おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
10月14日、時事通信などが、国民一律5万円の定額給付金支給について報じました。これは、自民党有志グループ(経世済民政策研究会)が首相に対して政策提言したことが根拠となっています。政策提言では、5万円の特別定額給付金と追加給付と、第三次補正予算における再追加給付に言及しています。
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時事通信『国民一律5万円追加給付を 自民・長島氏ら』
時事通信の報道内容を下記に引用します。ここでは「国民一律5万円の定額給付金支給を盛り込んだ40兆円規模の追加経済対策」とあります。
菅義偉首相は14日、自民党の長島昭久、武部新両衆院議員らと首相官邸で会い、国民一律5万円の定額給付金支給を盛り込んだ40兆円規模の追加経済対策などを求める要望書を受け取った。首相は新たな新型コロナウイルス対応の必要性を訴える長島氏らに対し「そういう方向で頑張る」と応じた。
(10月14日時事通信より)
二回にわけた特別定額給付金を提言?
首相に対して政策提言をした自民党有志グループ(経世済民政策研究会)のメンバーの一人、長島昭久衆議院議員はツイッターで、本件について次のように述べています。「総理は覇気が漲(みなぎ)ってました」とありますが、あくまでも長島氏の主観でしょう。
ところで長島氏のツイッターでは、提言書のコピーも公開されていました。これによると、第二次補正予算の予備費で特別定額給付金5万円を追加支給し、さらに第三次補正予算で特別定額給付金の継続と、二段階に分けて特別定額給付金を給付する提言を行っています。提言書の全文を下記に引用します。
二次補正予備費残と第三次補正での二段階の支給を念頭か
上記の提言書を読み解いていきましょう。これは僕の推測ですが、おそらく自民党有志議員グループは下記のように想定しているのではないかと考えます。
第一次補正予算で国民一律一人あたり10万円の定額給付金が給付されましたが、この時に要した予算は約12兆8,000億円です。
一方、第二次補正予算で設けられた予備費10兆円(不測の事態が起きた際に使えるようにプールしている予算)が、現在のところ約7.8兆円余っています。この余りを使い、「国民一律一人あたり5万円の定額給付金」を追加給付するというのが自民党有志グループの提言です(これは提言書に明記されています)。給付額が半額の5万円なので、この場合の予算も6兆4,000億円程度となり、予備費が使い切られる計算です。
そして自民党有志グループは、40兆円の第三次補正予算を提言しています。これは、国民一律一人あたり10万円の定額給付金を行った第一次補正予算(25兆円)を大きく上回る予算です。提言書には明記されていませんが、この予算規模から推察すると、「定額給付金支給の継続」と書かれている内容も、国民一律一人あたり10万円の定額給付金もしくはこれを超える金額を想定している可能性があります。
ここから推察すると、予備費残を使い5万円給付、第三次補正予算を使い10万円(もしくは10万円以上)の給付ということで、自民党有志グループは15万円程度の給付金を提言していると思われます。
しかしこれはあくまでも有志による提言にすぎない
しかしこれはあくまでも有志による提言にすぎません。今回の提言を行った「経世済民政策研究会」は、5月にも菅首相(当時は官房長官)に対して、新型コロナウイルスの感染が収束するまで国民1人当たり月額5万円を支給することも盛り込んだ提言を手渡しています。しかしご存知のとおり、この時の提言は実現されていません。
一方、10月9日ロイター通信によると、下村自民政調会長が「家計への再度の給付金については、一律給付も対象限定の給付もいずれも念頭にない」と述べたことを報じています。
政府は、コロナ対策として家計への一律10万円給付金を実施したが、下村氏は「考え方としては、岸田前政調会長が提案した所得制限をかけての給付という考え方が正しいと思う」と述べた。ただ「デジタル化の遅れで給付金の受け取りに3カ月も要し、スピード感に欠けていたことを考えれば、必要な時点で届かなければ意味がない」とした上で、「限定給付も一律給付も今時点では考えていない」と述べた。
(10月9日ロイター通信記事より。赤字筆者)
一方、第二次補正予算で設けられた予備費残も「減額補正して、第3次補正予算案の追加歳出に含むことを想定する」という日本経済新聞の報道もあります。
このような点からも、「給付金15万円」というキーワードはあくまでも有志グループによる提言にすぎず、実際は何も決まっていないと理解するのが正しいでしょう。