おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
「サイコパス」という性格特性は、一般的にはネガティブな印象がありますよね。でも一部の研究では、サイコパス的な特性が、特定の職業や状況において成功に寄与することが示されているそうです。
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小塩真司「『性格が悪い』とはどういうことか――ダークサイドの心理学」
昨日に引き続き、この本からほんの一部、サイコパスと仕事における成功について、ちょっとだけ紹介します。
サイコパスってどんな性格?
サイコパスの特徴には以下の七つの要素があります。
- 非情さ
- 魅力
- 一点集中力
- 精神の強靱さ
- 恐怖心の欠如
- マインドフルネス(眼の前にあることに集中すること)
- 行動力
サイコパスが成功につながるケース
イギリスの心理学者、ダットン博士の研究によれば、サイコパスの特性が高い人々が外科医、弁護士、企業のトップなどで非常に成功している例があるんだそうです。
例えば外科医は失敗が許されない職業です。手術中の細かく慎重な作業において、サイコパスの「精神の強靱さ」や「恐怖心の欠如」は非常に有利だそうです。感情に左右されず冷静に対処し、失敗を恐れずに最適な判断を下す能力が、患者の命を救うことにつながりますからね。
また株価の乱高下に直面する投資家にとって、冷静さを保ちリスクを取る勇気が求められます。サイコパスの「精神の強靱さ」や「恐怖心の欠如」、「マインドフルネス」(眼の前にあることに集中できること)は、感情の波に飲まれることなく市場を分析し、的確な投資判断を下す助けとなります。いやあ、ぼくだったらちょっと株価が下がっただけで動揺して、冷静でいられないだろうなあ。
弁護士にも当てはまるケースがあるそうです。裁判で圧倒的に不利な証拠を突きつけられることがあっても、サイコパスの「非情さ」や「精神の強靱さ」、「恐怖心の欠如」は、冷静に反論を組み立てる助けとなりえますね。
軍の指揮官はどうでしょうか。戦闘状態でも冷静で迅速な判断が求められますが、サイコパスの「恐怖心の欠如」や「精神の強靱さ」、「行動力」は、危機的な状況下でも冷静に状況を分析し、最適な指示を出すことを可能にします。
こうやって考えると、仕事で優れた結果を出す人にサイコパスな特性をもつ人がいても不思議ではありませんね。
普通の人がサイコパスを真似ることのリスク
サイコパスの特性が成功につながる場合があるといっても、サイコパスではない普通の人がこれらの特性を真似できるものでしょうか?ぼくの推測ですが、サイコパスの特性は多くの場合先天的なので、これを真似ることは精神的な負担がかなり起こるんじゃないかという気がします。
普通の人は、サイコパスな人よりも倫理観や共感能力を持っていると思われます。それにもかかわらず、サイコパスのように非情に振る舞うことは、自身の価値観やモラルに反するため、かなり葛藤を引き起こすんじゃないかと思います。
またサイコパスは感情の影響を受けにくいと言われていますが、普通の人は感情の影響を強く受けます(ぼくも↑のような場面に遭遇すると、絶対に動揺したり不安になったりする自信があります)。恐怖や罪悪感を感じずに行動することは普通の人には難しく、これを無理に抑え込むことは相当なストレスを生むだろうなという気がします。
仮にサイコパスのように振る舞って、一時的には成功を収めたとしても、無理がたたって長期的には精神的な健康に悪影響を及ぼすんじゃないかという気もします。ストレスや内面的な葛藤を我慢し続けると、いつか精神的に参っちゃうんじゃないかな。
というわけで、サイコパスの特性が特定の職業や状況において成功をもたらすことがあるといっても、そうでない人がこれらの特性を無理に真似ることには大きなリスクがあると思います。凡人が真似ていいのは、凡人の働きっぷりだ、ということですね。