おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
うっかりミスに代表される「ヒューマンエラー」ですが、ヒューマンエラーの原因は個人の不注意などとして捉えられがちです。でも本当はもっと複雑であることがわかっています。ヒューマンエラーとは何で、そしてなぜ起きて、どう対策するかについて3回に分けて解説します。
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前回までの記事はこちら
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ヒューマンエラーって何?なぜ起きるの?どうやって防ぐの?(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 うっかりミスに代表される「ヒューマンエラー」ですが、ヒューマンエラーの原因は個人の不注意などとして捉えられがちです。でも本当はもっと複 ...
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ヒューマンエラーは「原因」ではない?
ヒューマンエラーの理解には、個人のミスだけでなく、その背後にあるシステム全体の問題を考慮することが不可欠です。
例えば、上司が「どうしてこんなミスをしたんだ!?」と問い詰める場面を想像してください。部下は「原因は私のうっかりです…」と答えますが、本当に原因は「うっかり」だけなのでしょうか?
共同認知システム学派などの研究によって、ヒューマンエラーそのものが事故や不具合の直接の原因ではないという考え方が主流になっています。つまり、ヒューマンエラーは他の要因によって引き起こされ、その結果として事故や不具合が発生するのです。
具体的に言うと、「うっかりしていた」というヒューマンエラーの背景には、「個人的要因」や「作業環境要因」「人間関係要因」「組織的要因」といったものが隠れています。
ヒューマンエラーの背景にある要因の例
では、これらの要因について詳しく見ていきましょう。
個人的要因は、個人の性格や状態に関する問題です。例えば、忘れっぽさや集中力の欠如、疲れや眠気、空腹などが挙げられます。これらは個々の従業員のパフォーマンスに直接影響を与え、エラーの発生リスクを高めます。ヒューマンエラーは、個人の意識の問題と捉えられることが多いですが、多くの人はヒューマンエラーの原因をこの「個人的要因」だとみなしているのだと思われます。しかし要因は、個人的要因だけではありません。
作業環境要因は、作業環境に関連する問題です。例えば、適切な道具や機器が揃っていない、道具や機器の状態が悪い、手順が複雑すぎる、騒音がうるさい、照明が不足しているなどです。これらの要因は作業の効率や安全性に直接影響を与え、エラーの発生を招きます。
人間関係要因は、職場の人間関係に関連する問題です。例えば、チームの雰囲気が悪い、上司の態度が威圧的、人を萎縮させるような職場の空気などが挙げられます。これらの要因はチームの協力や情報共有に影響を与え、エラーの発生を増やす恐れがあります。
組織的要因は、組織全体に関連する問題です。例えば、コスト削減や時間のプレッシャー、役割や責任・権限の曖昧さなどが含まれます。これらの要因は組織の方針や文化に影響を与え、エラーの原因となることがあります。
後者3つ(作業環境要因、人間関係要因、組織的要因)は「システム的な要因」とも言われます。システム的な要因は、ヒューマンエラーの真の原因と言っても過言ではありません。例えば、作業環境が整っていないと、どれだけ注意深く作業してもミスが発生しやすくなります。また、職場の雰囲気が悪いと、萎縮してしまいミスが増えます。
個人的な要因ももちろん要因ではありますが、こうしたシステム的な要因が、ヒューマンエラーに大きな影響を与えていると考えられます。
次回はヒューマンエラーをどう防ぐかについて解説します。