ISO45001:2018 6.1.2.2 職場の安全を保つにはリスク評価が鍵？(2)

おはようございます！マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

ISO45001:2018各箇条解説シリーズとして、箇条6.1.2.2を解説します。ここは、労働安全衛生マネジメントシステムでも超重要部分であるリスク評価に関する箇条です。どのようにしてリスクを特定、評価するべきなのかをわかりやすく解説します。

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「労働安全衛生リスク」と「その他のリスク」の違い

「労働安全衛生リスク」と「その他のリスク」の違いについて説明をします。まずは労働安全衛生リスクです。これは箇条6.1.2.1で危険源を特定しましたが、その危険源から生じるリスクといえます。

例えば脚立は危険源の一つですが、脚立に人が乗っかって、バランスを崩したり、脚立の止め金具が外れたりすると、人が落下をしてケガをします。こういう流れで起こるかもしれないケガや病気の可能性が、労働安全衛生リスクです。

一方、労働安全衛生マネジメントシステムに対するその他のリスクは、箇条4.1で特定した課題や、箇条4.2で特定したニーズ・期待、箇条6.1.3で特定した法的要求事項やその他の要求事項、そして箇条8.1で計画して実施をする運用などから生じるリスクといえます。

「その他のリスク」の具体例

その他のリスクの具体例を見てみましょう。

まずは箇条4.1に関連して、「我が社は人手不足だ」という課題があったとします。人手不足が続けば、残業や休日出勤が増え、従業員は疲弊し、結果として病気や事故のリスクが高まりますね。

次に、箇条4.2に関連して、顧客からの「短納期の要求」があります。これに応えるために生産を優先すると、教育訓練の機会が失われ、安全な作業方法の理解不足によって事故のリスクが高まります。

箇条6.1.3ではどうでしょうか。例えば安衛法の改正を見落として、法律を満たせないことによる罰金や事業停止のリスクが考えられます。

そして箇条8.1に関しては、例えば有機溶剤や溶接に関する手順として、保護具を使って作業をするという決まりになっていたとしても、保護具がいつの間にか壊れていたり、足りなくなっていたりして、作業者が健康被害を受けるリスクが生じているかもしれません。これらのリスクは、危険源だけを見ていたら想定できないリスクですよね。他の箇条で特定した内容を踏まえながら、どういうリスクが想定されるかを、広い観点で洗い出す必要があります。

次回は、こうして特定したリスクを、どうやって算定・評価するのか解説します。