おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
8月27日、ISO 9001の新しい改訂案、DISが公開されました。DISでは箇条3に大きな見直しが行われました。実務者が押さえるべき差分だけを解説します。
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ISO/DIS 9001 箇条3の全体感
現行のISO9001:2015では、箇条3「用語および定義」は、「ISO 9000:2015を参照してください」と外部に飛ばすかたちになっていたんですが、DISでは規格本文の中に主要な用語が直接記載されるようになりました。さらに、ISO9000の2015年版と比べても、少し用語の定義に変更が見られます。
まず箇条3の全体感についてです。結論を言うと、定義自体の意味は大きく変わっていません。参照番号の更新や、注記の整理・移動が中心ですが、意味を明確にする変更、あるいは誤解を防ぐ変更がいくつかあります。では、実務に関連しそうな変更の代表例を4つ見ていきたいと思います。
ISO/DIS 9001 箇条3 実務に関係しそうな変更点
一つ目、箇条3.1「組織」の定義です。ここでは、注記で「組織とは、QMSの適用範囲に含まれる部分のみを指す”ということが明確になりました。ISO9001の適用範囲を、会社の中の一つの工場だけとか、会社の中のある特定の製品だけ、と絞って決めているところがあると思いますが、そうした企業において、ISO9001における「組織」という言葉は、QMSの適用範囲とイコールであるということですね。つまりスコープが会社の一部なら、「組織」という言葉はその一部を指すし、スコープが全社なら、組織という言葉は全社を指すということが明確になりました。このあたりの定義が、マニュアルや規程類、組織図などであいまいになっている企業は、見なおしが必要かもしれませんね。
2つめです。箇条3.4の「マネジメントシステム」の定義で「組織は相互に関連する要素を秩序立てて管理し,目的を達成する」という注記が追加になりました。要は、方針や目標、プロセス、基準などがただ“ある”だけでは足りなくて、それらが有効に機能して、目的を達成するように“まわす”責任が組織にあることが強調された、という感じですかね。実務上は、ISOのためだけに作っているという書類や作業を、より機能するように働きかけることが必要でしょうね。
3つめです。箇条3.8の「プロセス」の定義で、プロセスとは「インプットを利用・変換する活動である」と書かれるようになりました。もともと2015年版では「インプットを用いてアウトプットを出す」と表現していたのですが、DISでは「用いる」という言葉のほか「変換する」という言葉が追加をされました。変換というのは、製造プロセスで物理的・化学的に何かが“変わる”ということももちろん考えられますが、サービス業やオフィス系の仕事などでも当てはまるものが多くあるはずですね。例えば設計というプロセスもインプットをアウトプットに変換する作業といえますね。もともと2015年版でもそのようなニュアンスはあったのだと思いますが、それが明確になった形でしょうか。実務上では、特にサービス業とかオフィス系の仕事などで、特定したプロセスに漏れや抜けがないかというのを再確認するのが良いでしょう。
4つめです。箇条3.17「是正処置」の定義で、是正すべき不適合原因は複数ありうることが明確になりました。これは結構重要な定義の見直しだと思います。一般的に多くの企業では、不適合原因の特定は一つだけ、というケースが非常に多いと思うんですが、原因は複数ありうると定義しなおされたことによって、それに対応する必要がありそうですね。例えば不適合の対策書の原因分析欄に、複数の原因がありうるという注意書きを書いたり、もしくは、原因分析の教育訓練をする際に、複数の原因がありうることを教えるといった対応が必要かもしれません。
まとめ
はい、というわけで、ISO 9001 DIS 箇条3の実務ポイントをダイジェストでお届けしましたがいかがだったでしょうか。今日のポイントを一言でいうと「大きな変化はないが、意味を明確にする変更があり、実務対応が必要なものがある」という感じですかね。
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