おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018 各箇条解説シリーズ。今回は箇条6.2「労働安全衛生目標」を解説します。どういうものを目標として展開すべきなのか。また目標はどんなふうに文書化すべきなのかという点についても解説します。
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ISO45001:2018 6.2 労働安全衛生目標を作るには◯◯を踏まえる必要がある!?(1)
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6.2.1の規格要求事項
それでは箇条6.2の規格要求事項を見ていきましょう。箇条6.2には、6.2.1と6.2.2という2つの細かい箇条があります。まずは箇条6.2.1から説明します。
労働安全衛生目標は、「関連する機能及び階層」で確立しなさい、と言っています。すべての部門や階層で目標を設定しろ、とまでは言っていませんので、必要に応じて部門や階層に展開するのがよいでしょう。
そして労働安全衛生目標は、a)からf)までの6つのことをやりなさい、と言っていますが、これは大きく分けて2つに分類できます。まずa)とb)とc)は、労働安全衛生目標を作る上で考えるべきことを示しています。これは後ほど、例を交えて説明をします。そしてd)とe)とf)は、労働安全衛生目標の設定後にやるべき内容です。要は、目標を立てた後は、その達成状況を監視し、組織内に伝達し、必要に応じて更新しなさいと言っています。
6.2.2の規格要求事項
ではつづいて箇条6.2.2「労働安全衛生目標を達成するための計画策定」を見てみましょう。
労働安全衛生目標を達成するための具体的な計画をたてることが求められていますが、計画にはa)からf)までの項目を含める必要があります。これらについては、後ほど具体的な例を交えて詳しく解説します。ただ、f)は少し難しいですが、要は、労働安全衛生目標達成に向けて計画したことが、ちゃんと日常業務の中で実行できるように考えなさい、ということです。「組織の事業プロセス」というのは、具体的には日頃行っているものづくりやサービス提供、営業活動、研究開発活動、事務活動などのことです。この中で、目標への取組ができるように考えなさい、ということですね。
また、労働安全衛生目標は文書化要求がありますから、目標シートのようなものを作る必要がありますね。
労働安全衛生目標の例
では今日のまとめとして、労働安全衛生目標の例をご覧いただきましょう。要は、こういう目標シートを作りなさいと規格は言っているわけですね。
この例では「高所作業に関する危険源の除去」や「化学物質の取り扱い教育」という目標が設定されています。労働安全衛生方針と整合していることが箇条6.2.1 a)で求められていますが、どちらの目標も職場の安全性を高めることに繋がるものなので、方針に沿っていると考えられます。
また箇条6.2.1 b)では、目標は測定可能であることという決まりがありました。何をもってこの目標が達成といえるのかという基準も、ここに書かれていますね。
そして箇条6.2.1 c)では、これらの目標が、要求事項やリスク・機会の評価結果、働く人などとの協議結果から導き出されている必要があります。要求事項やリスク・機会の評価結果、働く人などとの協議結果を全て目標にする必要はありませんが、全く目標にしていないというのはよくないでしょうね。なおこの目標は、一般論としてですが、リスクを回避・低減するための取組だと言えるでしょう。
それぞれの目標には実施事項と責任者と達成期限が書かれています。これは、箇条6.2.2で求められている内容ですね。
労働安全衛生目標はどの程度まで文書化すべきなのか
最低限、このシートの程度くらいには目標を文書化することが好ましいでしょう。規格にかかれていること全てを詳細に目標シートに書き込む必要まではないでしょうが、従業員が目標を理解し、目標に向かってやるべきことを実行し、そしてモニタリングすることができる程度での文書化が必要でしょう。要は、労働安全衛生パフォーマンス向上に寄与する程度の文書化でよいと考えます。
要求事項やリスク・機会の評価結果、働く人などの意見を踏まえる必要がある
2回にわたってISO45001:2018 箇条6.2について解説をしましたがいかがだったでしょうか。改善が必要なものを労働安全衛生目標に展開するし、その際には要求事項やリスク・機会の評価結果、働く人などの意見を踏まえる必要がある、ということでした。今日説明したような目標シートがあると、進捗確認や結果の評価、振り返りなどもやりやすくなると思いますので、参考にしてみてください。
なお、労働安全衛生目標の設定にあたっては、管理職でない人から意見を聞くことが、箇条5.4「働く人の協議及び参加」で求められていますので、現場の方の意見を聴きながら目標を設定してくださいね。