おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
「オーディットトレイル」という監査手法があるのをご存知ですか?一般的な監査の手法とは異なる方法なのですが、とても効果的だと言われており、ISO9001審査実務グループやBSIなどが推している方法なんです。2回にわたり、オーディットトレイルについて解説をします。
今回の記事の元ネタ(ISO9001審査実務グループ指針)
前回の記事はこちら
オーディットトレイルの実践方法
前回も話したように、オーディットトレイルとは「一つのテーマ(製品とか注文とか)に絞って、先頭プロセスから最終プロセスまでを確認していくような監査」のことです。これをどのように実践するか、一つの例を紹介します。
監査する対象をサンプリングで選ぶ
まず工場や作業現場へ行き、今まさに動いている製品やジョブ番号を1つだけ選びます(サンプリング)。これが監査のスタート地点です。なお、サンプリングは監査員が行うべきですね。監査をされる側が「この製品を監査してください」とあらかじめ準備するのは、客観性や監査の有効性の面で問題があるかもしれませんからね。
そのサンプリングした対象に関するルール・要求事項を調べる
営業部や製造部などへ行き、対象に選んだもの(製品やジョブ)についての契約書や仕様書、手順書、規程類を見せてもらいます。それを見ると「この製品はどういうルールや条件を守らないといけないか」がわかりますね。それをあらかじめ押さえて置く必要があります。(ここでチェックリストなどを作っておくのが効果的です)
流れに沿って追いかけていく
選んだもの(製品やジョブ)を、受注から出荷に至るまで、工程にそって確認をしていきます。各工程で作られた記録や書類をたどり、「どんな作業や管理が行われたか」を確かめます。(もちろん、選んだ製品やジョブに関する記録や書類を確認します)
どのように確認するのか、例を挙げましょう。例えば購買工程(購買部)では、調達先や外注先に対する発注書の内容が、その選んだ製品の仕様と合っているかどうかを調べます。それにあわせて、誰がどんな基準でその製品に関する部材等の購入を決めたか、調達先や外注先にどのように発注を伝えたかなどを、ヒアリングや記録を見て確認する、といった具合ですね。
当然、発注したものの受入検査の記録を確認することも必要ですし、調達されたものは製造現場で製造に使われますので、その製造記録を見てトレーサビリティが機能しているか等も確認をしていくことになりますね。
守るべきポイントとしては、途中で別製品や別ロット、別ジョブの記録などを確認しないということです。監査すべき記録は、あらかじめ選んだものに紐づくものだけに限定することが重要ですね。
「全工程を見る」か「一部だけ見る」か
一つの製品などをサンプリングし、全工程を見るというのは、口で言うのは簡単ですが、なかなか難しい面もあると思います。(監査の日程調整が困難だったり、規格要求事項に対する網羅的な監査が難しかったり、複数人のチームでやる場合に方法を統一するのが難しかったりしますからね)
そこで折衷案にはなりますが、一部の工程でオーディットトレイルを実践するというやり方もあり得るとは思います。(これはぼくの個人的な見解ですけど)
例えば営業と設計だけを見るなど、全工程の一部を縦断的に見るパターンでも、それが同じサンプルに紐づく連続した流れを追っていれば、それはオーディットトレイルといえると思います。「営業と設計が要求を正しく伝達しているか」など、限定した論点に焦点を当てるやり方も、リスクや監査の目的に応じて取り入れることは効果的だと思います。

