おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
3日連続で、ものづくり補助金の加点項目「1%の賃上げ」について考察をしています。今日は、具体的な証明方法について考察してみたいと思います。
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「1%の賃上げ」の考え方には3つある
公募要領を見ると、「1%の賃上げ」の考え方には3つ(下記の①~③)あります。このいずれかを満たせばよいと書かれています。
① 企業による従業員向けの教育訓練費支出総額(外部研修費用、資格取得・技能検定の受験料、定時制高校や大学の授業料などに対する企業による補助総額)が給与支給総額の1%以上である企業
② 以下のいずれも満たす賃上げを実施している企業
・ 平成29年の給与支給総額が、28年と比較して1%以上増加
・ 平成30年の給与支給総額を29年と比較して増加させる計画
③ 平成30年の給与支給総額を29年と比較して1%以上増加させる計画を有し、従業員に表明している企業
①教育訓練費支出総額については、昨日考察をしましたので、そちらをご参考ください。
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ものづくり補助金の加点項目「1%の賃上げ」における教育訓練費支出総額の考え方
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 昨日に続いて、ものづくり補助金の加点項目「1%の賃上げ」について考察をしてみたいと思います。この賃上げに関する考え方、本当に奥が深いの ...
② 以下のいずれも満たす賃上げを実施している企業
② 以下のいずれも満たす賃上げを実施している企業の場合、注意が必要なのか、下記の両方を満たす必要があるということです。
- 平成29年の給与支給総額が、28年と比較して1%以上増加
- 平成30年の給与支給総額を29年と比較して増加させる計画
上段の「平成29年の給与支給総額が、28年と比較して1%以上増加」を証明するのは比較的簡単です。賃金台帳か、もしくは(あくまでも代替案ですが)決算報告書の「給与手当」「雑給」「賃金」「賞与」「福利厚生費」「法定福利費」あたりを中心に、2年分を比較すればよいでしょう。
問題は「平成30年の給与支給総額を29年と比較して増加させる計画」を、何をもって証明するかですね。
一つ参考になるのが、ものづくり補助金と同じく経産省・中小企業庁ラインで実施されている他の補助金の事例です。例えば「平成26年度小規模事業者等JAPANブランド育成・地域産業資源活用支援補助金」の公募に関する資料では、次のような記述がありました。
賃上げ等を実施予定であることが分かる資料(賃上げ率等具体的実施内容の記載及び代表者印の押印があるもの)を添付ください。
つまり、具体的な実施内容がわかり、賃上げ率などが書かれており、代表者印があるもの、ということですね。
ここらは一般論ですが、次のようなものが考えられるのではないかと思います。お断りをしておきますが、これらのものが必ず加点の証拠として認められるとは限りません。(事務局から正解が公表されていないためです)
- 事業計画書、経営計画書のようなもので、人件費計画などの数値が記載されているもの
- 賃上げをすることを決めた経営幹部の会議議事録(押印必要)
- 毎年の定期昇給の賃金テーブル(例えば毎年、全社員のベースアップを一律〇%にとしている等の場合)
ただしこのような計画や議事録、制度がすでにあるというのが前提です。すでにある場合は、それを証拠書類として提出することは可能だと思います。ただし、そういう書類を提出しても「この書類は一体何ですか?」と、事務局(中央会)から問い合わせの電話が入る可能性があります(過去に実際にありました)。その際は答えられるようにしてくださいね。
③ 平成30年の給与支給総額を29年と比較して1%以上増加させる計画を有し、従業員に表明している企業
①でも②でも証明が難しいとなると、「③平成30年の給与支給総額を29年と比較して1%以上増加させる計画を有し、従業員に表明している企業」で対応するしかありません。
これについては、ものづくり補助金ではないですが、サンプルのようなものが実はあります。環境創造イニシアチブでは、省エネ補助金を実施していますが(ものづくり補助金と同じく経産省管轄の補助金)、省エネ補助金のサンプル書式として、従業員への賃上げ表明文書があります。イメージとしては、これに類似するようなものが証拠書類になるのではないかと思います。
このサンプル、ちょっと証拠力が弱いと個人的には思います。なぜなら、このような文書は補助金申請のためだけに偽造ができるかもしれないためです。これは僕が某県の事務局(中央会)から聞いた話でもありますが、この③の従業員表明の証拠書類には、経営者の押印のほか、労働者代表の押印も必要、と言われたことがあります。これが全国的な見解なのか、その都道府県の見解なのか、もしくはその担当者の見解なのかはわかりません。ただ、理には適っていると思います。
補助金申請のために、労働者代表に押印をさせるということを思いつく人もいるかもしれませんが、注意をしてください。従業員の立場になって考えると「経営者は従業員をダシにつかって補助金をもらおうとしているのに、自分たちには恩恵はないのか」と疑問を持つ可能性もあります。たとえ建前とはいえ「給与を上げる」という発言を反故にするのは、従業員のモチベーションの問題からも注意が必要です。やるのであれば、実際に給与を上げましょう。
補助金の目的はお金をもらうことではありません。補助金という手段を使い、会社をよくしていくことが目的です。その目的に反するような可能性に力を入れるのは避けましょう。