ものづくり経営革新等支援機関

企業不祥事の真因はどこにある?

このところ、大企業の不祥事が続いています。つい先日も、三菱マテリアル社が検査データを改ざんしたというニュースがありました。

どうしてこのようなことがおきるのでしょう?

人はどういう時にルールを破るのか

千葉商科大学の藤江教授によると、人がルールを破るケースとして、次の5つのパターンがあげられるそうです。

  1. ルールそのものを知らない場合
  2. ルールは知っているが、その内容に納得がいかない場合
  3. そのルールを破ったとき、処罰規程がないか、あっても軽い場合
  4. ルールを破ったときのハンディより得る利益のほうが極めて大きい場合
  5. 事実上ルールを守るものが少ない(みんながやっている)場合

三菱マテリアル社の不祥事の原因分析結果は、まだ公表されてはいません。似た事例である神戸製鋼の不祥事の場合は、11月10日の公開された調査報告書によると「収益重視になっており、品質よりも生産や納期を優先していた」という趣旨の報告がなされました。検査データを改ざん(ルールを破る)よりも、生産や納期を優先し収益を確保する(得る利益)のほうが大きいという点で、上記の4にあてはまるかもしれませんね。もしかしたら、3や5あたりも該当しそうですね。

本当の原因は現場ではなくトップにある

僕は、真の原因はトップにあると思っています。神戸製鋼の件でも、収益重視の風土になったのは、各事業部や部門等を評価する基準が収益だからにほかなりません。そのような評価システムを承認し、構築したのは企業のトップです。それを「品質よりも生産や納期を優先していた」と、現場の責任にするのはお門違いというもの。

もっというと、品質を二の次にしていたという現場の実態が経営者へ報告されるルートがなかった(あったとしても機能していなかった)というのも問題です。経営者は耳障りのよい報告結果だけを受け入れ、表面的な現場理解しかなかったのではないかと勘ぐりたくなります。

心理的安全性ある職場であれば起きなかった話

このような不祥事は、心理的安全性ある職場では起きなかっただろうと想像します。収益重視のトップ方針と、顧客の要求の板挟みとなっていて、現場が苦しんでいるということが、トップに受け入れられる土壌であれば、対処はとれたはずです。現場で起きていることが正しくトップに報告されないというのは、このようなリスクをはらんでいるのです。不祥事を起こした会社がどのような是正処置をとるのかはわかりませんが、チェック機能を多重化したり、ルールを破った場合に厳罰に処するというような類の対処であれば、是正処置としてはふじゅうぶんです。

現場の状況が正しくタイムリーに報告される仕組みと文化が作られなければ、どのような措置をとったとしても、根本的な再発防止にはなりえないでしょう。

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