みなさん、おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
2月9日に経済産業省から発表された内容によると、経営革新等支援機関の認定制度について、認定に有効期間を設け、期間満了時に改めて業務遂行能力を確認する更新制が導入されるそうです。
ちょっと資料を見てみましょう。
スポンサーリンク
経営革新等支援機関制度改正のポイント
認定支援業務をまったく行っていない機関が3割近くいるそうですね。
で、中小企業経営力強化法の改正案を見ましたが、たいしたことは書いていないんですよね。下記の通りの簡単な一文でした。
認定経営革新等支援機関の認定
認定経営革新等支援機関の認定等に欠格条項、認定の更新及び廃止の届出等を追加すること。
(第二十七条から第二十九条まで及び第三十一条関係)
経営革新等認定支援機関の現状と課題についてはこんな資料もあります
中小企業政策審議会 中小企業経営支援分科会 中間整理という資料です。(2017年6月1日づけの資料)
この資料に「認定支援業務をまったく行っていない機関が3割近くいる」根拠が書いていました。どうやら、認定経営革新等支援機関に対して実施した任意調査の結果がソースのようですね。
この資料によると行政側では、経営革新等支援機関制度について、下記のような点が課題として挙げられているようです。
①経営支援能力の確保に向けた取り組み
・経営支援能力を有しているか確認できる仕組みを検討すべき
(能力のない機関があるということ)
②認定経営革新等支援機関のさらなる能力の向上
・認定支援機関に対する研修を充実すべき
・認定支援機関は相互連携すべき
・中小機構の専門家から認定支援機関はアドバイスをうけるべき
(その仕組みをもっと使えるものにしべき)
・国は積極的に認定経営革新等支援機関に対して施策情報を提供すべき
③認定経営革新等支援機関制度の普及促進
・申請手続きを簡素化すべき
・認定を受けることによるメリットを向上させるべき
更新制度はあまり意味はないのではないか
僕の個人的な感想ですが、更新制度はあまり意味がないんじゃないかと思います。企業支援を積極的にしているところは、経営革新等支援機関であることにこだわっていません。「とりあえず認定だけ取った」という支援機関は淘汰されるかもしれませんが、そういう支援機関はそもそも積極的な支援もしませんから、認定が失効しても困らないんじゃないでしょうか。はたして更新制度が導入されるから頑張って能力向上に努めなければ!と発奮する支援機関がどの程度いるか……。ほとんどいないんじゃないでしょうかね。
そもそも行政が主導するハンズオン(直接的な経営)支援には限界があるんじゃないかと思います。例えば中小企業診断士だって、中小企業支援の専門家の認定制度みたいなものですが、診断士だからといって中小企業支援の力量・経験が豊富な人ばかりではありません。別にそういう診断士を非難しているわけではありませんが、制度を作る行政側に対して「資格を作って認定をすれば、即座に中小企業支援ができるっていうほど、中小企業支援は甘い世界じゃないだろ」って思うわけですよ。日本の経営者は、経営者同士で情報交換をし、学びあい、助け合うのが一般的です。つまり、行政機関の支援は(民間のコンサルもですけれども)「たいして役に立たない」と、企業の経営者から思われていることの裏返しでもあります。僕も常に内省すべき点です。
中小企業政策に限らず、日本の行政全般に言えることですが、「行政が介入しなければ中小企業の経営はよくならないだろう」と行政側が思い込んでいるところがあるように思います。下手に行政が(支援機関などを使って)経営指導するよりも、保証協会の審査・利率の負担を軽くしたり、経営者保証をなくしたり、補助金申請や経営革新計画申請、特別償却の際の書類を減らしたりするほうが、企業は喜ぶんじゃないでしょうかね。
……話がだいぶそれました。
というわけで、支援機関制度に更新制度が導入されても、さしたる効果はないだろうなあというのが、僕の自分勝手な意見です。