おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
「オーディットトレイル」という監査手法があるのをご存知ですか?一般的な監査の手法とは異なる方法なのですが、とても効果的だと言われており、ISO9001審査実務グループやBSIなどが推している方法なんです。2回にわたり、オーディットトレイルについて解説をします。
今回の記事の元ネタ(ISO9001審査実務グループ指針)
オーディットトレイル(Audit Trail)とは何か?
オーディットトレイルは、日本語に直訳すると「監査経路」なんですが、これだと余計意味がわかりません。直訳してわかるような概念ではないので、ちょっと時間をかけて解説していきましょう。
オーディットトレイルとは、例えばある製品をひとつ選んで、その注文を受けてから出荷するまで、会社の中をどう通っていくかを「経路」のようにたどって調べるやり方です。
反対に、どういう監査が「オーディットトレイル」ではないかという説明をしましょう。
- ISO9001 の条項 4→5→6…と順にチェックリストを埋め、各条項に対応する文書や記録があるかを確認する監査
- まず営業部。その次は製造部……と部署ごとに監査をすること。その部署内の記録は詳しく見るが、部署間の前後工程との受け渡しまでは追跡しない監査
- 机上でマニュアル・手順書・記録を確認し「書類が整っているか」を評価するだけの監査
- 営業関係のプロセスは製品Aを、購買プロセスでは製品Bを、製造プロセスでは製品Cを……のように、異なる案件をバラバラに監査
これだとぶつ切り監査になりがちなので、受注から出荷まで、本当に仕組みがうまく動いているかというのが分かりづらいですね。こうならないように、一つのテーマ(製品とか注文とか)に絞って、先頭プロセスから最終プロセスまでを確認していくような監査です。
なぜオーディットトレイルが重要なのか
オーディットトレイルが、ISO9001の基本的な考え方と一番相性の良い監査方法だからですかね。それゆえに、オーディットトレイルだとマネジメントシステム上の問題点や改善点を見つけやすくて、品質を良くするための役立つからだ、と言ってよいと思います。
そもそも会社の仕事というのは、営業が受注し、それを具体的な形にするために設計し、設計図面をもとに製造するというように、いくつもの工程(プロセス)のつながりで成り立っていますよね。そのため、ISO 9001 では「それぞれの工程をはっきりさせて、どうつながっているかをちゃんと管理しよう」と決めています。これが「プロセスアプローチ」と呼ばれるものです。
オーディットトレイルは、このプロセスにそって、ある注文や製品が「最初から最後までどう流れるか」を追いかけながら調べる監査方法ですので、プロセスアプローチに非常にマッチした方法なんですよね。
こうした流れを通して監査をすると、「営業が受注してきた情報が正しく設計にインプットされているか」とか「設計のアウトプットを踏まえて正しく購買が注文書を作成しているか」というように、各部署のつながりで起きやすい問題まで確認することができます。(こうした「境目」では、一般的に問題が起きやすいというのは、皆さんも社会人経験からよくおわかりではないかと思います)
こうした監査と、ただ「書類がそろっているか」を確認する監査を比べたら、「決めたやり方がちゃんと部門を横断して守られているか」まで評価できるオーディットトレイルのほうが、より問題を浮き彫りにしやすいことは明白ですよね。
明日はオーディットトレイルを具体的にどのように実践するかについてまとめます。
