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生産性向上特別措置法案の「先端設備等導入計画」では、かなり多くの自治体で固定資産税ゼロになる?

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6/20追記

「先端設備等導入計画策定の手引き」が中小企業庁ホームページで公開されました。先端設備等導入計画におけるいわばマニュアルですので、申請企業や経営革新等支援機関は内容確認が必須です。

「先端設備等導入計画策定の手引き」が中小企業庁ホームページで公開されました

7/18追記 経済産業省が、豪雨被災中小企業への支援策を打ち出しています。その中で、ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金の事業期間の延長、書類提出期限の延長などの措置が検討されています。これら補 ...

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

生産性向上特別措置法案のなかでは、中小企業が「先端設備等導入計画」を作成し、市町村の認定を得ると、固定資産税が減免されるという措置が盛り込まれています。固定資産税の減免割合(額)は、ゼロから2分の1まで、市町村の裁量で決められることになっています。

どの程度の市町村が「固定資産税ゼロ」方針を取るでしょうか。僕は、かなり多くの自治体がゼロ方針を取るとみています。その根拠を見ていきましょう。

自治体の税収(市町村税)における固定資産税(償却資産)の割合はどの程度か

少し古い情報ですが、京都市の資料によると、市税収入のうち固定資産税は37.7%とかなりの割合をしめます。しかし固定資産税の多くは土地・家屋にかかるものですから、今回の減税対象となるような償却資産となると、割合はかなり減ります。京都市の場合、平成20年度の固定資産税(償却資産)収入は12,421百万円であり、税収の4.6%のようです。

今回「生産性向上特別措置法案」に基づき減税対象となるのは、かなりの生産性向上が認められる機械装置等に限定されている上、新規設備だけが対象です。したがって、これらの固定資産税を減税したとしても、全体に及ぼす影響が大きいとは言えませんね。しかも減税分は国が交付税として補填するというのですから、市町村にとって税収面でのデメリットはあまりなさそうです。

生産性向上特別措置法案に対する各自治体の検討状況はどうか

固定資産税ゼロを表明している自治体

どの自治体が固定資産税ゼロ特例措置をとるかというアンケート調査の結果は、4月3日(火)および4月13日(金)行われました。

湖南市はいち早く表明をしました。製造業の誘致を図っている自治体のようですので、市のビジョンとも適合しているということなんでしょうね。

岡山市、美作市も表明しています。この記事の中では「税収減の75%は国が交付税で補てんする」とあります。

岡谷市も表明しています。岡谷市は時計・カメラなどの精密機械工業がさかんですね。工業の街の場合、固定資産税(償却資産)の減税は市税収入にダイレクトに影響をしそうですが、それでも踏み切ったのですね。固定資産税ゼロ方針を取らないとしたら、岡谷市のような工業都市だろうと思っていましたが、案外関係ないのかもしれません。

そして川崎市も表明しました。

記事によると「川崎市は(交付税交付金の)不交付団体のため補填はなく、免税分がそのまま税収減になる。減収額は最大で年間1億円程度になると想定しているが、税収が減っても、中小企業の事業拡大や雇用創出につながれば、地域経済活性化の効果は高いとみている」そうです。不交付団体でも、固定資産税ゼロにするメリットがあるということですね。

検討中自治体の動きは

知立市は「この件での問合せがあり、近隣市と情報交換している」とのこと。近隣市町村と情報交換をし、連携を取る必要があるのかもしれません。

ほとんどの自治体で、先端設備等導入計画による固定資産税ゼロが実現するのではないか

これらの情報を総合してみるに、かなり多くの自治体で、先端設備等導入計画による固定資産税ゼロが実現するのではないかと思います。理由は次の4点です。

  1. 市町村の税収における固定資産税(償却資産)の割合は必ずしも高くない
  2. 現在対象は、一部の装置の新規取得に限られ、3年間の時限措置である
  3. 税収減の75%を国が交付金として補填をする
  4. 固定資産税収が多いと思われる工業都市や、交付税交付金の不交付団体でも、ゼロを表明している自治体がある(ゼロにしても自治体にメリットがある)

もちろんすべての自治体で固定資産税ゼロが実現されるとは言いませんが、ものづくり補助金で補助率をアップしたいと考えている企業、そして固定資産税の負担を軽くしたいと思っている企業は、期待しながら待っていてもよいと思います。

6/3追記

生産性向上特別措置法の施行期日が6月6日と、政令により決定しました。

先端設備等導入計画申請要件と申請書類の案が公表されました。

先端設備等導入計画の記入要領案・申請様式案が公開

6/8追記 札幌市で先端設備等導入計画の認定申請の受付が開始されました。今後、多くの自治体で受付が開始されるものと思われます。 おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 5月1 ...

先端設備等導入計画の制度概要

先端設備等導入計画の制度概要については、下記のページにまとめていますので、ご参考ください。

「先端設備等導入計画」で固定資産税ゼロ+ものづくり補助金補助率アップ

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 生産性向上特別措置法案(生産性革命法案)に基づき、中小企業が生産性向上設備を導入すると固定資産税が3年間ゼロ~1/2に軽減されるという ...

先端設備等導入計画の具体的内容・書き方・記載例について

下記に先端設備等導入計画の具体的内容・書き方・記載例をまとめています。ご参考ください。

「先端設備等導入計画」の書き方・記載例をレビューする(まとめ)

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 過去7回にわたり「先端設備等導入計画」の書き方および記載例をレビューしてきました。今回は、その総まとめです。 概要・全体像 1.名称等 ...

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