おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
突然ですが僕は、クライアントである支援先企業の皆さんから放置されたいと思っています。それがコンサルタントとしての最高の名誉だ、とまで思っています。僕のゆがんだコンサルタント論に、少しお付き合いください。
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会議が終わってクライアントから放ったらかしにされる
いつもどの会社でも放置される、というわけではないのですが、顕著な例としては数年前までに5S活動やOKR(≒目標管理)の推進支援をしていた製造業での話です。その会社では、月に2度ほど訪問し、現場を確認したり、経営者・管理職との進捗確認の場を持ったりしていました。通算で4年くらい支援したでしょうか。
支援の2年目くらいから顕著になったのですが、進捗確認会議が終わると、なかなかおもしろいことが起こりました。会議が終わると、みなさんが僕のことを放ったらかしにして、会議室を出ていくようになったのです。一応、僕はこの会社を訪問している来客でもあります。来客を放置するはずがありませんよね?ところが、会議が終わると、確かにこの会社の皆さんは、僕になにも言わずに会議室を去っていくのです。そして僕も黙って会議室を出て、通用門から一人で退出するのです。
招かざる客だという訳でもなさそうで……
これは僕が歓迎されていないわけではないと思っています。このように放置されるようになってからも3年ほどは支援が継続しましたし、経営者の皆さんや従業員の皆さんには、懇親を深めるために食事に誘われたりもしましたので。
僕の自分勝手な解釈では、こちらの会社と僕の関係が深くなりすぎて、僕が空気のような存在になっているからではないか、と思っています。
僕がこちらの会社を支援し始めたとき、こちらでは経営者の決めたことが現場で守られないという問題を抱えていました。何をやっても中途半端に終わるというのです。僕は、経営者や従業員(特に管理職)の皆さんと、何度も話を重ねました。経営者の思いが社員にじゅうぶんに伝わっていないことが原因だと考えた僕は、経営者と従業員が日常的に対話できる仕組みを、5Sや目標管理と関連付けて導入することを提案しました。
こうした支援してきた結果、数年来の売上高の減少も下げ止まり、利益体質になってきたのですが、それにつれて僕の存在も徐々に「いつもいてくれて当たり前」になってきたのではないかと思っています。
外部の人ではなく、その会社の一部となる
そうして、僕はその場にいるのが当然の人だ認知されるようになったのでしょう。会議が終わった後に放置されるのは、他の従業員と同じように扱われているとも言えると思います。
コンサルティングは普通、教える側と教えられる側に立場が分けられます。それゆえに全てのコンサルティングの場面で必ずしも顧客と対等の立場を築けるわけではありません。しかし僕は、少なくともこちらの会社では対等な関係を築けたのではないかと思います。放置されることは対等な関係であることの証拠の一つだと(勝手にですが)思っています。
クライアントとコンサルタントは、経営に対する共同注視者
このエピソードで、僕自身が優秀だということを自慢したいのではありません。このような関係を築けるかどうかというのは、仕事の中身にもよるところがあるように感じています。例えば補助金の支援などでは、ノウハウを教える側と教えられる側という立場がかなり明確だからか、とにかく補助金が欲しいからか、「先生!先生!」ともてはやされる(?)ことが多いように思います(腹の底でどう思っているのかは知りませんが?)。補助金の仕事では、経営者以外のみなさんと腹を割って、組織の現状や問題について話を聴くということもありませんから、対等な関係というのは築きにくいでしょうし、その必要性もないのかもしれません。そういう点では、補助金の仕事は物足りないなあと思うこともしばしばです。
いずれにせよ、コンサルタントとクライアントというのは、よい会社を仕立て上げていくための共同注視者(二人が肩を並べて同じものを見て、気づき、判断する人たち)であると思っています。どちらが偉くて偉くないか、などというものはありません。そのような対等な関係を築くことができれば、それはコンサルタントとしての最高の名誉だと僕は思います。