おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018 各箇条解説シリーズ、箇条8.1.3「変更の管理」について解説します。仕事をするうえでは、何かを変更したときには事故や不具合、問題が起きやすいものです。変更にまつわる事故を防ぐにはどうすればいいでしょうか?
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箇条8.1.3「変更の管理」の位置づけ
まず、今日解説する箇条8.1.3「変更の管理」の位置づけをしっかりと見ておきましょう。
箇条4では、会社が置かれている状況を考えて、労働安全衛生マネジメントシステムを作って運用することを求めていました。
箇条5では、そのマネジメントシステムを円滑に回すために、会社のトップがやるべきことを定めていました。
箇条6では、会社を安全で健康的な場所にするために問題になりそうなことをあらかじめ洗い出して対策をしたり、目標を作ったりすることを求めています。
箇条7では、その計画・目標などに取り組むために必要な人材、道具、設備、インフラなどを準備します。
箇条8では、それまで準備・計画してきたことをさらに具体化し、実行に移していきますが、今回はそのうち箇条8.1.3「変更の管理」を詳しく解説します。
なぜ変更管理が必要なのか?変更によって起きた労災事故の事例
なぜ変更管理が必要なのかを、実際の労災事例をもとに説明しましょう。これはゴム製品製造業での事例です。その会社の屋上には、以下の図のような集塵機がありました。
これは、製品の製造過程で発生する粉状の炭素廃棄物(廃カーボン)を集める装置です。この集塵機に溜まった廃棄物を処分するときに、当初の作業計画では吸引ホースを、集塵機の上部にある窓から差し込み、廃棄物を吸い出す予定でした。しかし、手間がかかると判断した現場の作業者たちは、集塵機の底にある鉄板を取り外し、廃棄物を下に落としてから吸い取る方法に変更することにしました。この変更は、危険な匂いがしますよね。
そして、鉄板の取り外し作業中に急に鉄板が外れ、装置内の廃棄物が一気に落下し、作業者が下敷きになってしまいました。事故の原因としては、現場で作業方法を変更したこと、その変更に伴うリスク分析が十分に行われていなかったことが挙げられます。このように、何かを変更したときには事故が起きやすいのです。しかし、変更が避けられない場合もあります。だからこそ、変更時にも安全が確保されるように管理すること、これが「変更管理」の重要なポイントなのです。
変更はあらゆる事故・問題・トラブルの原因になりうる
この事例は労災事故の例ですが、変更はあらゆる事故・問題・トラブルの原因になりえます。そして、企業の活動は「変更につぐ変更の連続」と言えます。人の異動もありますし、製品やサービスの仕様を変えたり、職場環境を見直したりと、常に何かしらの変更が行われていると言ってもよいでしょう。
そのような変更を管理する有名な品質管理の手法として、4M変更管理(変化点管理)をやっている会社も多いと思います。4Mとは人(man)、設備(machine)、材料(material)、方法(method)のことで、これらの変更が起きた場合に品質上の問題(不良やミス)が起きやすいので、変更点を管理しようという活動です。
このように、何かを変更するということについてリスクが伴うのは、労働安全衛生に限った話ではありません。そういう点からも、変更を管理することの重要性がおわかりいただけるかと思います。
次回に続きます。