おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
先日公表された2019年実施ものづくり補助金2次公募分析をします。個人事業者の採択動向を見ると、歯科医の採択が目立ちます。直近の公募における歯科医の採択傾向を分析してみます。
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動画でも2次公募結果について分析をしています!
「歯科医」の調べ方
採択者のうち「歯科医」はどう調べればよいでしょうか。
まず、ものづくり補助金は医療法人は適用対象外ですので、医師であれば個人事業者でなければ申請ができません。個人事業者のうち、「歯」「デンタル」「dental」「dental」といったキーワードを含む申請者名称を数えることで、だいたいの数字が拾えるのではないかと推察します。(このやり方だと、個人事業者の歯車製造業や、歯科技工士も含んでしまうところに注意が必要ですが、今回の分析では誤差の範囲として扱います)
直近3公募との「歯科医」および個人事業者の比較
ではここで、今回の2次公募と、直近3公募の動向を比較してみましょう。
公募 | 個人事業者数 | 推定歯科医数 | 個人事業者に占める歯科医の割合 |
---|---|---|---|
H29 年度補正1次 | 522 | 139 | 26.6% |
H29 年度補正 2 次 | 197 | 84 | 42.6% |
H30 年度補正1次 | 502 | 164 | 32.7% |
H30 年度補正 2 次 | 200 | 99 | 49.5% |
総計 | 1421 | 486 | 34.2% |
今回の2次公募では、個人事業者の約半数、そして採択事業者全体の5%程度を歯科医が占めるという結果になりました。、毎回のばらつきはありますが、直近3公募と比較すると、個人事業者にしめる歯科医の割合は今回の公募が最も高いですね。
なぜ歯科医が目立つのか?
個人事業者の約半数、そして採択事業者全体の5%程度を歯科医が占めるというのは、なかなか特徴ある結果だと思います。
もちろん不採択も含めた申請全体の数で比較しないと、歯科医が採択されやすいかどうかははっきり言えないというのは承知の上での分析ですが、これは必ずしも、歯科医が経営革新に積極的だということを意味しないと思っています。ものづくり補助金では財務状況が審査項目になっているので、個人事業者のうち比較的財務状況が良好な歯科医の採択が、結果的に多くなっているのではないかと推察できます。この点からは、特に今回の2次公募では、財務状況が審査上で(これまでの公募よりも)重視されたという可能性があるのかもしれません。
もう一つ、考えられるとすれば、政治的・政策的があるかもしれません。これは僕も読者の方に教えていただいたのですが、国保の保険者努力支援制度(保険者インセンティブ措置)として、歯科検診が挙げられています。
また、日本歯科医師連盟という団体があり、これは日本歯科医師会の掲げる理念と政策を実現するために政治活動を行う政治団体です。日本歯科医師連盟推薦の国会議員も複数います。これは根拠のない邪推かもしれませんが、このような政治的な力学が働いている可能性は、全否定できるものではないでしょう。(まあもっとも、どこまで審査の現場に徹底できるかという点では、政治力学の有効性も疑問は残りますが)。
2016年の時点で、歯科医の施設数は178,911です(日本歯科医師会ホームページより)。日本の中小事業者の全体数が約380万者ですから、中小事業者にしめる歯科医の割合は4.7%です。そしてものづくり補助金の採択者数全体に歯科医が占める割合も5%程度であることを考えると、それほど多いというわけではないのかもしれません。でも、ものづくり補助金においては、個人事業主の半数を歯科医が占めるというのは、やはり全体から見ると過大と言えるでしょう。
実際のところはどんな理由があるんでしょうね。