おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO独特の言葉遣いに「考慮する」という表現と、「考慮に入れる」という表現があります。この2つの表現は意味が異なるのですが、どう違うのでしょうか?
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どう違うねん!?「考慮する」「考慮に入れる」ISO独特用語を解説(1)
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どう違うねん!?「考慮する」「考慮に入れる」ISO独特用語を解説(2)
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「考慮する」と「考慮に入れる」のニュアンスの違い
最後に、ISO9001とISO14001で、「考慮する」と「考慮に入れる」という表現が、どのように使われているのかを、日本語と英語原文の両方を比較しながら見てみましょう。
ここからわかることの一つは、日本語と英語の表現に揺らぎがある、ということです。「考慮する」がconsiderに、そして「考慮に入れる」がtake into accountに、完全に一対一で対応しているわけではありません。
例えばISO9001の9.2.2では、Take into considerationという英語の原文に「考慮に入れる」という日本語が充てられていますが、一方9.3.2では同じtake into considerationという英文に「考慮する」という、違う日本語の表現が充てられています。
この違いの理由は明確ではありませんが、翻訳者に何らかの意図があるのかもしれません。こうしたゆらぎがありますので、日本語の「考慮する」や「考慮に入れる」という言葉尻にだけ注目するのではなく、その規格要求事項の目的や背景までも考えて解釈する必要がありそうです。
これらの英語の表現の細かいニュアンスは、ネイティブスピーカーではないぼくにはよくわかりませんが、ChatGPTに確認したところ、以下のような回答がありました。これが正しいかどうかを検証する術はありませんので、参考意見の一つとして「考慮して」くださいね
Take into considerationとTake into accountは、決定を下す前に複数の要素を徹底的かつ慎重に評価することを意味します。簡単に考えるだけでなく、積極的に意見を意思決定プロセスに取り入れることを示唆しています。
Include the consideration ofは(ぎこちない言い方ですが)さらに形式的で官僚的な印象を与え、より構造化された詳細な評価プロセスを暗示する可能性があります。ただし、この言い回しは自然な会話ではほとんど使用されません。
Considerはより単純でより一般的です。何かについて考えることを示唆しますが、他のフレーズほどその考慮の深さや慎重さを強調しません。
「考慮に入れる」が使われるシチュエーション
もう一つわかることは、考慮に入れる(take into account)は、品質や環境のパフォーマンス、法令遵守など、規格が特に重視する分野において使用される傾向があります。
例えばISO9001の箇条6.2「品質目標」では、要求事項を考慮に入れることが求められていますし、ISO14001では、目標はもちろんですが、環境側面や順守義務に関する箇条で「考慮に入れる」ことが求められています。このことから、規格が重視する分野については、単なる検討で終わらせるのではなく、必ず何らかの形で意思決定に反映させることを求めている と解釈できます。