おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
今日はISO45001(労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格)についてお話します。日本ではまだそれほどではないんですが、ISO45001は、世界中でちょっとしたブームみたいになっています。そんなISO45001の概要を、初めての人にもわかるように、だいたい5分で解説したいと思います。
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ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)とは何か
ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)を一言で説明すると、働く人の安全と健康を守るための管理の仕組みのことです。これをしっかりやると、安全な職場になって、法律などの要求も満たせるようになります。
ISO45001の「仕組み」とは何か
ISO45001は安全と健康を守るための管理の仕組みだと説明をしましたが、具体的にはどういうものでしょうか。例を挙げながら説明をしたいと思います。
まず、組織の状況について調べます。例えば、「うちの会社はいま、毎年4回くらいは休業災害が起こっているなあ」というように、いまの我が社をとりまく労働安全衛生の現状を調べます。特に最近は、世の中全体が人手不足なので、ケガで休まれては困りますもんね。ケガが多い会社だというイメージがつくと、採用にも影響がありそうです。そうならないように、社長がリーダーシップを発揮して「うちの会社を、安全衛生が徹底された会社にするぞ!」という方針を出します。そのうえで、労働安全衛生に関する現場の声を聞く仕組みも作ります。
そして、目標を作ります。この会社では、休業災害0件という目標を作りました。ただ目指すだけでは精神論になってしまいますよね。そうならないように、合理的に話を進めていくのが管理の仕組みです。まずは、うちの会社で、危ない作業にはどういうものがあるかを調べます。調べた結果、電動工具を使っている場合にケガをよくしていることがわかりました。じゃあ、電動工具のケガを減らすために何をしようかと検討をした結果、安全作業手順書というものを作り、それを作業者にしっかり学んでもらおうということに決まりました。
作業者に新しい手順を学んでもらったあとは、手順通りに作業をしてもらいます。
そして、決めたとおりに作業ができているかを現場で確認します。また、目標として立てた休業災害件数がどうなったのかも確認します。うれしいことに、休業災害件数が0件になっていました。こうした結果は、社長にも報告をします。ところで、現場や経営層などからは、安全作業手順書はもうちょっと分かりやすくできるんじゃない?という声があったので、改善もします。これで電動工具使用時のケガについては、だいたいの対策ができました。
電動工具でのケガが減ったのでメデタシメデタシ…ではありません。今度発売する新製品を製造するときには、劇物のトルエンを使うことになりそうだ、ということが新たにわかりました。ということでまた同じように、トルエンによる健康被害の防止というテーマで改善をすることになります。こうして継続的に改善を積み重ねていくことで、どんどん安全な職場になっていく、というのがISO45001の管理の仕組みです。
企業がISO45001に取り組むメリット
では企業がISO45001に取り組むメリットにはどういうものがあるでしょうか。安全な職場になるというのはもちろんメリットですが、それ以外にも3点ほどメリットがあります。
ひとつは従業員満足度が高まるという点です。安全な職場では従業員が長く働こうという気持ちになりますよね。また、安全や働きやすさを重視する求職者からの応募が期待できるようになりますね。人手不足のこのご時世では、こうした点はとても重要です。
つづいて業務効率が維持できるという点です。ケガや病気をすると欠勤することになるので、現場の人手が減りますよね。また、ケガなどで作業がしづらくなって、効率が下がるかもしれません。でも管理の仕組みがしっかりしていれば、欠勤することも少なくなるので、業務効率を維持できます。
最後の点はコスト削減につながるという点です。今の労災保険の制度では、労災事故が少ないほど保険料が安くなる仕組みになっています。また万が一労災が起きたときは、労基署の聞き取り調査への対応をしないといけません。その対応には時間や労力が取られます。これは見えないコストですが、そうしたコストも回避することができるというわけです。
労働安全衛生に関する法律とISO45001はどう違うか?
労働安全衛生に関する法律ってたくさんあると思うんですよ。それを守っておけば十分じゃないの?なんでISO45001なんてやらないといけないの?と思うかもしれません。それは、ISO45001に取り組むと、法律で求められているよりもさらに安全な職場を実現できるからですね。
簡単に言うと、法律は「これを守らないといけない」という最低限の決まりを教えてくれるものです。一方でISO45001は「法律をどう守り、そして法律で求められている以上に、さらに安全をどう高めるか」ということを、働く人みんなで考える方法を示してくれるものなんですね。どちらかだけでいいというものではなく、この二つは、企業がより安全で健康的な職場を作るために、いわば協力し合っているような関係にあると言えるでしょう。
今後、当ブログでは、ISO45001の各箇条解説もやっていきたいと思いますので、ご期待ください!