ものづくり経営革新等支援機関

2020年実施ものづくり補助金の新類型「ビジネスモデル構築型」について考えてみた

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

2020年実施ものづくり補助金では、補助上限額1億円の「ビジネスモデル構築型」が新設されました。1億円ってオイシイなあと思いますが、これはどんな類型なのかを考察します。当社の推察では、個別の企業が申請をするような類型とは違うのではないかと思っています。

「ビジネスモデル構築型」の説明を見てみよう

中小企業庁が昨年末に出した告知パンフの中で、この「ビジネスモデル構築型」が触れられています。まずはこのパンフの説明を見てみましょう。

ここには、下記のような説明書きがありますね。

中小企業30者以上のビジネスモデル構築・事業計画策定のための面的支援プログラムを補助。(例:面的デジタル化支援、デザインキャンプ、ロボット導入FS等)

これを見て思うのは、そもそもこの類型は、個々の企業に1億円を交付することをイメージしていないのではないか、ということです。「中小企業30者以上のビジネスモデル構築・事業計画策定のため」と書いていますが、中小製造業が、同じく中小企業である30者以上のビジネスモデル構築なんて支援できないですよね。仮にそれがコンサル会社であっても30者以上の支援を行うって、それなりの規模のコンサル会社じゃないとできないことですよ。

一体誰を対象にしているのでしょうか。それを読み解く鍵は「面的支援」というキーワードにあると思います。

「面的支援」とは何か① ~経営発達支援計画のスキームから推察する~

経済産業省・中小企業庁の取り組みで「面的支援」というキーワードが使われているものを調べると、いくつかの記事がヒットします。

まずは下記の資料を紹介します。これは、小規模企業施策に関する「小規模企業振興基本計画」の改定についての記事なのですが、その中で「面的支援」について触れた部分を引用します。

基本計画改定と支援法改正の狙いは、「(従来施策の)個々の事業者に着目するだけでなく、事業者が置かれている地域で考えた面的支援を強化するため」(小規模企業振興課)にある。具体的には、商工会議所と商工会が策定して国の認定を受ける「経営発達支援計画」のスキーム(枠組み)に、新たに自治体との関与を規定。小規模事業者のステークホルダーである市町村と共同で策定するとともに都道府県も意見を言えるようにする。

ここで触れられている「経営発達支援計画」のスキーム(枠組み)とは、下記のようなスキームのようです。

この図から推察すると、面的支援とは、国が個々の中小企業に直接的に支援をするのではなく、間に何らかの組織を介在させ、そこに属する複数の企業に対して支援する、という意味合いで使われているのではないかと思われます。この図では、商工会や商工会議所、市町村が間にはいり、経営発達支援計画を"共同で策定"することになっていますね。「ビジネスモデル構築型」の説明にも「事業計画策定のための面的支援プログラム」と書いていましたが、このように間に組織を介在させて、事業計画策定を支援するという図式は、この経営発達支援のスキームと似ているのではないかという気がしてきます。

「面的支援」とは何か② ~地域活性化のための面的支援調査研究報告書から推察する~

上記の記事とは別に、「面的支援」というキーワードが見られる中小機構の資料もヒットします。「地域活性化のための面的支援調査研究報告書」という、少し古い資料ですが、引用します。

そしてこのベネフィットの創造を「個社」での取り組みではなく、地域へ「面的」な広がりを見せていくことが活性化には必要と考えます。つまり、生産者と小売りが連携する「縦串」あるいは地域をブランド化する「横串」という視点が必要となってきます。

この記述に見られるように、個社の活動との対比として「面的」という用語が使われています。この資料を見ると、複数の企業や個人、組織を、商工会議所が束ねるような役割として描かれています。

例に挙げられている面的デジタル化支援、デザインキャンプ、ロボット導入FSとは

中小企業庁の告知パンフには下記のような説明書きがありましたが、そこに例が書かれています。

中小企業30者以上のビジネスモデル構築・事業計画策定のための面的支援プログラムを補助。(例:面的デジタル化支援、デザインキャンプ、ロボット導入FS等)

これを具体的に調べると、「ビジネスモデル構築型」のイメージも更に湧きやすくなると思われます。この考察はまた別の機会に行いたいと思いますが、当社の見解としては「ビジネスモデル構築型」の交付対象は、個別の中小企業ではなく組織や団体ではないかというものです。(今のところですが)

  • B!

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