おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
僕がコンサルティングをする上で参考にしているものに、エドガー・シャインの「プロセスコンサルテーション」という本があります。もうこれが僕のコンサルティング技術の全てと言っていいほどに参考にしているのですが、自分の戒めとして「コンサルタントが陥りやすい誘惑」をいつも頭に入れています。
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クライアントに対し、目的を考えずに一方的にフィードバックしたくなる誘惑
私の過去の仕事仲間に「過去の自慢話」をクライアントに得意げに話す人がいました。その人は、クライアントから何か質問されたときも、自分の過去のコンサル成功体験を切々と話していましたが、クライアントが聞きたいのはそんな自慢話ではありませんね。自社の問題の解決方法を聴きたい、というのがクライアントの質問の目的なのです。過去、他の会社での成功事例が全く参考にならないとは言いませんが、少なくともクライアントが聴きたいのは、コンサル成功体験ではないですね。
自社の問題解決方法を聴きたいのですから、フィードバックは当然、その会社の現実に起きている問題点にフォーカスし、その会社で実行可能な解決策でなければなりません。
自分自身が思い描いた現実をクライアントに押し付けたいとする誘惑
「こうあるべき」の押し付けです。一般的には会社は、売上高や利益額、利益率などの目標をもつことが当たり前だと思われています。しかし僕の過去のクライアントには「数値目標を設定することは、いろいろ不正の温床になるので、やらない」と言い切る経営者がいました。その経営者の気持ちに寄り添えず、僕は「でも数値目標がないと従業員も迷いますよ」という、一般論や他社の常識を押し付けて、クビになりかけたことがありました。
一般論としては確かにそうかもしれませんが、コンサルタントが支援するのは、今目の前にいる、世の中に唯一無二の会社なのです。その会社の考え方や思い、現実を無視して、コンサルタントの頭の中で勝手に思い描いたものを押し付けてはいけません。
自分の知っていて得意なものを売り込みたくなる誘惑
これはコンサル屋さんには顕著な傾向です。例えば「従業員に積極性が見られない」という問題を見たときに、研修屋さんは「研修をしましょう」と言いますし、人事制度屋さんは「人事制度を見直しましょう」と言います。対処療法としては確かにそのような選択肢もあるでしょうが、自分が得意とするものに飛びついてはいけません。従業員に積極性が見られないのであれば、従業員へのヒアリングは欠かせません。その会社の責任・権限・裁量のバランスの問題かもしれませんので、組織構造の確認も欠かせませんね。
やっと誰かが援助を求めてくれると安堵のあまり、状況を過度に判断しすぎ、必要以上の援助をしたくなる誘惑
人は誰しもが、誰かの(何かの)役に立ちたいものです。ですので、支援を求められるとうれしくて張り切ってしまいますよね。でもやりすぎはよくありません。何から何までお膳立てをすると、クライアントが僕に依存をしてくるようになります。
例えば補助金の申請支援でも、あまりにも僕が一人でやりすぎると、クライアントは「今村さんが全部やってくれるから任せておけばいいや」という気持ちになります。そういう気持ちを持たれたからか、提出書類も全部僕が整えて事務局に送るのだと勘違いをされ、結果的に提出ができなかったということがありました。
お膳立てをやりすぎると、その会社の当事者意識や事務処理能力を高める機会を奪いかねないのですね。面倒くさいことはコンサルに丸投げしたいという気持ちはわかりますが、こちらもある程度はクライアントを巻き込みながら支援を進めなければなりません。そのためには、ある程度の責任や役割をクライアントに残しておく必要があります。