おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
AIリスク・規制の超基礎というテーマで連載します。AIは私たちの生活を便利にしてくれる一方で、様々なリスクも抱えています。今回は、世界各国のAI規制の動向をお話します。
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【最新AI法案解説!】【AIリスク・規制超基礎】 AIの何が問題で 企業は何をすべき?(1)
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おことわり
この記事の内容は、2025年1月時点の情報です。AIの世界は変化がめちゃめちゃ早いので、この情報はたぶんすぐに陳腐化します
世界各国のAI規制の動向
このような事件や議論を背景にして「AIを規制すべきかどうか」という話が世界中で盛り上がっています。その中でも、いくつか注目の動きについてお話ししましょう。
EU(欧州連合)
まずはEU(欧州連合)です。EUでは2024年5月に「AI規制法」という法律が可決されて、8月から施行されました。この法律では、AIが引き起こすリスクをレベルごとに分けて管理していく仕組みを作っています。例えば、2025年2月からは「容認できないリスク」を持つAIの利用が禁止されます。そして2027年8月には、規制が全面的に適用される予定なんです。EUのこの姿勢、世界各国を見ても、かなり厳しめの姿勢です。
アメリカ
次に、アメリカを見てみましょう。2023年1月、アメリカの国立標準技術研究所(NIST)が「AIリスクマネジメントフレームワーク」を発表しました。このフレームワークは、企業がAIを安全かつ責任を持って使えるようにするためのガイドラインみたいなものです。EUと違うのは、規制で縛るというよりも、企業が自主的に取り組むことを重視している点です。ただ、2025年1月には、バイデン政権がトランプ政権に代わりましたが、その直後にAIを慎重に規制していこうというバイデン政権の方針から、「AIをもっと積極的に推進しよう!」というトランプ政権の方針に代わりました。今後、アメリカの動向がどうなっていくのかは要チェックですね。
中国
中国の動きにも触れておきましょう。中国では2023年に「生成人工知能サービス管理暫定弁法」という法律を制定しました。この法律では、AIを活用した生成サービスについてEUよりも早く規制を導入しています。
日本
では、日本はどうでしょうか?日本では、2024年4月に経済産業省が「AI事業者ガイドライン」を作りました。このガイドラインは、「AIを使って人間中心で持続可能な社会を目指そう」というのがテーマです。法律ではないので強制力はありませんが、企業が自主的にこれを参考にすることを期待されています。これに加えて、先週金曜日から開かれた通常国会で、AI法案が提出される見込みになっています。法律とガイドラインの両立てで規制をする方向に向かっています。
国際連携・協調
このように、AIの規制は世界中で少しずつ進んでいますが、各国でアプローチが少しずつ違っています。各国の足並みが揃わないと、国境を超えて利用可能なAIサービスではいろいろ不都合がありますので、国際的な連携の話として、2023年5月に開催された広島G7サミットで「広島AIプロセス」という枠組みが立ち上がりました。このプロセスは、各国が生成AIに関するルールを話し合って合意形成を目指すものです。現在、この枠組みにはG7だけでなく、55カ国が参加しています。AI規制に関して、世界的に足並みを揃えようという試みですね。