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ISO9001:2015 5.2 そもそも「方針」ってなぜ必要なのか?

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

ISO9001:2015 箇条5.2「方針」について解説します。突然ですけど、方針って、なんで必要なんでしょうかね?不良を出さないように仕事をすればいいだけじゃないの?と思う人もいるかもしれませんが、方針というのは経営を管理していく上では絶対に必要で不可欠なものです。

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ISO9001:2015 箇条5.2「方針」の位置付け

最初に箇条5.2の位置付けです。

箇条4を通じて、品質マネジメントシステムという、ISO9001で定められている管理の仕組みを作りました。この管理の仕組みを円滑にまわしていくために、箇条5.1でトップマネジメントが果たすべき責任を定めています。ここでは、トップが果たすべき責任が10項目ほど述べられていますが、品質方針の確立はその一つです。そして箇条5.2では品質方針について詳細に定めた要求事項が書かれています。

なぜ方針が必要なのか

そして冒頭の問について考えてみたいと思いますが、そもそもどうして方針なんてものが必要なんでしょうかね?。不良を出さないように仕事をすればいいだけじゃないの?と思いません?

しかし、経営管理においては、こうした方針のようなもの、すなわちその企業が最終的にどういうコトを目指そうとしているのかを明確にするのがセオリーです。何の方針もなければ問題が起きちゃうんですね。たとえば会社としての統一的な方針がないと、「一つの不良も出さないようにしよう」という考え方で仕事をする人と、「ひとつぐらい不良がでてもいいだろう」という考え方で仕事をする人の両方がでてくるでしょうね。働く人の考え方がばらつけば、働く人の行動も変わってきますよね。「ひとつぐらい不良がでてもいいだろう」という考え方だと、やはり管理があまくなるでしょうし、お客さんに対しても真剣に対応しないでしょうね。ですので、組織として何を目指そうとしているのかという統一的な考えは、明確にする必要があります。そしてそれは、下記の絵では山の頂上にあるように、組織が存続する限り追い求める最終的なゴールという位置づけになります。

山の頂上には、組織の戦略的な方向性、それは一般的には経営理念などという言葉で表されることが多いと思いますが、品質方針はそうした経営理念を支えるという位置づけでもありますね。

この方針を元に、具体的な行動や目標が決められていきます。中長期の目標としては「経営ビジョン」や「中期経営計画」として表されるでしょうし、その中長期の目標は年度の目標として展開されます。これらは、最終的なゴールに向かう中継点であるわけですね。年度の目標には、売上の目標や利益の目標、生産性の目標とならんで、品質目標も作られます。その目標は部門ごとに展開され、それぞれの部門は、それぞれに割り当てられた権限・責任の中で、目標達成に取り組むという流れになります。

この一連の流れの原点であり、しかも最終ゴールの一つが、品質方針であるというわけです。

箇条5.2.1 品質方針の確立

規格要求事項を具体的に見ていきましょう。箇条5.2.1では、このa)からd)を満たす品質方針を確立しなさいと書いています。

a)を一言でいうと、品質方針は、経営理念や経営ビジョンのようなものと一貫性があるものだと表明しなさい、ということです。b)は品質目標設定の場を設け、年度ごとなどで目標を設定し、目標が達成したかどうかを評価する仕組みを作ることを表明しなさいということですね。c)は顧客の要求事項だけではなく、法や規制、業界団体の標準など、守るべき要求事項があればそれを守ると表明しなさいということです。d)は、品質マネジメントシステム自体も改善の余地があれば改善しますということを表明しなさいということですね。こうしたものを満たす方針とはどういうものかというのは、具体例を見てもらったほうがわかりやすいと思います。

これが品質方針の表現例です。当社、マネジメントオフィスいまむらの品質方針ですが、ここの1~4として箇条書きにしている部分がありますね。これがさきほどの規格の箇条5.2.1のa)からd)までと対応しています。

箇条5.2.2 品質方針の伝達

箇条5.2.2は、作成した品質方針を、組織内外に伝達することについて定めた要求事項です。

a)では文書化した情報として維持しなさいと書いていることから、品質方針をなにかに記述して、誰もが閲覧できるところに掲示や記載することを求めています。一般的には、品質方針を額に入れて事務所や会議室に掲示をしたり、または品質マニュアルに記述をしたりするケースが多いのではないかと思います。

b)は組織内に伝達し、理解され、適用されるとありますが、要は社員が方針について理解するようにトップとして努めなさいということです。言葉で書くのは簡単ですが、この方針を従業員に理解してもらい、方針に沿った行動を促すというのは並大抵の努力では実現が難しいものです。単に額に入れて毎朝唱和をするだけではダメで、方針を作った背景を経営者自らの言葉で伝える場を設けたり、経営者と従業員が方針について相互に話し合って理解を深める場を作ったり、または不良発生時や目標の達成状況確認時など、折に触れて品質方針について経営者自らが語る必要が最低でもあるでしょう。

c)は利害関係者が入手可能であるということですが、これの実現方法としては、ホームページに品質方針を掲載しているというケースがよく見られますね。

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