おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
環境法令解説シリーズ、今回は「環境基本法」と、具体的な規制や罰則について定めた個別の環境法令との全体像について解説をします。(全2回の2回目)
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【環境法令解説シリーズ】環境基本法と環境法令の体系(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 環境法令解説シリーズ、今回は「環境基本法」と、具体的な規制や罰則について定めた個別の環境法令との全体像について解説をします。(全2回) ...
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政令・省令・条例について
では法体系のピラミッドの青の部分、一番下の部分の政令・省令・条例について説明をしましょう。
政令・省令・条例とは、法律に基づいて国・自治体が制定した決まりごとのことです。
例えば毒物・劇物の取扱に関する法律として、毒物劇物取締法という法律があります。この法律では、毒劇物管理等に関する全般的なルールを定めているほか、法律では129の化学物質を毒物または劇物と指定しています。
政令・省令・条例は、この法に付け足しを行っていると考えると良いでしょう。例えば政令である毒物及び劇物指定令では、法律で定めた129の物質の他、400以上の物質を追加で毒物または劇物と定めています。省令である毒物及び劇物取締法施行規則では、行政事務(登録・許可)に関する細かい要件などを定めています。このように法律に補足するような形で定められたルールが規則や命令です。条例も考え方は同じですが、政令や省令は内閣や省庁が作るのに対して、条例は自治体が作るところに違いがあります。例えば徳島県や新潟県などでは、毒物及び劇物取締法施行条例として、自治体独自のルールを定めています。そしてみなさんがたの会社は、法律だけではなく、このような政令・省令・条例等も全て守らなければなりません。
「上乗せ条例」や「横出し条例」とはなにか
条例を調べていると、よく「上乗せ条例」や「横出し条例」という言葉を耳にします。これはどういう意味でしょうか。
上乗せ条例とは、法律が規制しているよりも厳しい規制基準を定めたもののことを言います。また、横出し条例とは、法律で定めているよりも規制対象を広げたもののことを言います。
例えばですが、法律では化学物質のAとBとCだけを規制しているけれども、条例ではAとBとCに加えてDも規制の対象に加える場合は、横出し条例に該当します。また、汚水の排出基準が法令で10ppm以内とされているけれども、条例ではそれより厳しい8ppm以内にするという場合は、上乗せ条例に該当します。
みなさんがたの会社が所在する自治体が、上乗せ、横出しの条例を定めている場合は、それを守る必要があります。ですので、法律だけではなく、必ず政令・省令・条例も調べて、守らなければなりません。
環境基本法は国の環境政策の基本理念を示している
以上2回にわたって、環境基本法と環境法令の体系について解説をしました。環境基本法が、国の環境政策の基本理念を示しており、そこにぶら下がるような形で、個別の法律や省令、政令、条例があるというお話でした。
みなさんがたの日々の環境管理においてはあまり意識をしなくても大丈夫なところですが、こういう法体系のもとで日本の環境政策が実施されているということは知っておいても損はないかなと思います。