【環境法令解説シリーズ】コンプレッサー環境法令入門 知っておきたい3つの法律

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

環境法令解説シリーズ、今回は「コンプレッサー」に関係する環境法令を横断的に解説していきたいと思います。コンプレッサーを使っている企業が、どういうときにどういう義務を負うのかについて、ざっくりした全体像を説明します。

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コンプレッサーと法律

コンプレッサーとは、空気に圧力をかけて小さくし、その力を使う機械です。様々な分野で欠かせない機械なんですが、大きな音がでたり、ドレンという排水が出たりするので、環境を悪くしないように様々な法律で規制をされているんですね。

使い方によっては、いろんな法律が関係することもありますが、今回はコンプレッサーに関係する代表的な法律の中から、環境に関わる3つ(騒音・振動規制法、フロン排出抑制法、下水道法・水質汚濁防止法)を取り上げて説明します。

コンプレッサーと騒音・振動

コンプレッサーは、空気を圧縮してタンクに送り、そこから工作機械、エアツールなどに供給されています。運転中に大きな音や振動を出すため、近所迷惑になることがあります。そのため『騒音規制法』や『振動規制法』によって、一定の条件を満たす設備は“特定施設”として規制されています。

具体的には、原動機(モーター)の定格出力が7.5キロワット以上のコンプレッサーは、原則として“特定施設”に該当します。ただし、環境大臣が認めた「静かで振動の少ない機種」は、7.5キロワット以上でも規制の対象外になることがあります。なお、この出力の基準は、自治体ごとに異なることがあるため、必ず自分の地域のルールを確認してください。

コンプレッサーを使う事業者が負う法的義務

では“特定施設”にあたるコンプレッサーを使う事業者には、どんな義務があるのでしょうか。

1つ目は、届出です。特定施設にあたるコンプレッサーを設置・変更・廃止する場合は、事前に自治体へ届け出が必要です。2つ目は、規制基準の遵守です。発生する騒音や振動が、地域ごとに定められた基準値を超えないように運用することを求めています。

騒音・振動の規制基準の例をご覧いただきましょう。これは神戸市の例です。

騒音については、地域が第1種から第4種までの“地域区分”に分かれており、それぞれに昼間、朝夕、夜間の時間帯ごとで、許容される音の大きさが決められています。例えば、第1種区域、つまり住宅地では、昼間は50デシベル、夜間は40デシベルが上限です。一方、振動の基準は、第1種と第2種の区分で、昼間・夜間の基準値が設定されています。同じデシベルという単位のように見えますが、騒音と振動とでは中身は別のものなので、注意をしてください。それから測定場所にも注意が必要です。騒音や振動規制法では、音や振動の大きさは“敷地境界”で測定するのが基本です。これは、周辺住民への影響を評価するためです。一方、労働安全衛生法に基づく職場の騒音管理では、“作業場内”で行うのがです。このように法律によって、測定場所が異なる点には注意が必要です。

コンプレッサーと気候変動

一部のコンプレッサーには、空気中の水分を除去する「エアドライヤー」がついています。このエアドライヤーの中には、冷媒に「代替フロン」が使われていることがあります。代替フロンは、冷却力は高いのですが、強い温室効果があり、地球温暖化につながります。そのためエアドライヤーのついたコンプレッサーは、フロン排出抑制法という法律により「第1種特定製品」として管理しなければなりません。

エアドライヤーつきコンプレッサーの使用者に課される主な義務について確認しておきましょう。

1つ目は、機器を適切な場所に設置することです。熱がこもりやすい場所や、点検しづらい場所に設置しないようにしましょう。

2つ目は、機器の点検と記録です。法では、3か月に1回以上の簡易点検、そして大型のものは年1回の定期点検が義務づけられています。点検した内容は、記録して、廃棄後も3年間は保存する必要があります。

3つ目は、フロンが漏れたときの対応です。発見次第、速やかに修理などをする必要があります。また、漏れが多く、CO₂換算量で年間1,000トン以上漏れた場合は、国への報告義務も発生します。

そして4つ目が、廃棄や冷媒の充填・回収時の対応です。こうした作業は、専門業者に任せ、引取証明書などをきちんと受け取り、保管してください。

コンプレッサーの『簡易点検』と『定期点検』について、もう少し整理します。

まず、簡易点検についてです。これはすべての機器が対象で、3か月に1回以上行う必要があります。点検内容は目視確認が中心です。簡易点検に特別な資格は必要ありませんが、記録を残し、決められた期間保存しておく義務があります。次に定期点検です。こちらは、(強調)「冷媒圧縮機」のモーター定格出力が7.5キロワット以上の機器が対象です。こちらは有資格者が年1回点検して、記録の作成と保存が必要です。多くのコンプレッサーは、だいたい簡易点検で済みますが、定期点検の対象機器に該当しないかどうかは注意して確認してください。

コンプレッサーと排水(ドレン)

コンプレッサーは空気を圧縮する際に、空気中の水分を多く含みます。この水分はタンク内で水に変わり、“ドレン”として排出されます。特に、オイルを使うコンプレッサーでは、このドレンに“油分”が混じるのが一般的です。油を含んだドレンは“産業廃水”と見なされ、勝手に流すことはできません。

その扱い方によって、適用される法律が変わります。

まず、下水道に流す場合です。このときは下水道法と、自治体の条例が関係します。下水道に流す場合、特定施設(めっき槽や洗浄施設のような、水を汚す可能性のある施設)があるかどうかに関わらず、「下水排除基準」を守る必要があります。油水分離装置などで処理して排水しなければなりません。

また、用水路や川、海といった公共用水域に流す場合は、水質汚濁防止法が関係します。こちらは、工場の中に水濁法上の「特定施設」が1つでもあれば、その工場は特定事業場となり、工場から出る排水全体に、法律の排水基準や自治体独自の基準がかかります。特定施設がなく、自治体の上乗せ基準もない場合には、法律上の排水基準は形式的には適用されません。ただし、周辺住民や農業・漁業への影響なども考えると、、油水分離などの処理をすることが望ましいでしょう。

ドレンを水に流さずに、廃棄物として処理するケースもあります。この場合は“廃棄物処理法”に基づいて、産業廃棄物として適正に処理する必要があります。

まとめ

今回のお話は、コンプレッサーも安全運転だけでなく、環境を守るマネジメントが必要だ、というものでした。法に違反すると罰則だけではなく、会社の評判を落とすことにもなりかねませんので、しっかりとマネジメントしていただきたいと思います。

この記事を書いた人
代表取締役 今村 敦剛

中小企業診断士/審査員(ISO9001, 14001, 45001)/日本心理学会認定心理士