おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
2026年に予定されているISO 9001の次回改訂について、3回にわたってお話しします。
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ISO9001改訂最新情報(1)(2024年11月時点)
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ISO9001改訂最新情報(2)(2024年11月時点)
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ISO9001:2026では何が変わるか?(変更点について)
ISO 9001の次の改訂では、何がどう変わるのでしょうか?
あらかじめお伝えしておくと、この動画の収録時点(2024年11月)では、次の改訂内容はまだ何も決まっていません。しかし、ISOの最近の活動内容などを見ていると、次回のISO 9001の改訂に盛り込まれるかもしれないと考えられる点が2つあります。それは、「「整合の取れたアプローチ」(上位構造)への対応」と「IEC-ISO SMARTへの対応」です。
「整合の取れたアプローチ」(上位構造)について
最初の点について説明をしますが、「整合の取れたアプローチ」とか「上位構造」と言われても、何のことだかさっぱりわからないかもしれませんね。
「整合の取れたアプローチ」と「上位構造」とは、ISOの規格における用語や章立てを統一するためのルールです。もともと、ISOのマネジメントシステムには「ISO 9001(品質)」と「ISO 14001(環境)」という2つの規格しかありませんでした。この2つには共通する部分もありましたが、用語の使い方や章立てに違いがあったため、両方の規格に取り組む企業では混乱が生じることもありました。
そこでISOは、2013年にマネジメントシステム規格の共通ルールを作りました。これが「上位構造」、HLSです。現在のISO 9001とISO 14001で用語の使い方や章立てがほぼ同じになっているのは、この上位構造があるからです。
その後、ISOのマネジメントシステム規格には、情報セキュリティや労働安全衛生など、さまざまな新しい分野が増えてきました。そこで、より多くのISO規格に一貫性をもたせるために、上位構造、HLSをさらに整理・改善したものが2021年に作られました。これが「整合の取れたアプローチ」(Harmonized Approach)です。つまり、整合の取れたアプローチとは、上位構造の改良版というわけです。次のISO 9001の改訂も、この整合の取れたアプローチに対応する形で進められるのではないかというのが、有力な考え方の一つです。
IEC-ISO SMARTについて
もう一つの可能性は、IEC-ISO SMARTへの対応です。こちらも馴染みがないかもしれませんが、IEC-ISO SMARTとは、規格を「機械が読み取れる形」にして、AIなどのシステムが自動的に利用できるようにするためのISOとIECの取り組みです。
現在の規格は、本屋で冊子として購入したり、インターネットでPDFをダウンロードすることで入手しますが、この形式だとAIなどが規格をスムーズに読み取ることが難しいのです。そこで、ISOは、機械に読み込みやすい形式で規格を作成しようとしています。これは、世の中のデジタル化・効率化の流れに対応する動きとも言えます。
具体的には、例えばXML形式で規格を発行することが考えられます。これにより、規格の改訂があった際に、その改訂内容を反映したマニュアルや文書をAIが自動で、即座に作成してくれる可能性も出てきます。私のようなコンサルタントの仕事が不要になってしまうかもしれませんが、ISOはそうした未来を目指しているようです。したがって、
新しいISO 9001も、このIEC-ISO SMARTに対応する可能性があります。
ただし、整合の取れたアプローチもSMARTも、規格の「形式」に関する変更に過ぎません。規格の中身そのものがどうなるかについては、今後の委員会での議論や、加盟国の会員団体での話し合いが進む中で見えてくることになるでしょう。