億円となるというのはかなりの減額率だと思われます。(記事では「1,000億円規模」とあるので、1,000億円ちょうどではないかもしれませんが……)
しかし「統合」というくらいなので、総称の創設と予算の共通化だけではなく、何か運用面での統合もあるのかもしれません。
懸念もたくさん思い浮かぶ
これだけのニュースでは判断のありませんが、頭の中は疑問だらけです。僕の疑問をあげてみます。
- これまでは別々の事務局が受付等の事務処理を行っていたが、事務局も統合するのか
- 3補助金の公募期間も統合するのか
- 重複申請(3補助金すべてに応募する等)はできるのか
- 重複申請できるとして、事務処理の軽減はあるのか(申請書に何度も同じようなことを書かなくて済むのか)
- 事務処理方法も統合されるのか
- ゆとりのある事業実施期間の設定はないのか
日刊工業新聞の記事によると、詳細は12月末に発表されるそうです。その発表を待つしかありませんね。