おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
先日リリースされたChatGPTのDeepResearchという機能ですが、これを使うと「もうコンサルはいらないんじゃないか?」という説が、まことしやかに流れています。果たしてDeepResearchがあれば、本当にもうコンサルなんかにお金を払わなくてもいいのでしょうか?現役の経営コンサルタントであるわたしが、私の専門分野(ISO9001コンサルティング)におけるChatGPTのDeepResearch結果を検証してみたいと思います。
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DeepResearchでコンサルいらずって本当?現役コンサルタントが検証(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 先日リリースされたChatGPTのDeepResearchという機能ですが、これを使うと「もうコンサルはいらないんじゃないか?」という ...
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DeepResearchはどういう調査結果を出したのか
では、こちらが訊きたかったことについて、DeepResearchはどういう調査結果を出したのか、回答を確認していきましょう。
まずはこちらの結果です。
箇条8.4.1の要求事項:組織は、外部提供者の選定、評価、パフォーマンス監視、再評価の活動と、その評価結果から生じた必要な処置について、文書化した情報(記録)を保持しなければなりません。つまり、サプライヤーをどう選び・評価したか、その結果として取った対応(必要な処置)まで含めて記録する必要があります。
結論をいうと、この文章には不審な点はありません。問題はないんですが、ISO9001の規格に書いていることを少しだけ平たく言い直しただけで、あまり詳しい、具体的なことは言っていませんね。詳しいことは、この後に例を挙げて説明されています。
【調査結果】記録すべき情報の例①
ここからは、記録すべき情報の例が、全部で5つ挙げられています。最初の例から、一つずつ確認をしていきましょう。
外部提供者の評価結果:各サプライヤーの評価内容と結論を記録します。一般的には「供給者評価表」等を用い、評価基準に対する合否やスコアを記入し、最終的な判断(取引継続の可否など)もその場で明確にします。例えば、評価の結果が基準を下回った供給者について「承認リストから外す」と決定した場合、それが「評価によって生じた必要な処置」に該当し、記録しておく必要があります。
ここに書いているのは、その最初の例です。これも特におかしいことは言っていませんね。外部提供者に関する一般的な文書の運用方法を述べていると言ってもよいでしょう。
【調査結果】記録すべき情報の例②
記録すべき情報の2つ目の例です。
選定・承認に関する記録:新規サプライヤーの選定プロセスや承認可否の判断記録。これは上記の評価記録(供給者評価表等)と一体になることもあります。
これも、実際にそういう運用をしている会社はありますし、規格の意図に反しているわけではないので、妥当だと思います。
【調査結果】記録すべき情報の例③
記録すべき情報の3つ目の例です。
パフォーマンス監視のデータ:継続取引中のサプライヤーについて、納入実績や品質実績(不良率、納期遵守率など)の記録。これらは後述の分析・見直しにも活用されます。
これもおかしなところは特にないと思います。
【調査結果】記録すべき情報の例④
記録すべき情報の4つ目の例です。
是正処置・改善要求の記録:評価や取引中に問題が見つかった場合の是正処置要求や改善計画、サプライヤーへの連絡内容。その問題への対応結果も追跡できるようにしておきます。
日本語がちょっと不自然に感じますが、内容としてはおかしなところはここもないと思います。
【調査結果】記録すべき情報の例⑤
そして5番目の例です。
承認サプライヤーリスト(ASL):承認された外部提供者の一覧を管理する文書です。ISO規格上、明示的な提出義務はありませんが、多くの企業で利用されています。承認リストには各サプライヤーの現在の承認ステータス(承認済み、一時停止、未承認など)を示し、評価日や次回見直し時期などの情報も含めると有用です。
これは「自社が製品やサービスに影響を与える外部供給品を適切に管理している」という証拠にもなり、ISO審査においても承認リストがあることで管理状況を示しやすくなります。
これはDeepResearchが海外のサイトを参考にしたためか、あまり日本の企業ではお目にかからない「承認サプライヤーリスト(ASL)」というものを例に挙げています。「明示的な提出義務はない」と書いていますが、これを最初に見たら「えっ、そういう文書もつくらなきゃいけないの?」とびっくりする人もいるんじゃないかという気がします。
次回に続きます。