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下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準が改正=何がどう変わったの?(2)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

5月27日、「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」が改正されました。結論としては、物価が高騰しても支払い金額が据え置かれた場合も「買いたたき」とみなされる道ができました。変更点をパブリックコメントを踏まえて詳しく見ていきます。

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下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準が改正=何がどう変わったの?(1)

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 5月27日、「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」が改正されました。結論としては、物価が高騰しても支払い金額が据え置かれた場合も ...

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物価が高騰しても支払い金額が据え置かれた場合も必ず「買いたたき」とみなされるわけではない

今回の運用基準の改正で、物価が高騰しても支払い金額が据え置かれた場合に「買いたたき」とみなされる可能性が明確になりましたが、だからといってそのような場合は必ず「買いたたき」とみなされるわけではなさそうです。

これは、パブリックコメントの中でも明らかになっていることですが、以下のような意見が国民からありました。

「買いたたきに該当するか否かは、下請代金の額の決定に当たり下請事業者と十分な協議が行われたかどうか(中略)総合的に判断する。」この部分の記載は不要ではないか。第4の5(1)ア又はイに該当した場合には直ちに買いたたきに該当し下請法違反となるような基準でなければ、現状と何ら変わらないのではないか。禁止行為はいかなる理由があろうが禁止としなければ、改正の意味はないと思う。

それに対する公正取引委員会の考え方は以下の通りでした。

下請法運用基準改正案第4の5(1)ア及びイは「通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額」に当たる事例として例示したものです。 下請法上の買いたたきとして問題となるのは、下請法第4条第1項第5号の要件を満たした場合、つまり、「通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額」を「不当に定める」場合であり、原案のとおりとさせていただきます。

これを踏まえて、個別の行為が買いたたきに該当するか否かは、「下請代金の額の決定に当たり下請事業者と十分な協議が行われたかどうか等対価の決定方法、差別的であるかどうか等の決定内容、通常の対価と当該給付に支払われる対価との乖離状況及び当該給付に必要な原材料等の価格動向等を勘案して総合的に判断(下請法運用基準第4の5(1))」されることとなります。

この意見を述べた人だけではなく、パブリックコメントを読むと結構な人数の人たちが「物価が高騰しても支払い金額が据え置かれた場合も含めて、普通に払われるべきお金よりもずっと低いお金」を要求することは、ただちに下請法違反にするべきだと、という趣旨のことを言っています。下請け企業の立場からすると、そういいたくなる気持ちはわかります。

それに対して公正取引委員会は「似たような仕事と比べてすごく低いお金であること」「物価が高騰しても支払い金額が据え置かれていること」というのは、あくまでも「例」ですよ、と言っています。そして、下請法違反かどうかは、個別にいろいろなことを考慮して「総合的に決めます」と言っていますね。まあ、役所ならばそう言うだろうなあという感想です。

例が示されたことは下請け企業にとっては一つの光明ではあるが……

コスト上昇にも関わらず下請代金に転嫁できないことを「買いたたき」の可能性があるという「例」を示したことは、下請け企業にとっては一つの光明と言えるでしょう。しかしパブリックコメントにもあるように、それはあくまでも例の一つであり、個別事案を総合的に考慮して買いたたきであるかどうかを判断するという方向性には変化がありません。今回、運用基準は変更となりましたが、これがどれほど価格転嫁を促進するかは未知数と言ってよいでしょう。

今年の3月には日産自動車が下請法違反で是正勧告を受けました。その後も日産自動車は下請法違反を繰り返しているという報道もありますが(日産自動車は外部調査の結果に基づいてそれを否定)、そもそも日産自動車ほどの大企業でも下請法違反をする事実からみても、行政による勧告や50万円程度の罰金くらいでは、法の順守に対する実効性が低いのではないかと思います。

下請け企業が実際に保護され、コストを適正に転嫁できるようになるためには、さらに具体的な施策や厳しい取り締まりが必要ではないかと個人的に感じますが、どうでしょうか。

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