おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
内部監査レベルアップ講座、今回はリスクについて解説したいと思います。ISOに取り組んでいる会社の皆さんは、この「リスク」という考えをどう扱えばよいか、戸惑っている印象があります。2回目の今回は、リスクの分析と評価について、わかりやすく解説をします。
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【内部監査レベルアップ講座】リスクに基づく考え方と内部監査(ISO9001編)(1)
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リスクの分析と評価とは何か
前回、サッカーの例で話したように、何が起こるかわからない不確かな状況では、期待していたこと以外のことが起きることが往々にしてあります。そうした出来事には、望ましいものもあれば、望ましくないものもありましたよね。
そしてその影響にも、程度があります。大きな影響があるものから、それほど影響が大きくないものもあるはずです。一方、その出来事の起こりやすさも、リスクによって異なるはずです。例えば、シュートを外して犬に当たるということは、めったに起きることではないですよね。したがって、リスクというのは、影響の大きさと、起こりやすさによって、重み付けをすることができます。ポピュラーな方法としては このようなマス目を使って、リスクを分析するという手法があります。(R-Map手法と呼ばれます)
そして、それぞれのマス目に、該当するリスクを当てはめます。リスクの大きいもの、この図でいうと、赤色の部分のリスクに対して、優先的に手をうてばよいということがわかります。つまり、シュートを外すというリスクに対して手を打つことを優先的にやろうということが決まっていくわけです。
リスクの対策とは何か
そこで、シュートを外さないように、対策を取ることにします。対策にもいろいろと選択肢があるよと、規格の中では例を挙げてくれています。その例が下記の通りです。
サッカーの場合は、現実的なのは3つ目の「起こりやすさ・結果を変える」という対策だと思います。具体的には、キーパーとの1対1のシチュエーションを想定した練習をたくさんしよう、というのが、リスク対策の具体的な方法になっていくわけですね。こうしたリスクへの対策は、あらかじめ作業手順などに落とし込んでおくとか、品質目標として設定をするという形で、マネジメントシステムに組み込むことができるでしょう。
階層・部門によって見えるリスクが異なる
リスクというものは、いろんな側面が考えられます。
一つには、階層よって見えるリスクが異なるということですね。例えば今、いろんなものが高騰して大変ですよね。原価を抑えるために、今を使っている材料を、安い材料に置き換えようとする会社があるとします。こうした変更にはリスクがつきものですが、会社の階層によって、材料変更のリスクをどう見るかは変わる場合が多いと思います。
例えば社長とかの経営者レベルであれば、新素材での機能に顧客が満足せず顧客離れがおきたらどうしようと、売上減少のリスクを思い浮かべるかもしれません。一方現場の管理者レベルでは、調達した新素材の品質のばらつきが大きくて、不良が増えたらどうしようと、不良が増えるリスクを心配するかもしれません。一方現場レベルでは、新素材での加工に慣れるのに時間がかかったらどうしようと、作業効率が落ちるリスクを心配するかもしれませんよね。材料を変えるという一つの出来事に対しても、その立場によってリスクの捉え方が変わるというのはよくあることです。
また部門によっても見えるリスクは異なります。設計部門であれば、設計ミスによる故障や機能の低下が想定されるリスクになるでしょうし、製造部門であれば設備の故障や作業者のヒューマンエラーなどによる不良の発生がリスクになりえます。したがって内部監査では、経営層に対する監査はもちろんですが、各部門に対する監査でも、リスクをどう認識しているかというのは、それぞれ確認をしたいところです。