おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
いよいよ発行が近づいてきたISO14001:2026年版の改訂内容について解説をします。 2026年版で何が変わるのかの大筋をご理解いただけます。
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ISO/FDIS 14001とはなにか
そもそも「ISO/FDIS 14001」とは何かを確認しておきましょう。 FDISというのは「Final Draft International Standard」、つまり「最終国際規格案」のことです。規格改訂の最後の段階にあたります。この最終案がISO加盟国によって承認されれば、はれて国際規格として発行されるわけですね。

今後のスケジュールをもう少し具体的に見ましょう。 1月にFDISが発行されました。このあと承認投票が行われます。おそらく2026年の3月に承認され、その後すぐ、3月中か4月中に正式に規格として発行される見込みです。規格が発行されたあとは、通常3年程度の「移行期間」が設けられます。ですので、すでに認証を取得されている企業の皆さんは、2026年から2029年の前半あたりまでの間に、新しい規格への移行審査を受ける、というスケジュール感になるかと思います

ISO14001:2026 改訂の全体像、規模感
今回の改訂の全体像、規模感をつかんでおきましょう。

結論から言うと、今回の改訂は「根本から変わるものではない」と言えます。2015年版をより実効性のあるものにするための見直し、といった改訂だと私は捉えています。具体的には、「新しい要求事項の追加」は1件だけです。既存の「要求事項の補強・微修正」が8件ほど。あとは用語の修正などの、実務上の軽微な整理が10件程度と私は見ています。ですので、今のシステムを全部作り変えるような大変革ではないと、思っていただいてよいと思います。
ISO/FDIS 14001 箇条0から3までの全体感
では、規格の頭から順に変更点を見ていきましょう。まずは箇条0から3までの全体感です。ここは要求事項ではないので、実務には直接関わらない部分が多いですが、他のISO規格、例えば9001などと用語や構造を合わせる「整合化」が行われています。そしてISO14001の用語の定義から「リスク(risk)」という言葉の定義と、「外部委託(outsource)」という言葉の定義が削除されました。これは、リスクは単独ではなく「リスク及び機会」としてセットで考えることになるからですね。外部委託も、はもっと広く「外部提供」として捉える、という規格の考え方の変化によるものです。
ISO/FDIS 14001 箇条4の全体感
続いて箇条4の全体感です。ここは少し実務に影響します。まず箇条4.3「適用範囲の決定」ですが、これまでは「必要がある」とされていたものが、より明確な要求事項(shall)として格上げされているものがあります。また、ライフサイクルの視点を意識して適用範囲を決めることも4.3では明記されました。そして補強として、箇条4.1では、外部・内部の課題の例として「気候変動」や「生物多様性」といった環境条件が、注記ではなく要求事項本文で例示されるようになりました。とはいえ、これらの変更によって、実務的な負担が大きく増えるわけではないと思いますね。

ISO/FDIS 14001 箇条5の全体感
次に箇条5の全体感です。ここでは要求事項の大きな変更はありません。リーダーシップを及ぼす範囲が少し広がったと言える程度の、言葉遣いの修正です。
ISO/FDIS 14001 箇条6の全体感
次に箇条6の全体像です。ここは今回の改訂の山場の一つです。まず規格の構造が若干変わりました。2015年版の箇条6.1.1の内容が分われて、整理されるようになります。そして、大きなポイントとして、新しい要求事項「箇条6.3 変更の計画」が追加されます。これはマネジメントシステムが変わるような変更のときには計画的に進めなさい、という要求事項ですね。これが増えました。

ISO/FDIS 14001 箇条7の全体感
箇条7の全体感ですが、ここは実務に関連する大きな要求事項の変更はありません。現状の運用をそのまま継続しても、問題はないと思います
ISO/FDIS 14001 箇条8の全体感
箇条8はどうでしょうか。ここは実務担当者の方は要チェックの変更があります。まず箇条8.1ですが、2015年版では、「外部委託したプロセスは」管理するか影響を及ぼす事になっていたと思います。その「外部委託したプロセス」という言葉が、「外部から提供されるプロセス・製品・サービス」という表現に変わります。つまり外部委託だけではなく、外部から提供される製品やサービスも含めて管理する、影響を及ぼすことになります。そして8.1の運用管理や、8.2の緊急事態への準備において、「必要なプロセスを文書化した情報として利用可能にする」ことが求められます。とはいえ、この文書化要求も、実務上はそれほど変わらないと思うのですが、手順書や規程などの文書類が、必要な時にすぐに見られる状態にしておく必要が、より強まった感じでしょうか。

ISO/FDIS 14001 箇条9の全体感
箇条9の全体感です。まず箇条9.2.2、内部監査の際に、「監査目的」を定義することが補強されています。例えば内部監査計画書に「今回の内部監査の目的」をしっかり書くようにするというイメージですかね。また「監査プログラム」を証拠として利用可能な状態にすることも求められています。

ISO/FDIS 14001 箇条10の全体感
最後、箇条10の全体感です。ここは規格の構成が変わります。これまでの10.3「継続的改善」が、10.1という先頭に持ってこられました。ただ、やるべきことに大きな追加はありません。改善のプロセスがより重視されるよう変更かなと思います。

ISO/FDIS 14001 移行ステップ
最後に、今後の移行に向けたステップを整理しておきましょう。移行に向けて最初にやるべきことは「ギャップ分析」でしょうね。新しい規格と現状のマネジメントシステムの差分を確認します。そして次のステップは「システム・文書類の更新」です。ギャップ分析の結果に応じて、プロセスや文書類を修正します。そして「教育・訓練」です。従業員の皆さんに新しいルール・変化点を周知します。 そして最後は「内部監査」と「マネジメントレビュー」を実施し、新しいルールに基づく運用が回っているか確認します。これらを、正式な国際規格の発行から移行期限までの3年間を目処に計画的に進めていく必要があります。

