下請法改正のための議論はじまる=公取委と中企庁

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

公取委と中小企業庁は、7月22日、企業取引研究会を開催し、下請法改正のための議論をはじめました。早ければ年内にも下請法改正案をまとめる予定のようです。

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円滑な価格転嫁のための取引環境の整備について(2024年7月22日資料)

下請法改正の論点

前出の資料のP20~P21には、この度検討される予定の下請法改正の論点と思われるものがあります。

  • 適切な価格転嫁の環境整備に関する課題(買いたたき規制の在り方)
  • 支払条件に関する課題(約束手形、ファクタリング等)
  • 物流に係る優越的地位の濫用規制の在り方
  • 執行に係る省庁間の連携体制の在り方
  • 「下請」という用語の見直し
  • その他
    • 下請け逃れ(親事業者の減資や下請事業者に増資を求める等の行為)
    • 型の無償保管や知的財産の無償提供を求める行為
    •  命令や罰則の導入等

この内いくつかは、すでにパブリックコメントで意見収集されているものもあります。例えば「支払い条件に関する課題」はこの資料のようなパブリックコメントが2024年3月に行われ、4月に意見内容が公示されています。

このあたりの議題については、今後改正が検討されるものと思われます。

下請法の実効性を高める措置がもっと必要

「令和5年度における下請法の運用状況及び中小事業者等の取引公正化に向けた取組」を見ると、令和5年度の勧告件数は13件で、これまでの倍以上に達しています。また、下請代金の減額分の返還等の原状回復額も総額37億2789万円相当となり、過去5年間で最高額を記録しています。これらの結果から、公正取引委員会(公取委)と中小企業庁(中企庁)が下請法の運用強化に力を入れていることは明らかです。

しかし、現場の実感として、顕在化していない違反事例が依然として多数存在すると感じています。一般的に下請事業者は弱い立場にあるため、親事業者からの報復措置を恐れて違反を訴え出ることができない現実もあります。報復措置は法律違反であり、その違反を受けた場合には法的に保護されるべきですが、実際には下請事業者が声を上げることが難しい状況にあります。

今回の法改正議論は、こうした現状を踏まえたものと考えられますが、罰則強化や親事業者に対して下請法の理解を深めさせ、必要に応じて独占禁止法の厳正な措置を講じることなどを含めて、親事業者と下請事業者の関係を正常化する努力がもっと求められるでしょう。

この記事を書いた人
代表取締役 今村 敦剛

中小企業診断士/審査員(ISO9001, 14001, 45001)/日本心理学会認定心理士