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ある管理職を褒めたらキレられた。それは現実と現状を無視したぼくがうかつだったから。

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

仕事の失敗談告白ブログです。コンサルティングをした企業で、ぼくがうかつなことをしてしまったために起きたあるトラブルについて告白します。ある管理職を褒めたらキレられたのです。

「人前で褒めるな」とキレられた

ある会社で、3S活動の導入支援をしはじめたばかりのころの話です。その会社の3Sの実態を、現場をみたりヒアリングをしたりして確認をしたのですが、ある管理職の持ち場がとてもきれいに整っていました。いや、「きれいに整っていた」というレベルではなかったんですよ。3Sがほぼ完璧にできていたのでぼくもびっくりしたんですね。

そのことを、全社員が集まる3Sキックオフのときに、ぼくは

「○○さんのグループの3Sは本当によくできていました。よその会社でもここまで整理整頓できている現場はあまりありませんよ。これを参考にして、みなさんもこれから3Sをがんばってください」

みたいなことを、全社員に対して話したんですね。

ミーティングが終わり、解散となってみなさんが三々五々と現場に戻っていくとき、くだんの管理職の方がぼくに歩み寄って、語気を強めてこう言いました。

「おいちょっと、みんなの前で褒めるなよ。」

と、相当ご立腹でした。

キレたのは職場の人間関係を懸念しているから

そういうことを言われると思わなかったので、ぼくはかなりびっくりしたんですよ。だから根掘り葉掘り聞いてみたんですよね。ふつうは褒められたらまんざらでもないのはずに、なぜ褒められたらキレるのか、興味があったんですよ。(もちろんそんなことはダイレクトには言わず、すみませんね、何がお気に召さなかったのですか、みたいなトーンで聞きましたけど)

すると

「ああいうことを言われると、またみんなから『あいつはいつも、いい子ぶりやがって』と言われる」

みたいなことを漏らしていました。

中小企業の現場ではよくある話ですが、管理職といっても現場の第一線の従業員とは職制上の差がなく、実態はフラットな場合があります。新参者のぼくにはわからない人間関係があったのかもしれません。

もう一つ理由があるとすると、この会社でぼくは(というか3S活動自体が)あまり歓迎されていなかったのです。3S活動を始めるときに、この管理職の人とも個別の面談をして、3Sについての現状をヒアリングしたことがあったのですが、この管理職の方は最初から、明らかに不服そうな表情で面談に来られました。(しかも不機嫌さをダイレクトにぶつけてくる)

面談の場で、この管理職の方は、こういう話をぼくにしました。

「私たちはちゃんと3Sをやっています。例えば工具の置き場や置き方も、作業の導線などを考えて、ここがベストだと思うところに置いています。しかしたまにしか現場にこない社長が『なんでこの工具がここに置いているんだ。片付けろ』と言ったりします。そんな活動を今後もやるんだったら拒否します。」

こうした発言の根底には、経営者への不信感があるのだと思います。この管理職さんも含めて、現場のみなさんがそうした経営者への不信感を共有するなか、社長が連れてきたどこの誰だかわからないコンサルタントにいきなり褒められたらどうなるでしょう。「コンサルタントに懐柔されたのでは?」と同僚に誤解されることを懸念したんじゃないかと思います。

ぼく自身にも「褒めておけばまんざらでもないだろう」という打算があったのも事実

正直に言うと、ぼく自身にも「褒めておけばまんざらでもないだろう」という打算があったのも事実です。前述の通り、この管理職さんは当初、ぼくに敵意を剥き出しにしていました。だからみんなの前で褒めて、ちょっとでも気をよくしてもらおうと思っていたのも否定はしません。ぼくのそうした見え透いた手口に腹が立った、という理由もありそうですよね。

その考えは確かに安直でした。褒めるということは何にでも効果的なワイルドカードではないんですよね。最初から敵意を剥き出しにするような複雑な背景を持つ会社だからこそ、安直な手に頼らずに、もっと慎重に社内の人間関係を紐解くべきだったのです。

後知恵ですが、この会社ではすでに現場が独自の考えで3Sに取り組んでいたので、彼ら自身が何を3Sで目指しているのか、そして彼ら自身が直面している3Sの課題や問題は何かという、彼らの現実に焦点を当ててコミュニケーションをすべきだったと思いますね。そうした彼らの現実と現状を汲み取ることなく、「褒めておけばまんざらでもないだろう」と安易な考えに走ったぼくが、支援者としてはダメだったのです。

  • B!

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