おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
4月7日に「緊急経済対策」が発表となりました。この中に、中⼩企業⽣産性⾰命推進事業(ものづくり補助金、持続化補助金、IT導入補助金)の特別枠創設が含まれていました。いろいろと注意すべき点を対話形式で解説します。
そもそも「特別枠」とはなにか?
うーん、よくわからないんだけどどうも、下記の図みたいなイメージっぽいね。同じ名称の補助金を、同じ締切タイミングで、別条件で公募するって読めるね。
えっ?今やってる公募の条件が書き換えられるんじゃないの?
経産省の資料のここの部分を読むと、別っぽいんだよなあ。
うーん、解釈に苦しむね……。まあ確かに、公募の条件を書き換えるっていうんだったら、何も「特別枠」とか「通常枠」とか言わなくったっていいもんね。
そうなんだよ。中小企業施策オタクの僕だけど「特別枠」なんて保証協会以外できいたのは初めてだよ。まあ、ちゃんと特別枠の公募要領が出ないとなんともいえないけどね。
通常枠と特別枠の違いは?
補助率や補助上限額が上がるんだったら、特別枠に申請すればいいじゃん!ってならない?
一応申請要件が定められているので、これを満たさない限りはダメなんだろうね。
【申請要件】
補助対象経費の1/6以上が、以下の要件に合致する投資であること
A︓サプライチェーンの毀損への対応
顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発を⾏うこと(例︓部品調達困難による部品内製化、出荷先営業停⽌に伴う新規顧客開拓)
B︓⾮対⾯型ビジネスモデルへの転換
⾮対⾯・遠隔でサービス提供するためのビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資を⾏うこと(例︓店舗販売からEC販売へのシフト、VR・オンラインによるサービス提供)
C︓テレワーク環境の整備
従業員がテレワークを実践できるような環境を整備すること(例︓WEB会議システム、PC等を含むシンクライアントシステムの導⼊)
「補助対象経費の1/6以上が、以下の要件に合致すること」とあるね。もの補助で、機械装置等を1台だけ買うような場合はどうなるんだろうね。
その1台で、サプライチェーンの毀損への対応をするということを申請書内で主張しないといけないんだろうね。
この資料じゃわからないなあ。Aはもの補助っぽいし、Bは持続化補助金っぽいし、CはIT導入補助金っぽいとも言えるけどね。
『A︓サプライチェーンの毀損への対応』って、もの補助だと加点項目になってたやつだよね。
そうだね。1次締切に応募した人は補助率アップしなくてお気の毒……かもね。あと、加点項目のときもそうだったけど、エビデンスをつけることを求められるんじゃないかな。
でも資料をよく読むと「ハードウエアのレンタル等」って書いているんだよね。
IT導入補助金のスキームは、支援事業者からサービスを提供してもらう形なので、PCなんかも支援事業者からセットで、割賦のようなイメージで提供してもらう形になるんだと思うよ。
申請要件の例のところには「PC等を含むシンクライアントシステムの導入」って書いてるね。シンクライアントシステムって何?
テレワークをさせたいけど、セキュリティの関係なんかで、社員の個人のPCを使わせたくないってケースなのかな。しかし導入にあたって結構たいへんだよね。プリンタの接続どうするの?とかローカルで動かしていたアプリケーションとかどうするの?って問題はあるだろうね。
賃上げ要件は引き続き適用
そういえばもの補助やIT導入補助金B類型の賃上げ要件(年率平均1.5%以上向上)はどうなるの?
『※ 3事業とも、補助事業実施年度の⽣産性向上や賃上げは求めないこととします。』って書いてるね。
投資を行う年度のことだね。だからまあ、多くの企業にとっては、今期か来期の話だろうね。今期か来期は賃上げしなくていいですよ、ってことだろうね。
でもあくまでも「補助事業実施年度」だけの話であって、事業計画期間内に4.5%~7.5%向上させることには変わりはないの?
ただでさえ何年か先の人件費をコミットするのは難しいのに、ましてコロナの影響がいつまで続くかわかんない中で言われてもねえ……
『持続化給付金』について問い合わせが殺到するようなご時世だもんね。従業員の雇用を守るのが精一杯で、賃上げまで考える余裕はないんじゃないのかな。
特別枠に申請する上での注意事項
うん。いつものことだけど、この補助金は後払いなので資金繰りには気をつけるということかな。
そうだね。まあ、通常枠でも先行着手が例外的に認められているので、この特別枠でも認められるだろうけど、先行着手には条件があるし、申請手続きが必要だから気をつけてね。
そもそも、この状況で設備投資をするってコト自体がリスクだよねえ。
ごもっともだね。例えば自動車業界なんてかなり大規模な生産調整しているから、いくら特別枠が創設されたとはいえ、いつ受注があるかわからない工程への投資は危険だね。
たとえ今は受注がある業界でも、世界的にこの状況だから、一寸先は闇だよね。
特別枠の公募はいつから?
その可能性あるかな。でも令和2年度補正予算の成立(4月下旬予定)が前提だろうから、いずれの補助金も、直近の締切で申請をするとなると結構タイトだろうね。まあ大筋は変わってないので、今公開されている情報(申請要件)をもとにして準備をすすめるといった感じかな。
特別枠の公募要領が出るとしても、補正予算の成立後?
たぶんそうだろね。もしかしたらいつもの公募前みたいに「事前予告」みたいのが出るかもしれない。でも中小企業庁の人もバタバタしているはずだから、どこまで情報公開されるかな。
霞が関の皆さんも大変ですね?どうか健康にだけはお気をつけて……