おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
まもなく公募が始まる平成31年ものづくり補助金ですが、1次と2次、企業間データ活用型をあわせて、どの程度の採択率となるでしょうか。過去のデータをもとに予想をしてみました。結論としては、予想採択率は50%程度とみています。
過去6年分、13回の公募のデータを振り返る
まずは過去のデータがどうであったかを見てみましょう。採択率に関係しそうなデータを下記の一覧にまとめました。バラつきはありますが、ならすとおおむね4割程度ですね。
採択率(応募総数÷採択数)と相関する要素は何か
そもそも採択率(応募総数÷採択数)に影響を及ぼす要因は何でしょうか?要因を見つけ出すのは簡単ではありません。そのためにはまずは相関関係にあるものを見てみたいと思います。
- その年の予算総額(予算総額が大きいほど応募総数と採択数が増える)
予算総額と応募数、採択数はけっこう強い相関関係にあります。(考えてみれば当然ですが、応募数と採択数も強い相関があります)
- その年の補助上限額(同じ予算総額とみた場合、補助上限額が大きいほど、採択数が減る)
これもきれいな逆相関です。補助上限額が増えると、1社あたりの取り分が増えるので、採択数が減るというのはあり得ることですよね。
- その年の公募期間(公募期間が長いほど応募総数が増える)
公募期間が長くなると、応募総数も増えています。あまりにも短い公募期間だと「忙しくて書類作ってる時間がないから今回はパス」となっちゃいますもんね。
ところで、意外と関係がないのが、事業実施期間と応募総数の関係です。事業実施期間は厳密に言うと企業ごとに異なるのですが、ここでは便宜上、採択公表日から事業実施期限日までを事業実施期間として計算しています。ほぼ無相関なんですよね。事業実施期間が短いので応募は止めておこう、と思う企業は少ないということですね。(理由は邪推したくなります?)
平成31年実施のものづくり補助金はどうか?
中小企業庁が12月28日に公表した事前予告等の情報によると、次のことがわかっています。
- 予算は850億円(補正予算800億円+企業間データ活用型向け当初予算50億円)
- 補助上限額は1,000万円/者(一般型を前提として)
- 公募期間は約2ヶ月(60日と仮定)
応募総数の予測。20,000者程度か
上記の相関を示すグラフに回帰直線があります。まずは応募総数を求めてみましょう。
予算と応募総数の回帰直線:y=32.694x-7495.6 x=850なので、 y=20,294.3
公募期間と応募総数の回帰直線:y=209.12x+2535.1 x=60なので、y=15082.3
ということですので、応募総数は15,000者~20,000者程度になるのではないかと推察できます。定性的な考察も加えるとすると、20,000者程度が現実的かなと思います。というのも、予算総額763億円であった平成28年度(公募期間は64日間)でさえ15,547者の応募がありましたし、今年と条件の似ている平成29年度(ただし予算総額は1,000億円)は、23,630者の応募があったからです。
採択数の予測。10,000者者程度か
次に採択数を、同じように求めてみましょう。
補助上限額と採択数の回帰直線:y=-2.6063x+15257 x=1000なので、y=12,650.7
予算総額と採択数の回帰直線:y=12.411x-2093.5 x=850なので、y=10,547.2
この計算では10,000者から12,000者程度の採択者数となると思われます。可能性としては、10,000者前後に落ち着くのではないかと推察します。理由は、①中小企業庁の事前予告資料によると「約1万件」の補助予定件数だと明記されている、②昨年度の採択者数11,989者であるのに対し、今年は予算総額が850億円に減額になっている(予算の減少に比して、採択者数も15%ほど減)、の2点です。
上記の資料(10,000件に採択)は、平成30年度ものづくり補助金(一般型・小規模型)の予定件数です。このほか、企業間データ活用型と地域経済牽引型の採択者もプラスされますが、こちらは若干数(数十社程度)ではないかと思いますので、誤差の範囲だと推察します。
平成31年実施のものづくり補助金について特別に考慮することがあるとすれば、補助率が原則1/2ということです。補助率が2/3になるためには、先端設備等導入計画の新規認定か、経営革新計画の新規承認が必要なのですが、このハードルが結構高いので(特に昨年度に先端設備等導入計画の認定をとっていれば、選択肢は経営革新計画しかない)、1社あたりの補助金交付額が昨年よりも低下すると思われます。そうすると昨年よりも「薄く広く」となる傾向と考えられます。そういう点では、昨年同様の10,000者を少し超える程度の採択になりうるのではないでしょうかね。
結論。予想採択率は50%程度?
上記の計算と推測によると、平成31年実施ものづくり補助金(1次+2次+企業間データ活用型)のトータルでの応募総数、採択数の予想は
- 予想応募総数は20,000者程度
- 予想採択数は10,000者程度+企業間データ活用型若干数
ですので、予想採択率は50%程度になるかもしれません。昨年の1次公募の採択率が55.1%でしたし、1次と2次をあわせても50.7%でしたから、予算総額が減りますがまあ昨年並みと考えておいてもそう大きくは外れないのではないかと思います。