おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
2月15日、『事業再構築補助金の概要』という資料が公開されていました。その資料の7ページに「事業計画に含めるべきポイントの例」について触れられています。この内容を見ていると「事業再構築補助金」申請で求められる"ストーリー"が浮かび上がってきます。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
「事業再構築補助金申請で求められる"ストーリー"」については動画でも解説しています(無料・登録不要)
事業再構築補助金「事業計画に含めるべきポイントの例」
『事業再構築補助金の概要』7ページに「事業計画に含めるべきポイントの例」にはどういう事が書いてあるでしょうか。まずは下記をご覧ください。
ポイント
- 現在の企業の事業、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性
- 事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)
- 事業再構築の市場の状況、自社の優位性、価格設定、課題やリスクとその解決法
- 実施体制、スケジュール、資金調達計画、収益計画(付加価値増加を含む)
- 事業化に向けた計画の妥当性、再構築の必要性、地域経済への貢献、イノベーションの促進
事業再構築補助金「事業計画に含めるべきポイントの例」を構造化する
いろいろ書いていてわかりにくいですが、これらのポイントをもう少し構造的に見てみたいと思います。ここからは当社の推測になりますが、「事業再構築補助金の概要」で示されていたポイントは、相互にこういう関連性があるんじゃないかと思っています。別の言い方をすると、これが事業再構築を行うための「ストーリー」でもあります。
事業再構築補助金申請ストーリーの上半分(青い部分)は戦略部分を指す
上記の構造については順を追って説明しますが、最も中央の上にある箱です。これが現在の自社の事業ですね。いま、自社はこんな仕事をしています、という内容です。そしてこの現在の事業は、コロナの影響による事業再構築の必要性に迫られているはずです。コロナの影響を受けて、売上が下がるというのが、事業再構築補助金の申請要件ですからね。そして、コロナの影響は、自社を取り巻く「脅威」ともいえるでしょう。
一方、左側には内部の視点として、「当社の強み」と「弱み」があります。強みとは、自社が現在の事業を営む上で、長年かけて培ってきた、固有の知識や技術、ノウハウのことです。もしかしたら「弱み」もあるかもしれません。この事業再構築のストーリーにおける弱みなので、おそらくコロナの影響で自社に起きてしまった問題、のようなイメージで弱みを捉えてもいいんじゃないかと思います。例えばですが、コロナの影響で対面販売がやりにくくなったので、対面でしか販売できない今の自社のやり方が弱みになってしまった、みたいなイメージですかね。こうした自社内の状況を分析するのが、左側にある内部の視点だと言えるでしょう。
次に右側にいくつか箱があります。これは外部の視点です。コロナの影響で、もしかしたらチャンスが生まれている領域があるかもしれませんし、顧客や競合他社にも動きがあるかもしれません。非対面でやり取りをするというのは、コロナ禍における機会・チャンスかもしれませんし、顧客や競合も、そうした流れにともなって、新たな動きを始めていることもあるでしょう。そうした状況の分析をするのが、右側の外部の視点だと考えられます。
そして事業再構築補助金で求められるストーリーというのは、まずコロナの影響を受けた自社の事業を転換するという必要性が上から来て、そして自社が持つ強みを生かして(もしくは弱みを克服して)、さらに外部で生まれる新しいチャンスを考慮して、その三つの交点に、今回新しく取り組もうとしている事業再構築、すなわち新分野への進出や、業態転換がある、というストーリーですね。そして事業再構築のために、こういう製品・サービスを新たに提供しますという考えがあり、それを実現するための設備・工事にはこういうものが必要です、という記述が求められるでしょう。
ただし「事業再構築」というのは、新分野展開や業態転換という思い切った経営の舵取りが求められるものですので、そこには必ず課題、すなわち事業再構築を実現するために取り組まなければならないことがあるでしょうし、場合によってはリスク、こうなったら困るなという出来事や心配事のこともあるかもしれません。そこもちゃんと見据えているんですよと、事業計画の中で示さないといけないのでしょう。
この上半分の箱の関係に一貫性があるというのが、とても重要です。一貫性があると、ストーリーに説得力が生まれ、審査員の心証がよくなるでしょう。ここまでの部分は、外部環境と内部環境を考慮に入れた上で、自社を今後どのように舵取るのかを説明する、いわば「戦略部分」と呼んでもいいでしょう。
事業再構築補助金申請ストーリーの下半分(黄色、ピンク、緑、水色)は戦術部分を指す
次に下の黄色の部分が、事業再構築を行う上での、具体的な計画のことです。想定される課題やリスクをどう解決するかという見通しを示さないといけませんし、新たな製品やサービスは、いくらくらいに設定するのかという予定も示す必要があります。誰が、いつまでに、何をするかという、スケジュールや実施体制も、資金をどこから調達するかもちゃんと考えていますよ、ということを、事業計画書に書き落とす必要もあるわけですね。
そして下の右側にあるピンクの箱が財務の視点ですね。事業再構築を行った結果として、どの程度儲かるかという結果の予測を示す部分です。下の左側にある緑色の箱は、事業再構築を行った結果として、競合他社に対してどういう優位性が獲得できるのかという点や、他社でも一般的ではない革新的な取り組みが実現できるとのかいう、対競合の視点です。
最後に、左側の一番下にある水色の箱ですが、これも事業再構築を行った結果として、地域経済にこんな貢献ができるんですよと訴求をする部分でしょう。例えば雇用の創出などがこれに該当するのではないかと考えられます。
こういう事業計画のストーリーを、事業再構築補助金の申請書で示すことが求められるんじゃないかと、当社は予測していますが、この下半分は、上半分で示した戦略を実行するための詳細や、戦略を実行した結果を示す部分であり、いわば「戦術部分」と呼んでもいいでしょう。